野蛮と能無しの合わせ技ね ~たたかうカムリ戦士 第10話

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こんばんは。ウェールズの歴史研究家たなかあきらです。

ウェールズの9世紀~11世紀にかけてウェールズ王家が分裂して戦いを繰り広げる様子を、様々な登場人物の人間模様の物語をシリーズで描いています。

前回の第9話は、お調子者のワル、クラドグと兄のハウェル。エレンの強気に押されながらも、ひと暴れしようかという時に、宿敵イドワルが動き出したという話でした。
さて、今回はイドワルが登場し、場面は大きく動き始めます。

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(登場人物は実在ですが、キャラはたなかあきら作です)

これまでのあらすじ 

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※分割していたウェールズ。緑の部分はイングランド

 

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中世のウェールズは、主にグウィネズ(Gwynedd)、デハイバース(Deheubarth)、ポゥイス(Powys)の三国に分かれた内乱や、アングロサクソン族のイングランドウェセックスマーシア)、さらにヴァイキングに攻められた苦しい時代でした。

9世紀にロドリ大王がウェールズを統一しましたが、アナラウドが暴君化しウェールズは乱れます。敗れたカデルの息子ハウェルは弟のクラドグと共に隣国を荒らし勢力を広げますが、アナラウドの息子イドワルがけん制に動き始めました。

<登場人物>

ウェールズの王室家系図

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カデルの息子ハウェル。意外と乱暴

 

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ハウェルの弟クラドグ。ちょっとお調子者。

  

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隣国ダヴィッド王ラワルヒの娘、エレン。気が強くクラドグはタジタジ。

 

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アナラウドの息子イドワル。冷静で冷淡、冷血。

 

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イングランド王、アゼルスタン。

 

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ウェールズ勢力地図。

 

やってきたハゲ王、イドワル

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ウェールズ、ケレディギオン国のディネヴァウル城。
ライバルのイドワルがやってくる。

 
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お迎えご苦労。
 
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あっ、ハゲ。
 
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ハゲとはなんだ、ハゲとは。
ヴォエル様と呼べ。
 
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イドワル・ヴォエル、何をしに来た!
 
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ふん、ヴォエルでも変わらないじゃんかよ
※ヴォエルとはウェールズ語でハゲの意味。身体の特徴をあだ名にする事が多かった
 
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今回、直々に出向いたのは他でもない。ケレディギオンの自由は終わったのだ。我が支配下になった事を告げるためだ。
 
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そんなことを認めた覚えはないぞ。
 
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強がっているのも今この瞬間だけだな。
 
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何を、言わせておけば、、
 
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兄貴とっちめてやりましょ 
 
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ふん。このイドワル様、かの高名なイングランド王アゼルスタン閣下と同盟を結び、閣下直々にウェールズ全域の統治を任されたんだ。
ケレディギオンやダヴィッド、南部の小国群を従わせよとな。
 
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うぬぬぬ。嫌だと言ったら?
 
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従わせるまでよ。ま、アゼルスタン閣下のご機嫌を損ねないように気をつける事だ。あっと言う間に、お前の国は廃墟と化すぞ。
 
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うぬぬぬぬ
 
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更にアゼルスタン閣下は、近頃のお前たちケレディギオンの動きは気に要らないと仰る。隣国を荒らし回り、少し派手にやり過ぎた様だな。その処罰は、追って連絡する。
では、くれぐれも、このイドワル様に逆らうことは無いように。ははははは
 
(この位脅しておけば、奴らも大人しくするだろう。アゼルスタン閣下の名は使えるな)
 

スパイ?いやっ

 
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くそっ、悔しいっすよ、兄貴。あの、ハゲ野郎、言いたいことばかり言いやがって。
兄貴、やりましょうよ。オレら強いっすよね。ハゲ野郎を攻めてギャフンと言わせてやりましょうよ
 
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まだ自分の置かれた立場が分からないの、あっきれた!
あなた、野蛮と能無しの合わせ技ね
 
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なんだと、この女! やるのか?
 
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2人とも、その辺りにしておけよ。クラドグ、エレンの言う通りだ。
これ以上、今までの様に暴れ回るのは、もはや出来ぬな。
エレンもこの事を言おうとしてたのだろう?
 
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ハウェル、あなたは少しは脳があるようね。そう、その通りよ。
あなた達は隣国を攻めて略奪を続け、暴れすぎたわね。
私はダヴィッド王の父ラワルヒに言われて、あなた達の様子を見ていたの。
 
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何ですと! 俺が人質に連れてきた筈なのに、逆にスパイだったのか!
 
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スパイではないわ。あなた達を止めるためよ。ケレディギオンとダヴィッドの平和を守る為。
 
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エレンの父ラワルヒ王と、我が父カデルは親友だった。そうだろう。
 
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そうよ。でも、あなた達はやり過ぎた。私は、アゼルスタン王と親交のある父に頼んで、あなた達を止めるためにアゼルスタン王から圧力をかけるしかない、と思ったの。
だけど、、、、
 
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だけど、どうしたのさ。
 
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私が動くより先にイドワルに動かれてしまった。
イドワルは厄介だわ。我々に卑劣なプレッシャーをかけてくると思うの。
あの男だけは要注意と父も言っていたわ。暴君の父アナラウドの時の様に、自体は悪くならなければ良いけど。
 

仲良くなる?

 
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あのハゲ野郎! とっちめてやる!
 
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俺もそうしたいんだが。クラドグ、もう動かない方が良い。
 
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ん、、、そうかも知れないっすけど、、、
悔しいっすよ兄貴。
 
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しかしエレンの言う通りだ。もはや武力に頼るのも無益で、いやむしろ危険だ。アゼルスタン王が後ろ盾となっては、イドワルと対立する訳にもいかぬ。
 
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では、どうするんすよ〜兄貴。
 
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奴らを出し抜いて、戦わずして勝つ作戦を考えねば。
 
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そうね、そうしましょう。
 
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あれれ、兄貴とエレン急に意見があったな。
 
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そんな事言ってる場合じゃないでしょう。あなたも協力しなさいよ。
 
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おお、怖い怖い。
この展開は、、ひょっとして、、うひひひ〜
 

最後に

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今回のストーリーはいかがでしたか?

ハウェルとクラドグの祖父ロドリの時代では、ラワルヒ王のダヴィッド国もロドリの支配下にありました。それが、内乱でバラバラになっていました。

ダヴィッド国とケレディギオン国の関係は悪くはなく、後に統合されていく事になります。

イドワル・ヴォエル(イドワルのハゲ)というあだ名は面白いですよね。よく統治者にこんなあだ名を付けたものだと思います。

でも、よくあることみたいで、せっかち、手長、短足など付けられてましたよ。

 

 

このストーリーはウェールズの歴史をもとにした、たなかあきらのオリジナル創作ストーリーで、フィクションです。
 
参考記事:

www.rekishiwales.com

 

 

※歴史上の出来事や人物が登場しておりますが、フィクションでたなかあきらのオリジナルストーリーです。

 

第一話:
3本の矢はここにも存在した~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第1話~ 

第二話:
絡み合わない結束 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第2話~ 

第三話:
急流に変貌した結束 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第3話~ 

第四話:
磁力の反転 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第4話~ 

第五話:

混乱の果ての新たな希望 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第5話~ 

第六話:
意外な旗揚げで始まった復活への狼煙 ~たたかうカムリ戦士たち 第6話~ 

第七話:

伝家の宝刀より脅しより強いかも ~たたかうカムリ戦士たち 第7話~  

第八話:

隠れキャラと美女のにらみ合い ~たたかうカムリ戦士たち 第8話~ 

第九話:
悪いが同盟はやってない ~たたかうカムリ戦士たち 第9話~ 

  

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最後まで読んで下さりありがとうございました。
次回の展開をお楽しみに!

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