アーサー王の姉「モルゴース」の名前の意味と時代による変化

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モルゴース(Morgause)はアーサー王物語に登場する人物です。 

 
モルゴースは、当初別の名前で登場し、時代を経て、アーサー王の半姉となり、名前もモルゴースになっていきました。

 
・アーサー王物語でのモルゴースの概要

・時代を経て変化したモルゴース

 についてお話しします。

 

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アーサー王物語のモルゴースの概要

モルゴースとアーサー王の関係

 
モルゴースは、アーサー王の父親違いの半姉になります。

モルゴースは、ゴルロイス(ティンタジェル公Gorlois)とイグレーヌとの間に産まれた長女です。一方アーサー王は、イグレーヌの後の夫ウーサー王(Uther)との間に産まれた男子です。

 
モルゴースはオークニーのロット王と結婚し、円卓の騎士となるガウェイン卿、アグラヴェイン卿、ガヘリス卿、ガレス卿らをもうけました。

 
しかし、モルゴースの夫ロット王は、当初アーサー王に敵対していました。

ウーサー王が病に倒れたころ、ロット王はサクソン族との戦いでブリタニア軍の指揮を任されていました。ウーサー王が亡くなり、アーサー王が後継者となったときに、ロット王はアーサー王を認めませんでした。

 

アーサー王を君主と認めない王たちがアーサー王に反逆を起こしました。ロット王を含む6人の王がカールレオンでアーサー王と戦い、さらにロット王を含む11人の王が、アーサー王とベドグレインで戦いました。

しかし、いずれもアーサー王が勝利し、ロット王の反逆側は敗れました。

 

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モルゴースとアーサー王の過ち

 

このべドグレインの戦いの後、アーサー王の様子を探るため、モルゴースはスパイとしてアーサー王の宮廷へ侵入しました。
このとき、アーサーはモルゴースの美しさに魅了され同衾してしまいます。

 

そして、モルゴースはモルドレッドを宿してしました。この近親相姦で生まれたモルドレッドが、アーサー王を破滅に導く原因の一つになりました。

 
※モルドレッドは後にアーサー王に反乱を起こし、カムランの戦いで共に戦死する

 

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モルゴースの最期 

魔法使いマーリンの予言により、アーサー王はモルドレッドを含む5月1日生まれの男の子を集めて、殺そうとしました。

(モルドレッドは奇跡的に生き延びる)

 

ロット王は、アーサー王に再び反乱を起こしました。アーサー王がモルドレッドを殺そうとしたこと、またはアーサー王とモルゴースの不義を知ったことが原因と考えられます。しかし、ロット王はペリノア王に敗れ殺されました。

 

未亡人となったモルゴースはラモラック卿を愛人としました。

しかし、このラモラック卿の父親はペリノア王であり、ロット王を討ち取った人物でした。

 

モルゴースはラモラックとベッドを共にしているときに、息子ガヘリスに見つかり、モルゴースは殺害されてしまいました。

 

※アンナ・モルゴースは、ブリタニーのブディック王(King Budic of Brittany)と再婚した、という話もありますが、これはモルゴースの妹エレインの間違いであると考えられます。
※ またモルゴースの姉妹にエレイン、モーガン・ル・フェイがいます

 

モルゴースの変化と由来

 

モルゴースは多くの名前があります。

時代ごとに名前も、存在も少しずつ変化していきました。

 

モルゴースの登場(アンナ)

モルゴースが初めて登場するのは、1136年のジョフェリー・オブ ・モンマス著「History of the Kings of Britain(ブリタニア列王史)」です。

 
初めはラテン語でアンナ(Anna)の名前でした。

アーサー王と同じ、ウーサー王とイゲルナ王妃の娘として書かれています。

 

そして、アンナはゴドッディンのロット王と結婚し、ガウェインとモルドレッドを産んだと、されています。

つまり、モルドレッドはアーサー王の甥になります。

 

未婚の母へ変化

13世紀後半の記述には、ロット王がウーサー王の人質となっていた時に、ロット王とアンナは愛し合い、未婚の子ガウェインが産まれた、と書かれています。

しかし、このスキャンダルを隠すために、ロット王はガウェインと共に送り返された、と言われています。

(De Ortu Waluuaniiによる )

 

アーサー王の半姉へ変化

 1205年の記述には、アンナはSangiveと呼ばれ(Wolfram’s Parzival )、さらに1225年にはイゲルナ女王と前夫との間に産まれた娘で、アーサー王の半姉と変化しました。

 

モルゴースの完成

1469年にトマス・マロリーが書いた「アーサー王の死」で、アンナはモルゴースの名前となりました。

そして、モルゴースと夫ロット王の間に産まれたのがガウェインであり、モルゴースとアーサー王の近親相姦によって生まれたのが、モルドレッドとなっています。

この「アーサー王の死」でモルゴースも、アーサー王物語も完成されました。

 

モルゴースの名前の由来 

モルゴースの名前は、あだ名であると言われています。

アーサー王の中で、モルゴースの夫ロット王は、ゴドッディンだけでなくオークニー諸島も治めていました。

このため、「オークニーのロット王」とも呼ばれています。

 
オークニー諸島(Orkney Isles)のラテン語はMorcades(モルカデス)で、これが変化してMorgause(モルゴース)になったと言われています。

つまりアンナ・モルゴース(Anna Morgause)とは、オークニーのアンナ(Anna of the Orkneys)の意味になります。

 

まとめ 

モルゴースは時代を経て、
・名前はアンナからモルゴースへ
・アーサー王の全姉から半姉へ
・ロット王との息子がモルドレッドから、アーサー王との不義の子がモルドレッド

へ変化しています。

モルゴースの存在の変化により、アーサー王の人間関係が複雑となりストーリーが面白くなって行ったと思います。

 

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