魔術師マーリンは二人いた アーサー王物語に関連する二人のマーリン

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f:id:t-akr125:20161204125616p:plain(20.2.1更新)
こんにちは、たなかあきらです。
アーサー王物語に登場する魔術師マーリンについてです。マーリンはアーサー王に関する様々な映画やドラマなどにも登場してますよね。

この魔術師マーリンとは、どんな人物なのでしょうか?
実は、歴史上では2人存在していたのです。 

 


「えっ、本当かの?」

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魔法使いのマーリンとは?

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アーサー王物語に登場するマーリンは、魔法を使いアーサー王に助言や予言をするなど、アーサー王物語の中では重要な役割をしめています。

マーリンとはどんな人物だったのでしょうか?

魔術師マーリンは2人いるといわれています。ひとりは、5世紀の前半にウェールズ地方の悪王ヴォーティガンの話に登場する第一のマーリン、マーリン・エムリス(Myrddin Emrys)、もう一人は6世紀の初め頃のスコットランドに登場し 狂人となってしまった第二のマーリン、マーリン・ウィルト( Myrddin Wylt)です。

 

第一のマーリン 


「わしゃ、ウェールズ出身の王族じゃ」

なぜマーリンは魔法が使えたのか

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マーリンはウェールズ南西部にあった、ダヴィッド国(Dyfed)の王女の息子として生まれました。名前は、ウェールズ語でMyddin(マーディン)でしたが、フランス語のmerde(うんこ)に似ていることから、アーサー王物語の中ではラテン語読みのMerlin(マーリン)に変えられたという説もあります。

 

なぜマーリンは魔法が使えるのか?

 

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その原因はマーリンの父親にあります。マーリンの父は天使で王の修道院に訪れ、子供を置いて行ったそうです。マーリンの敵たちは、マーリンの父は本当の悪夢であり、悪魔の魂であり、眠っている女性を犯したと訴えました。

マーリンは幸運にも、生まれてすぐキリスト教の洗礼を受けて、悪魔の部分だけを取り除かれて、魔法などの力はそのまま持つ事が出来ました。

 

マーリンの魔力

 
「ワシの魔力は強力じゃ」

予言

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マーリンが活躍した時代は、ローマ帝国がブリタニアから去った5世紀に、ヴォーティガンという人物が現れ、王の座を簒奪しました。

ヴォーティガンは侵入してくるサクソン族と戦い、ウェールズのスノードニア山岳地帯にやってきました。そこで、ヴォーティガンは安全を確保するために、要塞を建てようとしました。しかし、要塞は何度建ててもすぐに崩れてしまい、なかなか完成しませんでした。

 

ヴォーティガンお抱えの魔法使いはこう言いました。

<生け贄となる父なし子が、問題を解決してくれるだろう>

 

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しかし、そのような子供を見つけるのがとても困難でしたが、マーリンは人間の父親を持たず、利用するのに適した子供であり、適任でした。

生け贄が行われる前にマーリンは予知能力を使用しました。

 

<要塞が建築できないのは地下プールに住む赤い竜と白い竜が原因なんだよ>

 この理由は、マーリンによると赤い竜はブリタニア軍を意味し、白い竜はサクソン軍を意味しており、最初は白い竜が優勢でしたが、赤い竜が盛り返していたそうです。

これは何を意味するのか?マーリンは再び予言を始め、こう言いました。

 

<ヴォーティガンは殺され、アンブロシウス・アウレリアヌスが王となり、その後は弟ウーサー、さらにはウーサーの息子アーサーが偉大な指導者になると予言をしました。そして、アーサー王は攻めてくるサクソン軍を押し返すだろう>

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超パワー 

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その予言の通り、ヴォーティガンはアンブロシウスに復讐されて殺され、アンブロシウスがブリタニアの王座を奪いました。その後、マーリンは祖父が所有していた小さな領土を受け継いだようです。しかし、マーリンは神秘的な人生を送ろうと願い、領土を去りました。

ヴォーティガンが王だった時代に、サクソン軍の計略にはまり460人ものブリタニアの貴族たちは、平和会議で殺されという痛ましい事件がありました。

アンブロシウスは、犠牲者の霊を鎮めるための記念碑を建てようと考え、マーリンに相談をしました。マーリンはウーサーを連れて、アイルランドを探検し、ジャイアントリングと呼ばれる巨大な石を見つけました。マーリンは規格外の魔力を使用して、巨石を動かし、アイルランドから、アメスベリーの西側にまで運びました。

そして、そこにブリタニアの貴族たちの墓を建設しました。そして、私たちは今ではこの場所をストーンヘンジと呼んでいます。

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これ以降のマーリンは、第一のマーリンなのか、第二のマーリンなのか切り分けが難しい部分があります。とりあえず、切り分けが難しい部分は、第一のマーリンの中で記述します。

アンブロシウスが亡くなった後、やはりマーリンの予言通りに、弟のウーサーがブリタニア王になりました。ウーサーは、コーンウォール公ゴルロイスの妻 、イグレインに恋をしてしまいます。

ウーサーはマーリンの魔法の力によって、ゴルロイスに姿を変えて城に侵入し、夫と思ったイグレインと床を共にします。ゴルロイスは城の外におびき出され戦闘となり殺害されてしまいました。

この時、イグレインには子供が宿り、生まれたのがアーサーでした。魔法をかけた引き換えに、マーリンは生まれたばかりのアーサーを引き取り、エクトル卿に預けて育てます。

そして、マーリンはアーサーを王にさせるため、魔法を使って岩に刺さった剣を引き抜くコンテストを仕組んだのです。後に、マーリンは妖精、湖の乙女に出会い、魔法の剣をアーサー王にプレゼントするように説得しました。これがエクスカリバーです。

更に、マーリンは円卓をも作り出し、アーサー王やキャメロットの国を導き助けることに従事するのです。

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マーリンの最期

 

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マーリンは、エクスカリバーを手渡した湖の乙女に深く恋をしてしまいます。マーリンは湖の乙女に魔法を教えることを引き受けました。

しかし、湖の乙女の魔法の技術は目を見張るものがあり、マーリンを凌ぐほどにまでなりました。マーリンの奴隷になることを嫌い、湖の乙女はマーリンをガラスの塔で作った牢屋に閉じ込めてしまいました。

マーリンが拘束されているときに、アーサー王は徐々に力を失い円卓の騎士たちの間にも争いが生じ、ついにはカムランの戦いでアーサー王は最期を迎えることになったのでした。

 

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それほど、マーリンの力はアーサー王を支え、大きな影響を及ぼしていたと言えます。見方を変えると、マーリンの意思こそが、アーサー王をコントロールして、国の将来を決めていたのかもしれません。


「ワシもなかなか、やるじゃろ」 

 

 第二のマーリン 

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アンブロシウスが登場する時代、ストーンヘンジを作る辺りのマーリンまでは第一のマーリンであると思います。しかし、アーサー王が誕生する頃のマーリンは、第一のマーリンか第二のマーリンか、どちらとも解釈ができ切り分けは難しいかもしれません。
間違いなく、第二のマーリンである狂人となったマーリンのお話をします。 

 


「こっちもワシじゃ」

スコットランドのマーリン説

 

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マーリンには、アーサー王物語よりさらに先の話があります。マーリンはアーサー王がカムランの戦いで戦死した後、ブリタニア北部に旅に出ます。

そして、現在のスコットランド付近にある ケア・グウェンドレウ国(Caer-Guenoleu)のグウェンドレウ王の部下となります。この地では、マーリンはライロケンまたはラロガン(LailokenまたはLlallogan)と呼ばれていました。

 

ある時、グウェンドレウ王は近隣の3か国と戦争になります。勢力を誇るストラスクライドのリデルヒ王、エブラウク国のペレディル王、ドゥナウティング国のドゥナウト王です。

この戦いで、マーリンが仕えたグウェンドレウ王と甥と兄弟たちは戦死してしまいます。マーリンは深い悲しみのあまり気が狂い、森の中に逃げ入り姿を隠してしまいます。マーリンは森の中で暮らし、野生のマーリンと呼ばれるようになりました。

その後、義兄弟のリデルヒ王に発見され、ストラスクライドの王宮に連れてこられそこで暮らしたそうです。

※ペレディル王はアーサー王物語に登場する、円卓の騎士パーシヴァル卿のモデル人物です。この記事に戦いの様子を書いています。

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「じゃ、またね」

最後まで読んでくださり有難うございました。

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