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イギリス・ウェールズの歴史ーカムログ

ウェールズ語ではウェールズの事をカムリ(仲間)と言います。歴史深いウェールズに触れて下されば嬉しいです

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戦わずして勝つ方法? ~たたかうカムリ戦士 第11話 

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ああ、こんな平和、いつか・・・

 

 

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こんばんは。ウェールズの歴史研究家たなかあきらです。

ウェールズの9世紀~11世紀にかけてウェールズ王家が分裂して戦いを繰り広げる様子を、様々な登場人物の人間模様の物語をシリーズで描いています。

前回の第10話は、イドワルに圧力をかけられた、お調子者のクラドグと兄のハウェルが強気のエレンと協力をし始めたという話でした。
さて、今回はイドワルに対抗する案を練る場面です。

www.rekishiwales.com

 

(登場人物は実在ですが、キャラはたなかあきら作です)

これまでのあらすじ 

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※分割していたウェールズ。緑の部分はイングランド

 

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中世のウェールズは、主にグウィネズ(Gwynedd)、デハイバース(Deheubarth)、ポゥイス(Powys)の三国に分かれた内乱や、アングロサクソン族のイングランドウェセックスマーシア)、さらにヴァイキングに攻められた苦しい時代でした。

9世紀にロドリ大王がウェールズを統一しましたが、アナラウドが暴君化しウェールズは乱れます。敗れたカデルの息子ハウェルは弟クラドグと共に勢力を広げますが、アナラウドの息子イドワルがイングランドの傘下に入り、圧力をかけます。兄弟は隣国王の娘、エレンと協力をして挽回を図ります。

<登場人物>

ウェールズの王室家系図

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カデルの息子ハウェル。意外と乱暴

 

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ハウェルの弟クラドグ。ちょっとお調子者。

  

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隣国ダヴィッド王ラワルヒの娘、エレン。気が強くクラドグはタジタジ。

 

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アナラウドの息子イドワル。冷静で冷淡、冷血。

 

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イングランド王、アゼルスタン。

 

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ウェールズ勢力地図。

 

決まらない作戦会議

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ウェールズ、ケレディギオン国のディネヴァウル城。
イドワルにどうやって対抗しようか、策を練っています。

 

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兄貴、どうやってイドワルのハゲ野郎と戦いましょう?


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クラドグ、戦ってはダメだ。

 

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えへっ、そうでした。戦わずして勝つでしたね。
戦い好きの兄貴も、最近急に変わったもんだ。
何かアイディアはあるんすか?

 

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戦わないのは正解だわ。だけど、勝てる考えはあるの?


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ううむ。残念ながら、妙案はない・・・
どうしたらよいものか。

 

驚きの妙案

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しかし、父カデルの言葉を思い出したんだ。これが戦わずして勝つヒントになるかも知れない。

 

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それはどんな言葉なの?

 

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それは、暴君アナラウドにケレディギオンを焼き放たれた時だった。クラドグはまだ幼く覚えてはいるまい。父はオレにこう言ったんだ。

 

「息子よ、ハウェルよ。再びウェールズを統一し平和な時代にしてくれ。そのためにしっかり学び実力を蓄えてくれ。ワシはイングランドに行ったことがある。独裁ではなく政治の仕組みがきちんとできていた素晴らしい国であった。
今のウェールズはどうか? 何の決まりもなく自分たちの首を絞め合う野蛮な国だ。ハウェルよ、お前はそんな平和で進化したウェールズを作ってくれ」

混乱の果ての新たな希望 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第5話~ 

 

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戦わずにイングランドに学べ、と言う事なの?

 

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そうだ。父は俺にイングランドの様な政治の仕組みができている国にウェールズもしなさい。その為に、学びなさい、と言ったんだ。

 

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驚いた。兄貴、今からイングランドに行くんすか?

 

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いや、イングランドには行かない。行ったとしても、無学な野蛮人としてあしらわれるだろう。増してや、イドワルとイングランド王は繋がっている。情報がイドワルに漏れ、より警戒されるだろう。

 

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じゃあ、どうするんすかよう、兄貴?


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俺はブリテン島から離れる事にする。行き先はローマだ。ローマなら、誰からも攻撃される事なく、存分に勉強できるだろう。

 

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ひえっ、ローマ!

 

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ローマですって?

 

 

びっくり・・・こそこそ話

 

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いや、兄貴の発想には驚いたっす

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私もよ。いきなりローマとは

 

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兄貴ローマ行っちゃったら、俺たちどうすりゃいいんすかね

 

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そうよ、そうよ。ケレディギオンはどうするのよ

 

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いっその事、兄貴について行っちゃいますか?

 

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ローマね。そうね、それもいいわね。


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ところでエレンのアネさん。ぐふっ、最近急に俺達、意見が合いまっすね。
えへっ、アネさん優しくなってきたし変わったなあと思うんすよ。
どうしたんすか? 兄貴の事、見直して惚れちゃったんすかね?

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なっ、何を言うのクラドグ。私は変わってないわ。そんな事より、、、

 

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そうすよね。アネさんは人質とは言え、兄貴は嫁さんにするって言ったしね〜
ヒヒヒヒッ~

 

出発

 

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何をそこでコソコソ話してるんだ。
いいか、俺はローマで政治の勉強をして、ケレディギオンの国づくりををし、もはや誰からも野蛮人と言われないようにするんだ。まずはこれがスタートだ。

 

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さすがは兄貴。賢いなあ。兄貴、俺も一緒に行っていいすか? 俺も勉強して学者になろうっと。

 

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クラドグ、お前はダメだ。エレンとここに残れ。

 

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ヒェ〜、兄貴は俺をずっとアホを続けさせるつもりですか?ぐすん。

 

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お前達も国を出たら誰がケレディギオンを守るんだ。
エレン、俺がいない間、お前の父ラワルヒ殿とケレディギオンを頼む。
クラドグ、お前はエレンを助けてくれ。それと、隣国の情報集めは続けてくれ。
帰ったら、お前にも学んだ事を教えてやるから。

 

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へ〜い、分かりや・し・たよ〜こ・こ・に・残りますよ〜だ


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まあ、身勝手な呆れた人ね。分かったわ、そうするしかないわね。せいぜい、しっかり学んで頭デッカチになって来てちょうだいね。

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ふぇ、いつもながらキツイお言葉。

 

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何か言いましたか?

 

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こうしてハウェルは、ローマに向けて旅立っていった。
ウェールズからローマの道のりは過酷なものであった。海峡を渡って大陸に着き、それから立ちはだかる多くの山脈を越えなければならなかった。
928年、ハウェルはウェールズの王族として初めてローマ巡礼を行ったのであった。

次回へ、つづく

最後に

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今回のストーリーはいかがでしたか?

ウェールズの王でローマ巡礼をしたのは、6世紀のカドワラドル王。それ以来のウェールズ王族の巡礼となりました。カドワラドルは当時、フランスに住んでいたため、ウェールズから巡礼して再びウェールズに戻ったのは、ハウェルは初めてと言われています。
ハウェルはウェールズ史上に残る行動を数多くしているのです。

 

 

 

※第一話~第十話まで

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最後まで読んで下さりありがとうございました。
次回の展開をお楽しみに!
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