(19.11.10更新)
こんにちは、たなかあきらです。
アーサー王の名前は、アーサーでよいのでしょうか?名字はないのでしょうか?
アルトリウス、アルトゥース、ペンドラゴン、ウーサー・・・アーサー王に関する色んな名前が出てきます。
いったい、アーサー王の本名はどれなんでしょうか?
今回は、アーサー王の名前について、
・アーサー・ペンドラゴンは正しいのか?
・アーサー王の本名はこうじゃないか?
について議論いたします。
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ペンドラゴンの名は?どのような意味を持つのか?
ペンドラゴンという名前は、アーサー王の父と言われている、ウーサー・ペンドラゴンから来ている名前です。
ペンドラゴンが、仮に名字であるとしますと、アーサー・ペンドラゴンは、現在の欧米人の名前の通り、ファーストネーム(名前)+セカンドネーム(名字)と考えてもおかしくはないと思います。
しかし、ペンドラゴンという呼び名は名字ではなく、ウーサーの「あだ名」であると考えられます。
というのも、中世のブリトン人(ブリタニアの人々)は、名字を持たず、自分の名前の後にあだ名(動物や体の特長を意味する)を付けることが通常でした。
ペンドラゴンの意味は、ペン(ウェールズ語で頭)+ドラゴン(竜)の意味です。
つまり、頭にドラゴンの鎧をかぶっている、または頭上にドラゴンの旗を掲げて戦場に出ている、と考えられます。
もしアーサーもペンドラゴンと呼ばれていたのなら、ドラゴンを頭につけたり旗を頭上に掲げていたのでしょうか?
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アーサーの本名はこう書く
中世のブリトン人は名字を持たない代わりに、あだ名をつけるだけでなく、正式には、親の名前を自分の名前の前に付けていました。
例えば、ウェールズ王室の開祖と呼ばれているキネダ(Cunedda)は、父の名前がエダン(Edern)であり、
キネダ・アプ・エダン(Cunedda ap Edern、エダンの息子キネダ)
と呼んでいました。これが、一般的なブリトン人の正式な名前になります。
これを考慮するとアーサー王の本名は(アーサーが本当の名前だとすると)
「アーサー・アプ・ウーサー(Arthur ap Uther)」となります。
アーサーは本当に名前か?
アーサー王(Arthur)の名前は、アルトリウス(Artorius)やアルトゥース(Arturus)が由来となっているという説があります。
いずれもラテン語でローマ的な名前ですが、この当時のブリタニアは、まだローマ帝国の影響力が残っており、名前もローマ的であっても何ら不思議はないと考えられます。
しかし、アルトリウスもアルトゥースという名前の人物は実際にいなかったという説があります。
ブリトン語にはArtorī(gi)osという言葉があり、これは熊の王を意味し、ウェールズ語のArth「熊」+(g)wr「男」という意味です。
また、牛飼い座の恒星にアークトゥルス(Arcturus)があり、アークトゥルスは古代ギリシア語に由来する言葉で「熊の守護者」を意味しています。
つまり、アーサー(アルトリウス、アルトゥース)も、熊を意味する「あだ名」ではないか、と推測できます。
熊のように体が大きかった、熊のように強かった、などと推測されます。
では、アーサーがあだ名なら、いったい本当の名前は何なのでしょうか?
色んな憶測ができます。
アーサーがあだ名だったら本名は?
アーサー王には数多くのモデル人物がいます。
<アーサー王のモデル人物例>
・ルキウス・アルトリウス・カストゥス
・マグヌス・マキシムス
・コンスタンティンⅢ世
・アンブロシウス・アウレリアヌス
・リオタムス
・オウァイン・ダントグウィン
などが挙げられます。
これらの人物のうち、誰かがArth「熊」を意味するあだ名を持ってる人物はいるのだろうか?
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オウァイン・ダントグウィンの説を紹介
この中で、「アーサー」という名前に最も関連がある人物がいます。
5世紀に現在のウェールズで活躍したオウァイン・ダントグウィンです。
ダントグウィン(Ddantgwyn)はあだ名で、白い歯(刃))という意味です。なんとなく、アーサー王の剣、エクスカリバーを彷彿させます。
※他の人物は、すべてローマ的な名前でローマ帝国との関連があります。
オウァインの父は、エイニオン・アプ・キネダと言い、北ウェールズの王でした。
エイニオンに、Yrth(せっかち)というあだ名がついており、エイニオン・イースと呼ばれていました。
このYrthに男(g)wrをつけてみると、イーサー(Yrthwr、Yrthur)となり、アーサー王の父ウーサー(Uther)に似ていると思いませんか?
また、オウァインには、白い歯(刃)以外に、Bear(熊)というあだ名もあった、という説もあり、ますますアーサーを彷彿させます。
※オウァインの息子、シンラス(Cynlas)はブリタニアの暴君と呼ばれ、シンラスのあだ名が熊である、という説もあります
さらに、興味深い話があります。
オウァイン・ダントグウィンは、兄を後継して北ウェールズの王になるはずでしたが、甥のマエルグウィン(Maelgwn)との戦いに敗れて戦死した、という説があります。
マエルグウィンは、アーサー王物語に登場するモルドレッドのモデルとも言われています。
オウァインはマエルグウィンと北ウェールズにあるカムランの谷で戦っています。
アーサー王とモルドレッドが最後に戦ったのもカムランの戦いであり、共通点が見られます。
纏めますと、アーサーは「熊」を意味するあだ名で、オウァインのあだ名がアーサーであったのではないか、という説です。(筆者説)
そうすると、アーサー・アプ・ウーサーはあだ名を記したもので、
アーサー王の本名は、「オウァイン・アプ・エイニオン」であったのではないか、と言うことになります。
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