イギリス・ウェールズの歴史ーカムログ

ウェールズ語ではウェールズの事をカムリ(仲間)と言います。歴史深いウェールズに触れて下されば嬉しいです

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隠れキャラと美女のにらみ合い ~たたかうカムリ戦士たち 第8話~

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こんばんは。ウェールズの歴史研究家たなかあきらです。

ウェールズの9世紀~11世紀にかけてウェールズ王家が分裂して戦いを繰り広げる様子を、様々な登場人物の人間模様の物語をシリーズで描いています。

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お調子者のワル、隠れキャラのクラドクが密かな人気となってます。
前回初登場した女性キャラ、エレン。エレンにクラドグはどう立ち向かうか?
はたまた、クラドグの兄ハウェルは何を考えているのか?

では今回の話を始めます。時代の隠れキャラに注目ください(笑)
(クラドグは実在人物ですが、キャラはたなかあきら作です)

前話:

伝家の宝刀より脅しより強いかも ~たたかうカムリ戦士たち 第7話~ 

これまでのあらすじ 

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※分割していたウェールズ。緑の部分はイングランド

 

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中世のウェールズは、主にグウィネズ(Gwynedd)、デハイバース(Deheubarth)、ポゥイス(Powys)の三国に分かれた内乱や、アングロサクソン族のイングランドウェセックスマーシア)、さらにヴァイキングに攻められた苦しい時代でした。

9世紀にロドリ大王がウェールズを統一しましたが、長男アナラウドが暴君化し、敗れた次男カデルは息子ハウェルにウェールズの平和を託します。しかし、ハウェルは荒っぽい性格で、弟のクラドグと共に隣国ダヴィッドに略奪を働き、王女のエレンを人質にとりました。

<登場人物>

ウェールズの王室家系図

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カデルの息子ハウェル。意外と乱暴

 

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ハウェルの弟クラドグ。ちょっとお調子者。

 

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隣国ダヴィッドの王、ラワルヒ。

 

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ラワルヒの娘、エレン。

 

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アナラウドの息子イドワル。冷静で冷淡、冷血。

 

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ウェールズ勢力地図。

 

美女と野獣の争い

 

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心の鎧

 

 

 ーーーーーーーーーー

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その頃、北ウェールズのルズラン城では、最近のハウェル達の派手な動きに眉をひそめ始めていた。

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何だかデハイバース付近がさわがしいですよ、イドワル様。

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うぬ。ハウェルが暴れているようだな。

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いかがしましょうか。
軍を派遣して黙らせましょうか。奴の親父の時の様に。

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それも良いかもしれぬ。
ただ。

イドワルはふと外に目をやった。今の我が国、グウィネズの平穏はどこから来ているのだろう? 戦わないからではないか。

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我が父アナラウドは暴君だった。戦いを繰り返しウェールズを荒らしてしまった。今、戦うのは賢明ではない。

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ええ、ごもっと。

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しかも、ブリテンを見てみろ。強国イングランドウェールズに迫っている。気を抜くと我々もやられてしまうぞ。

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ではハウェルをやりたい放題、野放しにしておくつもりですか?

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いや、そのつもりはない。
見えないプレッシャーを掛けて、黙らせてやろう。

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それはどんな妙案で?

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ふふふ。長い物に巻かれろだ。イングランドという。
巻かれて利用するのだ。

 

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一方、ウェールズ南部、デハイバースの一国、ケレディギォンのディネヴァウル城。

 

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クラドグ、やったなぁ。ご苦労、ご苦労。

 

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ハウェル兄貴、いひひっ。うまく行ったっすよ。
年貢も女も手に入れてきたっすよ。
もっと褒めてくれていいっすよ。

何か褒美くれよ、兄貴~


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ほお〜噂どおり、美しい。
お前がダヴィッド国のエレンか。

 

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エレンはきっ、とハウェルをにらんだ。

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ほお〜。なかなか。

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そおなんすよ、ハウェル兄貴。
この女の表情、ムカつくんすよ。
それはそうと、何か褒美くれる?

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なかなかやってくれるじゃないか。エレン。お前は人質として、いや俺の嫁になる為に来たのだろう?

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私はダヴィッド国の王女よ。無能な男、野蛮な男の妻になるつもりはないわ。


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そんな事を言ってタダで済むと思ってるのか? 兄貴は凄く強いんだぞ。
後悔しても知らないぞ。
むかつくなあ、 兄貴。
またダヴィッドを略奪して、黙らせます?

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そんなことしても無駄よ。
あなた、自分の置かれてる状況分かってるの?

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お前は自分の置かれている状況が分かってるのか?
人質だぞ。いや、お前は俺の妻だぞ。

 

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もし、いやだ、と言ったら?
野蛮な男、無能の男はいや、と言ったでしょう。

 

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こ、この女!! 

 

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無能じゃなかったら、怒らないわよね。

 

くくくく・・・


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私が一声かけたら、どうなるかお分かり?。私の父ラワルヒは、あなたの父カデル王に恩があったから、我慢して黙っていたのよ。無碍に戦いを起こしたくなかったから、黙っていただけ。父が動いたらどうなるかお分かり?


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こ、こいつ、俺たちを脅かしているのか?

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はははははっ。これは面白い。
俺たちを試そうって言うのか?
やってやろうじゃないか。
俺は俺の方法でやるぜ。

 

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おっ、さすが兄貴! やるんすね~

 

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クラドグ!

 

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へい、兄貴!

 

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お前、褒美を欲しがっていたな。

 

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欲しい、欲しいっすよ。くれるんすか?兄貴。

 

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クラドグ、南のアストラッド・タウィを略奪しないか?
攻めて奴らを打ち負かしたら、領土をお前にあげるよ。

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兄貴、本当っすか? 優しいなあ~
オレ張り切っちゃうな!
兄貴、バッチリ行こうぜ!

 

 

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うぉぉ~い

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ヒヤッ、ホー!

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分かっていないわね。野蛮な人たちね。
ま、状況を見ましょ。きっと後で後悔するわ。

 

最後に

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今回のストーリーはいかがでしたか?
兄ハウェルの隠れキャラである弟クラドグ。

クラドグの本名は、Clydog ap Cadell (クラドグ・アプ・カデル)。
兄のハウェルはHywel ap Cadell (ハウェル・アプ・カデル)と言います。

歴史上ではクラドグは殆ど出ることはなく、歴史書をみても父カデルの死後、領土はハウェルとクラドグで分け合った、くらいしか記述はありません。
この創作ストーリーでは、結構前面に出しましてワルぶりを発揮し目立たせてみました。

 

※歴史上の出来事や人物が登場しておりますが、フィクションでたなかあきらのオリジナルストーリーです。

 

第一話:
3本の矢はここにも存在した~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第1話~ 

第二話:
絡み合わない結束 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第2話~ 

第三話:
急流に変貌した結束 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第3話~ 

第四話:
磁力の反転 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第4話~ 

第五話:

混乱の果ての新たな希望 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第5話~ 

第六話:
意外な旗揚げで始まった復活への狼煙 ~たたかうカムリ戦士たち 第6話~ 

第七話:

伝家の宝刀より脅しより強いかも ~たたかうカムリ戦士たち 第7話~  

  

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