円卓の騎士ガウェイン。現実と伝説が混ざり合った騎士

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f:id:t-akr125:20161211142909p:plain(18.7.28更新)
「アーサー王の、円卓の騎士の中で、もっとも勇敢な騎士の1人であるガウェイン卿。今回は勇敢で、魅力たっぷりのガウェイン卿の話をしましょう」

※円卓の騎士一覧: 

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アーサー王物語と実在人物が混ざりあっているガウェイン卿

 

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「ガウェインはアーサー王の甥で、オークニーのロット王とアーサー王の異父姉モルゴースの息子なのです。弟には同じ円卓の騎士である、ガヘリス卿、ガレス卿、アグラヴェイン卿、さらに異父弟にモルドレッド卿がいるんだ」

 

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「ガウェインは円卓の騎士一家ですね」

 

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「そうなんだよね。ガウェインは若い頃はローマで教育を受け、スラピキウス教皇に騎士に叙せられた後、ブリタニアのアーサー王の宮殿に戻り、両親とも再会したんだ。
ハンサムに成長し、「雨のような髪」というあだ名もついたそうだ」
 

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「ガウェインは強さだけでなく、教養もありかっこいい人物だったんですね」

 

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「ガウェインはウェールズの物語の中ではグワルフマイ(5月の鷹)とも呼ばれているのだけど、実のところガウェインは実在人物なんだ」

 

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「それは興味深いですね~。実在人物のガウェインはどんな人ですか?」

 

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「実在人物としてのガウェインは、5~6世紀に現在のスコットランドにあったマナウ・ゴドディン(Manaw Gododdin)と呼ばれる国の王だったようだ。名前はサーヴァンとか、サーグウァンと呼ばれてたんだよ(Serwan、Serguan)」

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「実在人物もガウェインの名前に似てますね」

 

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「ガウェインに、サーが引っ付いた名前(SirGawain⇒Serwan)という説もあるんだ」「父のロット王はルッズやルダック(Lludd、Luddoc)と呼ばれ、ゴドディンの王だったんだ。ロット王の時に、国名もロット王にちなんだ、ロティアン(Lothian)と呼ばれるようになったようだ」

 

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「へえ~、ガウェインはスコットランドの王族の高貴な家柄なんですね。実在のガウェインはどんなことを行った人物なんですか?」

 

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「それなんだが・・・・実物のガウェインは、ほとんど国にいることなくこ国外に出ていた様子で、殆ど分かっていないんだ」

 

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「それは、つまんないなあ。でもまさか、国外に出ていた時に円卓の騎士として、アーサー王と行動を共にしていたりして」

 

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「そうだね。アサオ君の言う通り、国外にいるときに様々な冒険をしてアーサー王物語の中の伝説になったのかも知れないな」

 

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「それでガウェインはどんな冒険をしたのですか?」

 

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「じゃあ、ガウェインの有名な物語を紹介しよう!」 

 

ガウェイン卿と緑の騎士 

 

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「ある時、ガウェインがアーサー王の宮殿にいたとき、ベティラック卿が全身緑色の衣装を着てやってきた(緑の騎士)。そしてだれか自分を倒す者がいないか?と脅してきたんだ」

「だれも手をあげなかったんだが、ガウェインのみが受け入れて、言われたように緑の騎士に一撃を食らわし頭を切り落としたんだ。びくともせず、胴体は頭を持ち上げて、今度は緑の騎士が仕返しをするために、新年の日に再び会うようにと、ガウェインに言ったんだ」
 

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「新年の日まで待つのも嫌ですね。逃げ出したいくらいだと思います」

 

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「ガウェインは、その約束の日までガウェインはランカシャーにあるフットン城に宿泊したんだ。ガウェインが宿泊している間、フットン卿とガウェインは毎日、得たものをお互い与え合おうということになった」

「ところが、フットン卿が狩りで留守にしている間、フットン卿の妻はガウェインにキスをしてきた。このため約束の通りに、ガウェインはフットン卿にキスをした。三日目には、ガウェインは3度のキスと、グリーンの緑色のレースを受け取った。そして、ガウェインは3度のキスをフットン卿にも与えたんだ」
 

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「すごい誘惑ですね。そのままフットン卿の妻と不倫してしまいそうな・・・。ガウェインは誘惑に負けず、行きたくない約束を守れたんでしょうか」

 

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「こうして約束の日が近づき、ガウェインは約束の場所、 スタッフォードにある緑の礼拝場にに出かけたんだ。ガウェインは緑の騎士に迎え入れられ、ガウェインは運命を受け入れるために緑の騎士の前にひざまずいたんだ」

「緑の騎士は三度、ガウェインに向かって剣を振りおろしたんだ。そして、その中の一振りがガウェインに当たったんだ!」
 

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「ガウェインは無事だったんですか?!」

 

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「しかし、ガウェインは無事だったんだ。ガウェインの首をかすかに切っただけで済んだんだよ」

「そして、緑の騎士はガウェインにこう言ったのです。「よくぞ、命を惜しまず勇敢にもここに来た。フットン卿の妻の誘惑にも負けず、約束を守った。そして緑のレースは私のだ、だだから傷をつけた。これ以上傷をつけることない」。緑の騎士ベティラック卿はフットン卿だったんだ」
 

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「ガウェインの誠実さはすごいですね。円卓の騎士の心構えを試したような話でしたね」 

 

 

もう一つの緑の騎士のような話

 

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「同じような話があります。ガウェインが狩りをして道に迷ったとき、ケイ卿やボールドウィン卿と、カーライルに住むのカール卿の家に泊まった時のことです」

「カール卿はガウェインたちを、もてなすことはせず、代わりに戦いいくつもの試練を投げてきました。その中には、緑の騎士が行ったような、首を切り落とすゲームが含まれていました。ガウェインは再び、敵の首を切り落としたところ、大男にさせられていた魔法から解放した。カール卿は喜び、彼の高貴さもあり、試練を与えたり殺したりすることはしなかったそうです」

 

 

ガウェイン卿とラグナルの結婚

 

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「ガウェインは多くの恋人がいたことでも知られている。最低21人は文章に記されているそうだ。それぞれの妻にはそれぞれの伝説があるらしいけど、有名なのはガウェインとラグナルの結婚の話だ」

「アーサー王がウリエンス王とカーライルに滞在していた時のことだった。突然とても強力な騎士が現れ、アーサー王は打ち負かされてしまった。その悪魔のような騎士に「1年後になぞなぞに正解したら助けてやろう。もし答えられなかったらお前の命は奪う」、と言われたんだ」
 

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「なそなぞ、ですか? そのなぞなぞって、何だったんですか?」

 

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女性が男性に心から望むものは? なんだよ」
「しかし、
1年たってもアーサー王は満足のいく答えを見つけられなくて困っていたんだ。再びカーライル付近を旅していたところ、とても醜い老婆に出会ったんだ。老婆は「もし私の結婚相手を見つけてくれたら、なぞなぞの答えを教えてあげよう」、と言ったんだ」

 

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「アーサー王も困りますね。教えてもらったんですか? でも命が助かるんだったら、教えてもらっちゃいますね」

 

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「アーサー王はラグネルに答えを教えてもらったんだよ。ラグネルという醜い老婆に聞いた答えを、悪魔騎士に話したところ正解で、アーサー王は窮地を逃れることが出来たんだ」

「しかし、今度はラグネルと約束した結婚相手を探さなければならない、誰がこんな醜い老婆と結婚なんかするのだろうか?」
 

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「まさか、アーサー王が結婚? そんな話は聞いたことないですよね。誰かふさわしい人でもいたんでしょうか?」

 

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「ガウェインなんだよ。アーサー王に忠実なガウェインは、ラグネルと結婚しようと進み出て、アーサー王の困惑を救ったんだ」

 

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「さすがガウェイン。自己犠牲ですか・・・部下の鏡ですね」

 

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「結果的に自己犠牲にはならなかったんだけどね。こうして、ガウェインとラグネルは結婚して、供に生活を始めたんだ。ある日、ガウェインが目を覚ましたら、老婆のラグネルはおらず美しい女性が隣で眠っていたんだ」

「お前は誰だ?とガウェインがきいたところ、「私がラグネルです。実は私は半日老婆の姿で、半日は若い女性になる特異な身体なのです」と答えたんだ。そして、ガウェインにこう聞いたんだ、昼と夜、私はどちらが若い女性になったら良いですか?」

 

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「ガウェインはどちらを選んだんですか? 僕なら昼かなあ」

 

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「ガウェインは、アーサー王に聞いた答えを思い出したんだ」

 

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「あっ、その答えですね。何だったんですか、その答えは?」

 

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「あなたの好きにして良いですよ。つまり女性が男性に望むことは、自由にさせてもらうこと、だったんだ」

「ラグネルに掛けられていた魔法が解け、老婆の姿のラグネルは若い女性に変わりました。ガウェインとラグネルはとても喜び、幸せに暮らしました、とさ」

 

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「ガウェイン誠実な人柄がとても伝わってきますね。誠実さ、自己犠牲、女性に優しく・・・騎士道そのままの人物の気がしますね」

 

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※ガウェインはアーサー王のもとで、Gringaletと呼ばれる馬に乗り多くの冒険を行いました。数をあげたらきりが無さそうですね。

・ハートフォードシャーのレオストックををセグワリデス卿からの守る戦い
・ペテン師から真のグウィネヴィア王妃を守ったこと
・ドロラス塔へ投獄されたこと
・エジンバラ城から追放された騎士たちを打ちのめした戦い
・イヴェイン卿など最低16人の騎士たちとの戦い
・ペリノア家との争い
・聖杯探索への参加
 

「円卓の騎士」同士の戦い 、ガウェインの最後

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「ガウェインはグウィネヴィアとランスロットの不倫については、ガウェインの兄弟がランスロットに殺されるまでは、中立の立場をとったんだ。しかし、ランスロットとグウィネヴィアの不倫が発覚してからは状況がガラリと変わったんだ」

 

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「ガウェインは、誠実でないランスロットと戦うのですか」

 

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「グウィネヴィアが火あぶりの刑になるところをランスロットが救いに行ったときに、

ランスロットはガウェインの弟ガヘレスと争い、ガヘレスを殺してしまうんだ。そして、ガウェインはアーサー王を説得してランスロットとの戦いを宣言し、海峡を越えてランスロットを追ったんだ」
「そしてガウェインは、アーサー王に造反したランスロット卿との戦争で、ランスロット卿との一騎討ちでの決闘をするんだよ」
 

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円卓の騎士同士・・・・どちらも最強の騎士ですよね・・・」

 

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「ガウェインは午前中に力が3倍になるという能力を持っており、その力で圧倒しようとするが、この能力を知っているランスロットは防戦に徹して午後になるのを待つんだ。そして、正午となってガウェインの力た落ちたところで、ランスロットが反撃し、頭を一撃されたガウェインは倒れ敗れてしまうんだ。ガウェインは傷が癒えてから、再びランスロットに挑むけれどまたもや重傷を負ってしまうんだ」

※ガウェインの力の変化は、古代の太陽神を具現化したものと言われています。 
 

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「やはりランスロットは強いんですね。決着はついたんですか」

 

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「いいや、最終決着はつかなかったんだよ。モルドレッド卿がアーサー王に反逆し、アーサー王軍はランスロットとの戦いを中断して、急きょ戻ることになったんだ。アーサー王の軍は、モルドレッド軍とドーヴァーで戦ったんだが、ガウェインはドーヴァーの戦いで戦死てしまったんだ。お城の礼拝堂に埋葬され、そして頭蓋骨は長年にわたって保存されたそうだ」

 

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「ん~、ガウェイン残念、無念ですね。これでアーサー王も円卓の騎士も終わってしまったと思うと、寂しいです」

 

実在人物のガウェインのその後は?

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「実在人物のガウェイン(サーヴァン)は、スコットランドの一国、マナウ・ゴドディン(ロティアン)の王を務めているときは、南の隣国ギャロウェー(Galloway、この名前もガウェインから来ているそうだ)を攻めて領土を広げたりしたそうだが、隠居してウェールズに移ったそうだ」

「ウェールズのペンブロークシャーの海岸に、セントゴヴァンという礼拝堂(St. Govan’s chapel)を建てて、聖職者として暮らしたそうだ。ガウェインのお墓は、11世紀にペンブロークシャーのロスで発見されたという説もあり、ゴヴァンがガウェインかも知れないらしいよ」

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「とても興味深いですね。アーサー王物語のガウェインと、実在人物のガウェイン。どちらが真か分かりませんが、ガウェインの話を合わせると、とっても壮大なロマンを感じます」 

 

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「そうだな。実在人物をもっと調べると、新たなガウェインが見えてくるかもしれないな」

  

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