イギリス・ウェールズの歴史ーカムログ

ウェールズ語ではウェールズの事をカムリ(仲間)と言います。ウェールズの歴史と、ウェールズとの関わりが深いアーサー王についてのページです

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真実を知る ~夢と野望の激突 第4話~

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こんばんは。ウェールズ歴史研究家を名乗る、たなかあきらです。
舞台は5世紀前半にかけての、ウェールズ付近のアーサー王伝説をもとにした創作ストーリーです。毎週金曜日に更新しています。

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真実

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「助けて~っ」
「アンブロシウス!」

アンブロシウスは、黒い影の集団たちに連れ去られた。騒ぎを聞きつけたアルドリエン王が駆けつけ、電光石火のように追いかけ剣を振りかざし、黒い影の集団たちをやっつけたのであった。


「叔父上~」
「よかった。アンブロシウス。さぞかし、怖かっただろう」

「この黒い男たちは・・・まさか。これはまずいな。すぐに手を打たないと、着実に危険が迫っている」

  

「どうしたの、何があったの? アンブロシウスにウーサーは大丈夫なの?」

「母上! 僕たちブディック君と遊んでいたら、突然へんな男たちに襲われて・・・・」 

母親ロワナにアンブロシウスとウーサーは抱きついた。ロワナは驚き、うろたえた表情でアンブロシウスとウーサーをぎゅっと抱きしめた。

 

「一体、黒い影の奴らは何者なんですか?」
「奴らは、ヴォーティガンが雇ったブリタニア兵。まさか、見つかったのか・・・」

「ヴォーティガンとは誰ですか? 叔父上、何か事情を知っているなら教えてください」

「ううむ・・・・」

「そうだ叔父上!ブディック君から聞いたのですけど、僕たちはフランス生まれのフランス人ではなくて、ブリタニア生まれのブリトン人なんですか? ブディック君の言っていることは本当なのですか?」
「そ、それは・・・」 

 

 敵に相対するときは、勇敢で無類の強さを発揮するアルドリエン王も、この時はちゅうちょし言葉を詰まらせた。母親のロワナは、元ブリタニア王妃の気品を取り戻し、ハッキリとした口調で子供たちに話し始めた。

 

「アンブロシウス、ウーサー、そろそろあなたたちに本当のことを話す時がやってきたようですね。あなたたきの父上コンスタンティン王が亡くなった後、あなたたちの兄、コンスタンス二世はブリタニア王となりました。でも家臣のヴォーティガンが謀反を起こして兄上は殺され、王の座と領土は奪われてしまいました。あなたたちは私と共に辛うじてブリタニアを脱出し、アルドリエン王のところに逃れてきたのです」

「やっぱり、ブディック君が言っていたことは本当だったんですね」

 

ロワナは、当時のことを思い出して悲しみに暮れながら、首を縦に振った。

 

「なぜ、これまで僕たちに教えてくれなかったのですか? なぜなんですか?」

「それは、平穏な生活をこのまま続け、あなたたちの夢に向かって生きていって欲しかったからよ。王の息子、王の兄弟となると、また権力争いに巻き込まれ命の危険性にさらされるわ。あなたたちの兄の様に犠牲になるのはもうたくさん、もう耐えられないわ。だからこれまで真実を明かさず、フランス人としてあなた達を育ててきたのです」

 

「しかし、ヴォーティガン兵に見つかってしまった。全員始末はしたものの、また居場所を見つけて必ず襲ってくるだろう。これまで通りの生活は終わりにせざるを得ないだろう。これからのお前たちに残された生きる道はこの2つだ」

「この地を離れ、更に遠方の教会で聖者になり隠れて暮らすか、自分の身を守るために騎士になって敵と戦える技を磨くかだ。どちらを選択しても、ヴォーティガンはお前たちを見つけに探し回るだろうから、何れにしても危険は伴うだろう。どちらを選択するかはお前たち次第だ」

 

アンブロシウスとウーサーの二人の兄弟は、突然の真実を聴いて驚き、しばらく呆然と立ち尽くしていた。長い長い沈黙の後に、アンブロシウスがようやく口を開いた。

 

 「叔父上、僕たちは王の息子。強い騎士になって自分の身は自分で守れるようにならなければ、王族の名に恥じます。ブディック君みたいに強くなれるように、叔父上、教えてください」

「僕もアンブロシウス兄さんと同じです。僕は僕も強くなって、母上を安心させたいです」

「よし、わかった。お前たちがこれまで持っていた将来の夢は、あきらめねばならんぞ。もう後戻りはできぬ、騎士に二言はないぞ」

「はい、分かりました」

 

「あなたたちを危険な目にさらしたくはありませんが、いまの状況を考えると仕方ありません。自分自身の意思で騎士になると決めたのなら私は反対しません。アルドリエン王、アンブロシウスとウーサーはまだまだ未熟者ですが、ビシビシと鍛えてやってください。あなたたちは途中で弱音を吐くことなくあきらめず、しっかりと精進するのですよ」
「はいっ、母上!」

 

「そうときまったら、今から直ぐに特訓するぞ!」
「はいっ、叔父上!」

 

こうして、強い騎士になれるように、毎日アルドリエン王の特訓が始まったのであった。

 

次回に続く

この物語は、たなかあきら作のフィクションです。 

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