11世紀のことでした。
アイルランドに、グリフィズ・アプ・コナン(Griffydd ap Cynan)と言う青年が住んでいました。
グリフィズには野望がありました。
その野望は青年になってから事実を知り、
それは、北部ウェールズの国グウィネズを奪回して平和な国を作ることでした。
しかし、簡単に事は運ばなかった。彼は稀に見る、
生い立ち
「えっ、僕はグウィネズを治めていたウェールズ王室の血筋なのですか?」
「そうじゃ、成り上がり者のトラハエアルンが、グウィネズの領土を奪ったんじゃ」「本来ならば、
「僕が王に?」
「今の王、トラハエアルンは評判が悪い。
「僕が王に・・・」
※こいつがトラハエアルンじゃ
トラァ~
王座奪回できるか? 山あり谷あり
1075年、グリフィズが20歳の時に決意をしました。
グリフィズはアイルランド軍の援助を受け、北ウェールズに上陸しトラハエアルン軍と対決しました。
不意を突いたグリフィス軍はトラハエアルン軍を破り、トラハエアルンを国外に追放したのです。
💦💦
ひえ~
「やった、意外に簡単に王になった」
「おめでとうございます」
一気にけりがついたように見えたが、時代は11世紀初頭の乱世。
すんなりと行くはずは有りませんでした。
「ノルマン軍が攻めてきました!」
フランスからやってきて、イングランドを征服したノルマン軍が、まだ不十分とウェールズも征服しようと侵略してきたのです。
グリフィス休むことなく、
「トラハエアルン軍の反撃です!」
ノルマン軍と戦っている隙をついて、
トラァ~
今度は不意を突かれたグリフィズは成す術がありませんでした。
グリフィズはウェールズを脱出し、アイルランドへ逃げ帰りました。
💦💦
反撃なるか? 天下分け目の戦い
このままではトラハエアルンに勝てない。
トラハエアルンはウェールズ南部のカラドグ王と同盟を結び、グリフィズの反撃に備えていたのでした。
トラハエアルンに対抗するには、自分も仲間を増やさなければならない。グリフィズは隣国のリース王に声をかけました。
「リースさん、私と同盟を結び、
「それは名案だ。我が国デハイバースもカラドグに侵略され、
共に国を追われた似た者同士のグリフィズとリースは意気投合し同盟を結びました。
アイルランドからも援軍を受けたグリフィズは、
世にいう、ウェールズ版の天下分け目の戦いが始まったのです。
両軍がウェールズ北部の戦場にたどり着き、
トラァ~
負けるもんか!
ここでグリフィズ連合軍は、常識破りの行動に出た。
「軍は異動で疲れている。天候も悪いし、
「いや、日中戦っては、数の上でも敵が有利だ。
軍内で賛否はあったものの、戦いに備えて夜営を張ることなく、
いくぞっ!
トラァ~~~
暗闇で寝ているところに奇襲を仕掛けられトラハエアルン連合軍は
トラハエアルン、カラドグはいずれも戦死し、グリフィズはウェールズ王を奪回し、
天下分け目の戦いはグリフィズ連合軍の大勝利となったのです。
1081年、グリフィズが26歳の時でした。
よっしゃ!
💦💦💦
新たな脅威、絶体絶命のピンチ
「やった、長年の雪辱を晴らしたぞ」
「これでウェールズにも平和が訪れる」
油断したのか否か、
しばらく大人しくしていた、
ウェールズとの国境付近チェスターに住むノルマン人、
ああああああっ~~
ウェールズはノルマン軍に占領され、
💦💦💦
運を呼び込む見えない力
「ああ、僕は捕えられてしまった。
「いや、そういう訳にはいかない。
「でもどうやって・・・・」
グリフィズは捕らえられたまま、1年すぎ、2年が過ぎ、
しかし依然としてグリフィズは捕らえられたままでした。
希望を失い、絶望感に幾度となく襲われたのでしょう
体もやせ細り、体力もそがれたことでしょう
生きる気力さえ、失うこともあったかも知れません
「くそっ、こんなところで一生を終えるつもりはない! 諦めるもんか!」
グリフィズが捕らえられて12年とも16年とも言われているある日の事でした。
「囚人たちにも祭りに参加させてやろう」
「手錠と、足の鎖は外すなよ!」
祭りでは市場が開催されていました。突然、武装した集団が現れ、出店も囚人たちもあるもの全てさらっていったのです。
「なにをする!」
「いてててて、何をするんだ、どこへ連れて行くんだ」
「ご無沙汰です、グリフィズ王!」
故郷の奪回
「ノルマン軍がどんどん攻めてきます」
「もはや、ウェールズはノルマンのものになってしまうのか」
「ノルマン軍の横暴さには我慢なりません。略奪は横行し、高税金を掛けられ、我々は生きていけません」
「このまま、ノルマンの言うがままで良いのか」
「ウェールズで結束し、ノルマン軍に立ち向かおう」
「今がチャンスだ。ノルマン軍を攻めよう!」
「やった!ついにやった!我が祖国を自分の手に取り戻した」
「グリフィズのやつ、けしからん!」
イングランドとの激突と終結
「イングランド王、ヘンリー1世陛下!」
「なんだ騒がしい」
「ウェールズ内にいる我がノルマン軍はグリフィズに追われ、国境もおびやかされています」
「うぬぬ、こざかしい奴め。グリフィズ討伐だ! 容赦せずにコテンパにやっつけろ!」
「ウェールズの同士よ、ノルマン軍に心の強さは負けるな」
「我らの戦いを忘れるな。奇襲にロングボウ、自分たちの力を信じて立ち向かおう。きっと勝てる。ウェールズ魂を発揮しよう」
「くそっ、しぶとい奴め。金を支払えば、平和協定を結びお前の地位と領土を認め、攻め込むのはよしてやろう」
「分かりました。有難き幸せ。協定をむすびましょう」
「これで本当に平和が実現だ!」
「ふふふ、ワシの思うつぼだ。ウェールズで権力を握っているグリフィズの奴め、忌々しい。ノルマン軍の権力を思い知らせてやる」
へンリャ~
行くぞ!
💦💦💦
ついにウェールズに平和がやってきたのです。
最後まで読んでくださり有難うございました。
※グリフィズが活躍した時代の背景
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