古代~中世のヨーロッパのお城の歴史 構造の変化と特徴

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こんにちは、たなかあきらです。今回は、お城についてのお話をします。

 

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ヨーロッパの歴史において、中世の時代は最も暴力的な時代の一つで、その中でお城は中世の象徴となっています。要塞としてのお城は時代を経て、スタイルが変わってきました。

例えば、戦争のやり方、戦争の技術の発達や、歴史上の重要な出来事である十字軍などによって、要塞としてのお城も影響を受けてきました。

今回は、イギリスの中世のお城を例に、古代からの要塞としてのお城の変化をご紹介します。

 

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古代~中世 要塞城の変化

 

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イギリスにおける古代から中世に入る前(~1000年頃)までの移り変わりです。 

 

石器時代(Stone Age)・・・紀元前3000年~紀元前1800年ごろ

ストーンヘンジのような巨大な石柱群や、低湿地に土を盛り上げた駐留地(Causewayed Camps)でした。

 

 

※Causewayed Campsの例(ストーンヘンジの近くにある、ウィンドミルヒル)

外側には直径約365mの溝が掘られている。
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⇒こちらの方が分かりやすいです

Google Maps: Report Inappropriate Image

 

👉ストーンヘンジについて

ストーンヘンジの謎に迫る!これを知ればあなたもストーンヘンジ通!

銅石器時代(Bronze Age)、鉄器時代(Iron Age)・・・紀元前1800年~紀元前600年ごろ

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この時代になると、ヒルフォート(Hill fort)と呼ばれる小高く盛られた土塁の一種で、要塞化された避難場所や防御された居留地が作られるようになりました。

 

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ローマ時代(~紀元400年頃) 

 
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ローマ要塞の跡。この頃になると、都市の周りに石造りで城壁が作られ、居住区が要塞化しました。
 
 
 
 
この時代で特に有名なのが、2世紀にローマ皇帝ハドリアヌスがスコットランドに作った、118kmにも及ぶハドリアヌスの城壁です。現在は世界遺産に登録されています。

 

👉こちらもご参考に!

イギリスの世界遺産 「ハドリアヌスの長城」の歴史

 

アングロ・サクソンの時代(5世紀頃~11世紀中頃)

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イングランドを作ったアングロ・サクソン族や、9世紀のイングランドの英雄アルフレッド大王は、要塞化した街を作りました。
 
特にアルフレッド大王が作った要塞街は「Burhs」(要塞化された地)と呼ばれ、後に呼び方が変わっていき、「Borugh」と呼ばれるようになりました。
borughはイングランドではbury(ベリー)、スコットランドではburgh(バラ)と形を変えて、イングランドではカンタベリー、ソールズベリーなど、スコットランドではエジンバラなどの地名に残っています。

 

11世紀以降 中世の要塞城について 

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1066年にアングロ・サクソン族が治めるイングランドが、フランスのノルマンディーから侵入してきたノルマン人によって征服されてから、要塞城は大きく変化をしていきます。

ノルマン人たちはーロッパ大陸から、中世のイングランドにお城と封建制度を持ち込みました。この時代のお城は、ロマネスクやノルマン建築と呼ばれています。

 

👉ノルマンディー公ギョーム2世に征服され、ギョーム2世はイングランド王ウィリアム1世となりました

イギリスの歴史を変えたノルマンコンクエスト(ノルマン征服)の再現

 

ノルマン・コンクエストの時代

モット・アンド・ベリーというお城

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この時代のお城の特徴は以下になります。 

 ・あらかじめ材木で建築されるタイプのお城は、イングランドに侵略する際の艦隊でノルマン人とともに持ち込まれました

・周りは溝が掘られ小高く盛り土された上に材木で迅速に建てられ、外壁で囲まれた居住区や兵たちが駐屯する要塞に加えられました。

このタイプのお城は「Motte and Bailey」(モット・アンド・ベリー、小山と外壁)と呼ばれています。

 

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迅速なモット・アンド・ベリー城の建築は、ノルマン人たちにとってアングロ・サクソン族のイングランドを征服してコントロールすることを可能にしたのです。ノルマン人の兵士たちは、これらのお城に駐在して、あらゆる攻撃を打破しました。

 

材木が朽ちたり燃えやすかったりするので、木製のモット・アンド・ベリー城は一時的なお城に過ぎませんでした。

 

その答えは、石でした。つまり木製の多くのモット・アンド・ベリー城は石造りの城へと移り変わって行きました。

 

シェルキープというお城

当時の石造りのノルマン城の特徴は、「シェル・キープ・キャッスル」と呼ばれるものでした。シェル・キープとは、小高く盛り土されたモット(motte)の上に建てられた、石造りのタワーです(天守閣)。

 

※例えば、ウェールズにあるカーディフ城

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👉カーディフ城についてはこちら

一度は行ってみたいウェールズのカーディフ城 

 

 

参考:Shell Keep Castles: A Rare Adaptation of Motte and Bailey Castle Design

 

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中世のお城の歴史では、このシェル・キープ(天守閣)の改善が続けられたのです。盛り土は、石造りのシェル・タワーの重さに耐えなければならないので、シェル・タワーは軽くなるように工夫されました。

例えば、1078年に建てられた、ロンドン塔のホワイトタワーなどです。

 

f:id:t-akr125:20180520171348p:plain世界遺産ロンドン塔の歴史 処刑された人々と幽霊の怖~いお話

 

大量建築されたエドワード1世の時代

集中式城郭 

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十字軍の遠征は、中世の君主や貴族たちにとって、ヨーロッパ西部の要塞城と接触する機会となりました。 さらに包囲のやり方や武器などを学ぶ機会にもなりました。

これらのアイディアはノルマン朝のイングランドに持ち込まれて、「ゴシック建築」と呼ばれる新しいスタイルの建築に発展しました。

ノルマンスタイルの基本的なデザインは、特に包囲戦のためにデザインされた巨大な要塞に変わっていきました。これらの巨大な要塞城は、集中式城郭と呼ばれています。

※城の中心となる塔を二重またはそれ以上の城壁で取り囲み防御をする城

 

例えばウェールズのビューマリス城

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👉参考記事:資金不足で未完成の美しい城、ビューマリス

 

エドワード1世の城の特徴

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中世のイングランドやウェールズにおいて、巨大な集中式城郭のお城を多く建てたのは、エドワード1世(1239年~1307年)の時代です。

この集中式城郭は、連続的につながった防御壁に囲まれた巨大な城建築の中に、効果的な建物、城壁、タワー、城門が建てられ、「お城の中にお城がある」と表現できます。この時代のお城建築は、ゴシック建築または、エドワード時代建築と呼ばれており、その特徴を記します。

・強力な中心の天守閣やメイン・タワーは、円形状または多角形に造られました。

・石は正確に切断され、積んだり挿入されました。城壁や柱は大きな重量を支えました。最低一層以上の低めの外壁やバリー(Bailey)が、高い内壁を取り囲んだ構造でした。城壁は異なった高さに異なった位置に建てられました。

 

・いくつかの城門の楼は、中世のこの時代に加えられました。高く先のとがった天井や広い窓の口が特徴でした

・塔の頂上には、さらにとても細い塔が乗せられました。塔を完備した高い城壁は、多角形のお城の中で、天守閣や内側の城壁を取り囲みました。さらに中世の集中式城郭では、周りにお堀を作りました。

 

 

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・さまざまな防御のための建築構造がとられ、中世のお城の特徴となりました。

Barbican(見張り用の楼門)
Portcullis(城門の落とし格子)
Gatehouse(都市城門の楼門)
Moat(お堀)
Crenellations(銃や矢を発射するための隙間のあいた城壁)
Murder Holes(殺人孔※)
Death traps(死の落とし穴)
Various styles of Arrow slits(異なった中世の武器に対応するための、様々なスタイルの矢の射撃孔)

※殺人孔とは、中世ヨーロッパの城や要塞の城門通路などの天井に設置された孔で、敵の頭上から「石、熱湯、熱した砂や油、矢、消石灰など」を投下して攻撃を行うために使うものである。

 

👉エドワード1世が建築したお城 

アイアンリング!エドワード1世が建てたウェールズのお城群 

 

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