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イギリス・ウェールズの歴史ーカムログ

ウェールズ語ではウェールズの事をカムリ(仲間)と言います。歴史深いウェールズに触れて下されば嬉しいです

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「三本の矢」は効果的? アベノミクスと「イギリス版三本の矢」

歴史ストーリー

アベノミクスの新しい「三本の矢」を打ち出していますね。第1の矢「希望を生み出す強い経済」でGDPを増加し、第2の矢「夢を紡ぐ子育て支援」で出生率を上げ、第3の矢は「安心につながる社会保障」で介護政策を強化です。安心・安全で豊かな住みやすい成長国家をつくるのが目的と思います。僕は政治には疎いので何も言えませんが、以前の三本の矢①金融政策、②財政政策、③成長戦略を含めて、三つがお互いに相乗効果を生み出して、少しでも社会が良くなることを期待しています。

 

ところで、「三本の矢」の続きはご存知ですか?

 

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毛利元就が三人の子に伝えたとされる、結束の重要性を説いた逸話。曰く、矢は1本では簡単に折れるが、3本束ねると折ろうとしても簡単には折れない。同じように一族も結束して強靭に生きよと説く教訓。(weblio辞書を引用)

 

毛利元就の「三本の矢」の行方は

大人しい長男:毛利隆元、知略と武勇に優れる次男と三男:吉川元春&小早川隆景の三兄弟が長男に従って力を合わせて毛利家の結束を強める事が、元就の狙いでした。隆元は早世し幼い輝元が毛利家を継ぎました。そして元春と隆景が補佐し、輝元を守り立て中国地方全体を支配下に治め、織田信長豊臣秀吉に拮抗する大勢力になりました。

 

秀吉は甥の秀秋を輝元の養子に考え、毛利勢力に牽制をかけようとしました。毛利家の養子に入られると、毛利家が乗っ取られる恐れがあります。ここは小早川隆景が秀秋の養子を受け入れ、毛利本家を守りました。

 

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しかし、この「三本の矢」体制にも亀裂が生じてきます。天下分け目の関ケ原の戦いでは輝元は西軍の総大将になり元春の息子広家は密かに東軍に通じ、秀明も東軍に寝返ります。結果はご存知の通り、徳川家康率いる東軍が勝利し、敗軍の輝元は領土没収となり、毛利家存続の危機となります。

 

一時的に「三本の矢」が効力を発揮し、広家が自国のうち37万石を投げ出し毛利家の危機を救いました。広家が自らを犠牲に毛利家を守りましたが、寝返りでいったん崩れた足並みはそろわず毛利家は弱体化していきました。

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◎イギリス・ウェールズでの「三本の矢」、「三国志

13世紀以前の中世ウェールズは、グウィネズ、デハイバース、ポゥイスの主に三国に分かれていました。これら三国は、いずれかの国に統一されることも、またお互い協力し合うことも、侵略し合うこともありました。特に三国が戦い合う時代を、僕は勝手にウェールズ三国志と呼んでいます。幾つかの三国志時代がありますが、そのうちの一つをご紹介いたします。

 

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ウェールズの国旗)

 

9世紀のウェールズはロドリ・ザ・グレートと呼ばれる強力な王が現れて、ウェールズをほぼ統一しました。当時のウェールズアングロサクソン族の国マーシアウェセックス、バイキングの国デーン・ローと国境を接し、これら敵国の侵略を辛うじて防いでいました。そんな情勢の中、せっかく統一したウェールズの平和と安泰を続かせようと、ロドリは三人の息子を呼びました。

 

「もうワシの役目は終わった、お前たちにワシの国を分けるから、これから三兄弟協力してウェールズの国を守り強くしてくれ!」、「はい、父上」

というやり取りがあったか分かりませんが、野心家の長男アナラウドを後継にグウィネズを与え、同じく野心強く武勇にも優れる次男カデルにはデハイバース、少々ひ弱な三男メルヴァンにはポウィスを渡し、三兄弟を結束させウェールズを託しました。父の願いの通りに、強国マーシアがロドリに大敗した屈辱を晴らそうとウェールズを攻撃した時には、三兄弟は力を合わせてマーシアを撃破しウェールズを守りました。

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父ロドリの目の黒いうちは「ウェールズ版、三本の矢」は有効に働きますが、ロドリが没してからはこの矢の絆はほどけて行きました。

カデルの実力を恐れたアナラウドはウェセックスと組み、カデルを攻め立てました。一方カデルは、弱いメルヴァンを攻撃し、ポウィスを乗っ取りました。三本の矢は結束して強化するどころか、お互い矢じりを向けるようになり、国は弱体化していきました。

 

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●まとめ

何れの世も「三本の矢」の教えを守っている時は有効に機能しますが、長続きはせず結束を長くキープすることは難しいようです。

 

おっと、ウェールズの三本の矢は続きがあって、アナラウドに攻められたカデルは、逆にウェセックスと協力してアナラウドを滅ぼしました。そして、カデルの息子ヒウェルが再びウェールズを統一してバラバラになった矢を一本に纏めなおしました。父と叔父たちの三本の矢の失敗を教訓に、ヒウェルはウェールズ法を制定し、ウェールズの繁栄に力を尽くしました。

 

安倍政権の「新三本の矢」はバラバラになることなく、旧三本の矢で上手く行かなかった教訓を生かし成果を上げて国民の期待に応えて欲しいものです。

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電子書籍を出しました

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おしまい

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