こんにちは、たなかあきらです。
今回は中世の飲み物、とくにアルコールが入った飲み物になります。
中世の時代は、水はきれいでは無かったので、必然的に人々は色々な飲み物を楽しみました。貧しい人々は、エール、はちみつ酒、りんご酒を飲み、富裕層だけが様々なタイプのワインを楽しむことが出来ました。
これらの、あまり強くないお酒は、一人当たり約1ガロン(4.5リットル、8パイント)消費されていたそうです。
それぞれの飲み物の内容ついて、簡単にご紹介いたします。
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中世の飲み物、エールとビール
ビール(エール)は最も古くから飲まれた発酵飲料というだけでなく、中世で最も流行した飲み物でした。
ビールの誕生については諸説があり、紀元前8000~4000年までさかのぼるといわれ、文明とともに古くから人々に親しまれていたのは確かなようです。
人類最初の文明は、メソポタミアに興ったシュメール文明だといわれていますが、そこではすでにビールが飲まれていました。シュメールの人々が粘土板に楔形文字で描いたビールづくりの模様が記録に残っているからです。当時のビールの製法は、まず麦を乾燥して粉にしたものをパンに焼き上げ、このパンを砕いて水を加え、自然に発酵させるという方法だったようです。
ローマ支配下では、ビールは大麦で作られていましたが、後の時代では全ての種類の穀物が、ごちゃ混ぜに使われていました。そして、16世紀の終わり頃になってホップが加えられるようになりました。
十字軍遠征から戻るとき、飲み物だけでなく食べ物、ビールに至るまでスパイスを加えることが流行りました。
オールスパイス、ジュニパー、松やに、パン粉、セージ、ラベンダー、リンドウ、シナモン、ローレル、ヤマモモ、ニオイイリス、ロングペパーなどが加えられました。これらの様々なスパイスは、より高い風味のビールを得ることが出来ました。
他には、スモールビールと呼ばれる、はちみつを混ぜて甘くしたり、ラズベリーやアンバーグリス(マッコウクジラの結石)を混ぜて香り高くしたビールも登場しました。
(参考:松やにの味がするスコットランドのペールエール)
今日のビール。スコットランド産、PUNK IPA。キレがある苦味が爽やかで飲みやすく、うまい。コハク色も美しい。 pic.twitter.com/F5GhMVjHU2
— たなかあきら (@TAkr125) 2018年1月3日
中世の飲み物、サイダー
サイダー(シードル、りんご酒)やペリー酒(洋ナシを発酵させた発泡性ワイン)は、何も古代に起源を持つ飲み物と言われています。
紀元前1300年頃、エジプトのナイル川流域でリンゴの木が栽培されていたと言われていますが、サイダーが作られているかは不明です。
紀元55年頃、ローマ帝国の人々ががブリテン島に訪れたとき、ブリテンの人々がサイダーを飲んでいたそうです。ローマ人たちはサイダーを大いに気に入り、後にブリテン島に侵略したアングロサクソン人、ノルマン人たちにも広がり、ローマ帝国やヨーロッパ中で飲まれるようになったそうです。
サイダーはリンゴを水の中に浸し、リンゴの甘酸っぱい味を抽出して作られました。
現在では、例えば下記のようなリンゴ酒
中世の飲み物、ワイン
ワイン歴史の小話
ワインの歴史も長いです。
ワインの歴史は紀元前4000年の古代エジプト時代にまでさかのぼります。 当時の壁画には、ぶどうの収穫からワインの醸造までの工程が克明に描かれていました。 また、ほぼ同時期に栄えたメソポタミア文明の遺跡からは、ぶどうの果汁を搾ったと考えられる石臼が発見されています。
ブリテン島にはローマ帝国によって、ワインはもたらされたと言われ、ブリテン島でもワインの製造の試みがされましたが・・・
ブリテン島では、ブドウが完熟するのに十分に暖かな気候ではないので、保存のためと酸っぱくなるのを防ぐために、ワインに松やにを混ぜることもされていました。
しかし、あまりうまくいかず、イングランドでは殆どのワインを輸入していました。1372年には200隻の商船が、ワインを買うためにロンドンからボルドーに行ったという話もあります。
中世ワインの大会
ワインにまつわる話としては、フランス王フィリップ2世が開催した、有名なワイン試飲大会があります。
※フィリップ2世は、12~13世紀のフランス王で、偉大な王と評価され、尊厳王と呼ばれた。
70種類以上のワインがフランスやヨーロッパ中から集められ、イングランドの僧侶達がテースティングとジャッジを行いました。(スペインのアクウィラで行なわれた)
全てのワイン中でキプロス産のワインが賞賛を得て勝利したと書かれています。
※1224年に書かれた有名な詩「バトルオブワインBattle of Wines」
現在のキプロス産のワイン
Battle of the Wines – Wikipedia
1世紀後、フランス詩人ユスターシュ・デシャンはラインワイン、ギリシャ産のワイン、マームジー(ポルトガルのマデイラ産の甘口白ワイン)、グルナッシュ(スペイン、アラゴン州の赤ワイン)を賞賛しました。
現在のマデイラ産ワイン
現在のアラゴン産ワイン
様々なタイプのワイン
また、フランス王シャルル6世の勅令で、マスカテルやロゼットなどでワインが作られました。
キプロスワインの色や味がないものが通常で、マームジーは、水、はちみつ、サルビアジュース、ビールのかす、ブランデーで作られました。
最初は同じ名前が、自然のワインや、砂糖や香料、スパイスを加えたワインにも使われていました。それは1420年にポルトガル人がキプロスから持ち込んだブドウを使って、マデイラ諸島で作られたものです。
たくさんの種類のワインは、ニガヨモギ、ギンバイカ、ヒソップ、ローズマリーを浸出させて、甘いワインと蜂蜜を混ぜて作られました。
この種のワインで、最も有名だったのはネクターで(nectar)、スパイスやアジアのアロマ、蜂蜜で作られ、一般に「ホワイトワイン」と呼ばれていました。
中世の飲み物、フルーツワイン
ワインには果実のジュースを使い、通常のブドウを全く使わないワインもありました。
さくらんぼ、種なし干しぶどう、ラズベリー、ザクロ、クワの実を原料にしたワインです。
中には、通常のワインを作る時に使用した抽出済みのブドウのカスを水に浸して作る、酸っぱいワインもありました。
ハシバミの実、アーモンドのミルク、アプリコットの糖蜜、ラズベリーを使うワインは、清涼感があり、夏に飲まれました。
参考)チェリーやラズベリー入りの甘いなめらかなワイン
中世の飲み物、はちみつ酒(ミード)
はちみつは、はちみつ酒と呼ばれる甘いお酒を作るのに、使われました。はちみつ酒は全ての階級の人々が飲みました。
はちみつ酒の歴史概要
蜂蜜を原料とする蜂蜜酒は、ワインなどよりも古く1万年以上前からあったとされる人類最古の酒である。水と蜂蜜を混ぜて放置しておくと自然にアルコールになることから、発祥は人類がホップやブドウに出会う前の旧石器時代末にまで遡るといわれている。青銅器時代に蜂蜜の消費量が増加したことから、蜂蜜酒の生産がこの頃に拡大していたと推測される。しかし、ビールやワインなどの他の醸造酒が台頭するに連れて蜂蜜酒は日常的な飲み物ではなくなっていった。
最後に
中世の飲み物は現在と大きくは変わっていない部分もありますが、ビールもワインもかなり色んな材料を混ぜて飲んでいた様で、とても興味を持ちます。
中世の飲み物についてさらに情報を集め、自分でもトライしてみたいと思います。
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