イギリス・ウェールズの歴史ーカムログ

ウェールズ語ではウェールズの事をカムリ(仲間)と言います。ウェールズの歴史と、ウェールズとの関わりが深いアーサー王についてのページです

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決断と決別 ~夢と野望の激突 第8話~

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こんばんは。ウェールズ歴史研究家を名乗る、たなかあきらです。
舞台は5世紀前半にかけての、ウェールズ付近のアーサー王伝説をもとにした創作ストーリーです。毎週金曜日に更新しています。

 ※前回の第7話

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決断と決別  

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「やはり、あれをやるしか無いかもな」
「アンブロシウス兄上、あれって?」

 

「僕たち、アルドリエン叔父上にかくまってもらい、ずっとヴォーティガンから姿をくらますことが出来ていた。でも、ヴォーティガンに居所を知られてしまったし、ヴォーティガンは僕らを捕らえに、大軍を送り込もうとしている」

「もう、絶体絶命ですよ・・・」

 

「いや、大丈夫だ。安心しろ。そもそもは、ワシがヴォーティガンの刺客を逃してしまい居所が知られてしまったのがいけなかったのだ。責任はワシにも大いにある。でもヴォーティガン如きに恐れる心配はない」
「アンブロシウス、ウーサー、任せてくれ。このアルドリエンが率いる軍は、精鋭たちを集めた強力集団だ。いくら大軍が来たからとはいえ、ヴォーティガンのブリタニア軍にやられるような腰抜けではない。コテンパに玉砕してやるぞ」

「さすが父上。僕も戦いに加わりますよ」

 

「叔父上、ブディックくん、もうやめましょうよ」
「やめる? 何をやめるんだ、アンブロシウス」
「ヴォーティガンと戦うのをやめて、おめおめと使者に捕まりヴォーティガンのもとへ引き渡されるのか? 奴らの思うツボだぞ。きっと、ブリニアで殺されてしまうぞ」

 

「これ以上、叔父上にご迷惑をかけるわけには行きません。このままヴォーティガン軍が上陸してきたら、叔父上の国ブリタニーにも多大な被害が出てしまいます。それは何としてでも防がなくてはいけないと思います」
「多少なりとも被害が出ることは覚悟の上だ。しかし、ブリタニーとブリタニアが戦うしか方策はないだろう。悪王ヴォーティガンを倒すのも楽しみというものだ」
「父上のいう通りですよ、アンブロシウスくん。僕も一緒に戦うよ、腕が鳴るなぁ~楽しみだよ」

 

「その楽しみ、もっと効果的な方法でやるっていうのはどうでしょうか? 僕はこの方法しか無い、と思っているのです」
「それは一帯どんな方法なんだ」

 

「このところ僕はずーっと考えていたんです。そろそろ、行動を起こす時期だと。僕たちは、叔父上とブディックくんに戦い方を教えてもらい、僕らもとても強くなりました。ヴォーティガンにだって、負けないかもしれません」

「それは、そうだが・・・」

 

「叔父上とヴォーティガンが戦い、叔父上が勝ったとしても、ヴォーティガンはまた報復してくるでしょう。どうせ報復のやり逢いなら、僕とウーサーでブリタニアに渡り、ヴォーティガンと戦いたいのです。ヴォーティガンを自らの手で倒して、兄コンスタンスの仇討ちをしたいのです。そして、兄そして父が治めたブリタニアの国を、今度は僕らの手で平和な国にしていきたいのです。これが僕の夢です」

「兄上・・・」

 

「兄上、やりましょう! 兄上の考えに賛成です!」
「うぬぬぬ・・・アンブロシウス、お前の言う通りだ・・・お前の言う通りだが、しかし・・・」
「しかしなあ、アンブロシウス・・・」

 

「あら、アルドリエン王。しかし、の続きが出ないようね」
「あっ、姉上」
「やっぱり、アンブロシウスの言う通りじゃないかしら。その方法が最も理にかなっていると思うわ。それに、もうあの子たちは自分の意思と責任で動くべき年齢になったんじゃないかしら。アンブロシウスと、ウーサーのいう通りにさせてやってください。私からもお願いするわ、アルドリエン王」


「分かりました。姉上、いやブリタニア元王妃から頼まれたんじゃ、引き受けるしかないな」
「では、こうしよう。ヴォーティガン軍がここに攻めてくるかもしれないので、それに備えて軍の準備をしよう。そのためワシとブディックはここに残ることにする。アンブロシウスとウーサーはお前たちの望みの通り、ブリタニアに戻ってよい。多くはないが残った兵とブリタニアまでの船を、お前たちに与えよう。好きなように使ってくれ」

 

「ありがとうございます、叔父上、母上。僕たち2人、いや、兵の皆とも力を合わせて、必ずヴォーティガンを倒して兄上の仇を取ります」

 

「気をつけて、、、これがコンスタンスの形見です。お守り代わりにあなた達に渡しておきます。ブリタニアにはマーリンという命の恩人がいます。あなた達と私がブリタニアから脱出した20年前、ヴォーティガンから逃れフランスまで無事にたどり着けるように、魔法を使って助けてくれたのです。もしまだマーリンが生きていたら、彼の元へ行きなさい。きっと助けてくれるでしょう」

「母上もご無事で。僕たちが無事に仇を討つことができたら、ブリタニアに戻って是非一緒に暮らしましょう」

 「叔父上、ブティックくん、これまで長い間お世話になりました。本当にありがとうございました。この御恩は一生忘れません。将来きっとお礼をしたいと思います」

「アンブロシウス、ウーサー、君たちならきっとできるよ! ヴォーティガンの野望を砕き、君たちの夢をかなえてくれ! 幸運を祈る!」

 

5人は何度も何度も最後の別れのあいさつを交わしました。アンブロシウスとウーサーはコンスタンス二世の形見を胸に、1兵と船に乗り込み日の出とともに船は出港しました。アルドリエン王、ブディック王子、アンブロシウス・ウーサーの母は岸辺で二人を見送りました。そして船が陸から離れて小さく見えなくなるまで、お互い手を振り続けました。

 

よし、行くぞ! 僕らの夢を叶えるために!

 

次回に続く
この物語は、たなかあきら作のフィクションです。 

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