ヴィンランド・サガはなぜ面白いのか。その理由を分析してみた

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(18.7.13更新)
こんにちは!ウェールズ歴史研究家のたなかあきらです。

ヴィンランド・サガは中世のヨーロッパを舞台としたヴァイキングの漫画で、これまでに21巻まで発売されています。

ヴィンランド・サガを既に読んでファンになっている人も多いと思いますし、これから読んでみようと思っている方もいると思います。

僕もヴィンランド・サガに魅了され、いつもワクワクしながら読んでいます。

 

なぜヴィンランド・サガは面白いのか?
僕なりに分析をして皆さんにお伝えしたいと思います。

この記事とともに、さらにヴィンランド・サガを楽しんでくだされば幸いです。

 

※ヴィンランド・サガに関する記事一覧

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ヴィンランド・サガのあらすじ

 

 時代は11世紀の前半、ヨーロッパ中を荒らして略奪を繰り返していたのが、デンマークなどを拠点とするヴァイキングでした。そのヴァイキングの中で、父親を殺されて復讐に燃える少年がいました。この少年が主人公のトルフィンです。

「本当の戦士」とは何なのか?
「心休まる平和な日」を手にすることができるのか?

がテーマとして描かれており、残虐な戦闘シーンや哲学的な考え方も見どころです。

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ヴィンランド・サガの興味深いポイント3つ 

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僕はヴィンランド・サガの面白さを簡潔に表現するとこの3点になると思います。

①ストーリーとともに主人公の心境も変化し共感を呼ぶ。そこに哲学的な考えがある

②歴史的な背景に沿っており、歴史の勉強にもなる 

③キャラクターの個性が強くて面白く、実在人物がモデル

この3点について説明いたします。

 

トルフィンの変化とストーリー展開、そこには哲学があった

主人公トルフィンは成長するにしたがって大きく性格が変わってきます。またその時その時を象徴するかのような言葉があり、生き方の教訓にもなっています。

特に僕が印象に残った言葉を3つ取り上げます。

・誰にも敵などいない

⇒トルフィンが

・敵は強けりゃ強いほどいい
・奴隷も戦争もない国を作ろう

 

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 詳しくはこちらに纏めましたのでご覧ください。

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歴史的な背景に沿っており、歴史の勉強にもなる

 

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ヴィンランド・サガは11世紀の初めのヨーロッパを舞台にしており、当時の歴史の状況が良く理解できます。

必ずしも100%正確な歴史が描かれている訳ではありませんが、ヴィンランド・サガを読んでこの時代に興味を持ち、さらに深く知りたい!と思うきっかけになると思います。

 

ヴァイキングのイングランド侵略の時代の流れがわかる

10世紀から11世紀にかけて、デンマークのヴァイキングがイングランドに侵略を続けて1/3程度を奪いその領土はデーン・ローと呼ばれました。ヴィンランド・サガに登場するスヴェン王やクヌート王らはイングランド王の座まで奪ったデンマーク王です。
 
ヴィンランド・サガを読むと戦闘能力に優れるヴァイキングの資質に触れることができますし、イングランドに攻め入った当時の時代の流れをつかむことができます。  
 

 ウェールズという国を知ることができる

ウェールズはイングランドの隣、グレートブリテン島の西部に位置する国で、当時は小国群に分かれていました。山岳地帯の多いウェールズの当時の状況を知ることができます。 また登場人物のアシェラッドはヴァイキングとウェールズ人のハーフであり、ウェールズの血を深く感じるようになっています。
 
アシェラッドはウェールズの伝説の英雄、アーサー王(アルトリウス)の子孫であると宣言し、その行動や発言を通して、ヴァイキングと戦ってきたウェールズ人の誇りも感じることができます。  

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ヴィンランドとは何か?知ることができる 

ヴィンランド(Vinland)とは、かつての北アメリカのことをそう呼び、1000年にヨーロッパ人として初めて上陸したとされている、レイフおっちゃんのモデルである、レイフ・エリクソンが名づけたとされています。
 
ヴィンランドの意味は、ブドウ(vin)の地という説もありますが、草原(vin)の地を意味する説が有力です。 1010年ごろから主人公トルフィンのモデルである、ソルフィン・カルルセフニが移住を試みます。その時のストーリーが漫画化されているわけです。 
 
 

キャラクターの個性が強くて面白く、実在人物がモデル

 
ヴィンランド・サガに出てくる登場人物はとても個性的に描かれていて
それぞれの場面で持ち味を発揮して面白くしています。
多くの登場人物は実在人物をモデルとしています。
 
・主人公トルフィン

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アイスランド出身で北米大陸(ヴィンランド)の探検者、ソルフィン・カルルセフニ・ソルザルソンがモデルとなっています。
 
子供のころ→少年→大人になり、人懐っこい性格→戦争マシーン→平和主義者へと生き方を大きく変えながら、それに伴いキャラクターも変化していくのも面白いです。
 
・アシェラッド

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アシェラッドは実在人物ではなく架空の人物として物語に登場していると考えます。主人公トルフィンの父トルケルを殺したため、トルフィンに仇として狙われます。
 
アーサー王の子孫を宣言して(アーサー王自体、実在か不明です)、スヴェン王に向かっていく・・・前半のとても印象的なシーンを作り、悪役ですが隠れヒーロー的なキャラクターになっています。
 
・レイフのおっちゃん

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ヴァイキングの探検家。ヨーロッパ人として、西暦1000年に初めてアメリカ大陸に降り立った人物と言われています。このレイフの影響でしょうか?アメリカ大陸にはヴァイキングが持ち込んだと考えられる物が発掘されています。
 
 
・スヴェン王

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デンマークのヴァイキング王、スヴェン1世ハロルドソンがモデルです。悪役っぽくとても個性的な顔とキャラで描かれていますが、実際はどうだったのか?とても知りたいと思います。 
 
・クヌート王子

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スヴェン1世ハロルドソンの次男であるクヌート1世がモデルとなっています。最初は性格も外見も女の子のようにか弱くこんな人物が王子で大丈夫?と思います。
 
成長していくにつれ次第に男性の顔と王の風格を身につけていく変化が面白いです。実在のクヌート1世はイングランド、ノルウェー、デンマークの王座をも手に入れた強力な王ですが、実際はヴィンランド・サガに描かれたようなか弱い少年期だったのでしょうか??
 
 
・トルケル(のっぽのトルケル)

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ヴァイキングのヨーム戦士団の首領であるノッポのトルケル(Thorkell the Tall)がモデルです。すごい威圧感とひょうきんな性格が面白いですね。 

 

 

最後に

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もう一度、今回のポイントをまとめました。
 
①ストーリーとともに主人公の心境も変化し共感を呼ぶ。そこに人生に生かすことができる哲学的な考えがある
②歴史的な背景に沿っており、イングランド、ヴァイキングなど中世ヨーロッパの歴史の勉強にもなる
③キャラクターの個性が強くて面白い。実在人物がモデルとなっており、その人自身も知ることもできる と、読んでも調べても楽しく、心に残る漫画であると思います。
ぜひ読んで楽しんでくだされば嬉しく思います。

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最後まで読んでくださりありがとうございました。

コメント

  1. 弓使い より:

    父親はトールズですよ。

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