こんばんは。ウェールズ歴史研究家、たなかあきらです。ウェールズの創作歴史ストーリー、新たたかうカムリ戦士は毎週月曜日に公開しております。
先週の内容は、イアゴとオウァインは協力し合うようになりましたが、イアゴの弟イエウヴは協力には賛成しませんでした。しかし協力体制は始まっていきます・・・というわけで第7話をお楽しみください。
※前回の第6話
やめてよ同盟
ウェールズ西部、デハイバース国。
デハイバースを治めるオウァイン、グウィネズを治めるイアゴ。イアゴはオウァインを脅迫し実力行使に出ようとした。しかし、オウァインの息子マレドは魔力を持つハープを演奏すると穏やかになり、喧嘩をする気持ちを忘れて仲直りをしました。
そして、ウェールズを脅かすヴァイキングの侵略に対抗するために協力することを、お互い誓ったのであります。
「オウァイン殿、これからよろしく頼みますぞ」
「イアゴ殿、こちらこそよろしくお願いしますぞ」
「仲直りする曲なんか、聞くもんか! 耳せーん」
ヴァイキング撃退のため、イアゴのグウィネズ国に援軍として出かけるエイニオン。
「ただいま参上しました」
「おお、エイニオン殿、ご協力かたじけない」
「いえいえ、イアゴ殿の要請とあれば、すっ飛んできますよ。ヴァイキングを一緒にやっつけてしまいましょう」
「いやあ、心強い。デハイバース軍とグウィネズ軍が合わされば、ヨーロッパ最強軍団が出来そうですな、ははは」
「兄貴ぃ、エイニオンと一緒に戦うのはいいけどねぇ、ヴァイキングに勝ったら褒美は何をくれるんだよう。土地をくれるのかい?それともお金をくれるのかい?」
「ヴァイキングに勝って略奪したものを、イエウヴ、お前にやるよ」
「ふう~ん、分かったよぅ兄貴ぃ」
966年、エイニオン率いるデハイバース軍とイアゴとイエウヴが率いるグウィネズ軍は合流し、海を渡ってグウィネズに攻めてくるヴァイキング軍と戦った。
「やった、大勝利だ!」
「我々ウェールズが助け合えば、こんなに強い軍になるなんて」
「エイニオン殿感謝するよ」
「こちらこそ、イアゴ殿、お役に立てて良かったです」
「では、今度はエイニオン殿の国、デハイバースに攻めてくるヴァイキングを追い払おう」
「有難うございます」
「ふぅーん、しけたもんだなア。ヴァイキングに勝ったって、奴ら何にも持っていないんだよぅ。略奪したって、これっぽっちじゃあ、戦い甲斐がないよぅ」
「ねえねえ、兄貴よぅ」
今度は、イエウヴが率いるグウィネズ軍は、エイニオン率いるデハイバース軍と合流し、海を渡ってデハイバースに攻めてくるヴァイキング軍と戦った。
「やった、またまた大勝利だ!」
「やっぱり、我々ウェールズが助け合えば無敵だ!」
「万歳!万歳!」
同盟?勝手にしろ、俺は聴くもんか
ウェールズ西部、デハイバース国の居城。
「イアゴ殿、イエウヴ殿、感謝しますよ。エイニオンもご苦労」
「いやあ、皆さん、本当にありがとうございます」
「こちらこそ、オウァイン殿、エイニオン殿、お役に立てて良かった」
「みなさん、お食事の準備が出来ました。こちらへどうぞ」
「我々の勝利に乾杯!!」
「乾杯!!!」
「エイニオン殿、さすがに頼りになるなア。戦場での姿はりりしかったぞ」
「いえいえ、僕なんかまだまだです。イアゴ殿の勇ましい指揮があってこそですよ。戦いの采配はお見事でした」
「またまた、エイニオン殿、御謙遜を。あの手ごわいモーガンウィグとの戦いでモーガン王に勝利したことも納得だ。オウァイン殿、頼もしい息子殿がいて、うらやましい限りだ」
「いやいや、エイニオンもまだまだ青二才だ。イアゴ殿、こいつが失礼なことをしたらビシッと、言ってやってくださいよ」
「ははははは」
「ははははは」
「何が、ははははは、だよぅ。勝利してもさぁ、略奪してもさぁ、全然たいしたモノが無いじゃんかよぅ。ねえ、兄貴ぃ、どうしてくれるんだよう。これじゃ、戦った意味がないじゃんよう」
「うるさい! イエウヴ。めでたい席に、そんな文句ばかり言ってるんじゃない!お互い協力して勝てたことをもっと喜んだらどうなんだ!」
「俺は協力なんてどうでもいいんだよう。兄貴が勝ったら褒美くれるって言うから、いつも戦うんじゃんかよう。でもこんなシケタ戦利品じゃさぁ、やってられないんだよ~。兄貴も知ってるじゃんかよ~。兄貴ぃ、他に褒美をおくれよぅ~」
「うるさい、黙ってろ!」
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「めでたい席はいいんだけど・・・」
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「何がめでたい席なんだよ、俺には何にもめでたいことはないんだよぅ!」
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「そうだよな、勝利をお祝いしなきゃいけないんだと思うけど、なんだか心がすっきりしないなあ」
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「すっきりしないどころか、オレは同盟に、兄貴にムカムカしているんだよぅ。略奪しても何も得られないし、兄貴は何もくれない!!」
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「デハイバースとグウィネズが協力したのはいいけど・・・勝利したのはいいかも知れないけど・・・やっぱり、ヴァイキングとは戦っちゃったんだよなぁ。ヴァイキングとの戦いも避けられないのかなぁ。やっぱり、戦わなくちゃ、いけないのかなあ~」
ふうう~
水は清く、緑深く、いのちにあふれる我がウェールズ
小鳥は歌い、動物は踊り、人は楽器を奏でる
ゆたかな国ウェールズ、よろこびの国ウェールズ
僕らはみんな、ひとりはみんな
すべての生き物たちが、助けあって喜びあって、感謝しあって
生きていこう
「さすが、マレド殿のハープは素晴らしいな」
「下手の物好きですわ」
「この素晴らしい曲のおかげで、心が静まり我々は協力できたようなものだ」
「うむ、そうかもしれないな。奴の演奏を聴くと、妙に気持ちが安らぐ」
「奴の演奏を聴いたおかげが、このざまかよぅ。俺は全然嬉しくないぞ、この曲のおかげでみんな協力してさぁ、おかしくなっちゃっているんだよ。俺は、聴かないよう。耳をふさいで、聴かないよ、絶対に! ぶっつぶしてやる!」
とうとう、イエウヴの怒りが爆発か?! 次回以降に続く。
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最後まで読んでくださり有難うございました。
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