中世のロングボウとクロスボウ どちらが強いか。なぜロングボウが活躍できたのか?

西洋武器
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こんにちは、たなかあきらです。(20.12.29更新)

今回は、ロングボウ(長弓)のお話です。

12~13世紀のウェールズでは、ロングボウを持ったロングボウマンと呼ばれる人々が大活躍をし、しばしばイングランド軍の攻撃を撃破しました。

さらに13~14世紀において、イングランド軍はこのウェールズのロングボウマンたちを雇い、100年戦争の数々の戦いでフランス軍を圧倒しました。

ロングボウはどんなところに優れていたのでしょうか?

当時も使用されていたクロスボウと比較をしてみました。

How the Medieval Longbow Cut Down a French Army in 1346
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ロングボウとクロスボウの特徴の概要

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13世紀に活躍したイングランドのロングボウは、長さが4フィート以上(約120cm)あり、中には6フィート(約183cm)、有効的な飛距離は300ヤード(約274m)と非常に遠くの標的を射ることができました。

しかし、だれでもロングボウを操ることはできず、狙いを射抜くには熟練の技が必要でした。


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クロスボウ

一方、11世紀に活躍したクロスボウは、有効飛距離は60ヤード(約55メートル)と短いです。弓矢をセットしてロックを外せば、ばねの力により矢が飛ぶので、熟練の腕は必要なく比較的だれでも矢が放てます。


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ロングボウ vs クロスボウ

比較実験その①  短距離

ロングボウとクロスボウの威力を比較した動画があります。

ロングボウは、中世の戦士たちがよく着ていたチェインメイル(くさび帷子)を容易に打ち抜くことができる威力はあります。

しかし、ピカピカのプレートアーマー(鉄板で作った鎧)は、穴は開くものの跳ね返されてしまいました。

これに対して、クロスボウもプレートアーマーは射抜けませんでしたがが、鎧に跳ね返されず、突き刺さりました。

ロングボウよりクロスボウの方が威力があるのでしょうか?

 

比較実験その② 距離を変える

こんな比較実験もありました。ロングボウ、クロスボウ、銃での比較です。

20ヤード、40ヤードと短い距離では、ロングボウ、クロスボウともに鎧を撃ち抜けませんが、鎧に隠されていない部分を狙うことが出来ます。

しかし、60ヤードと遠くなるとクロスボウは距離が十分に届かず弱くなり、ロングボウは当たりません。

※この文章の動画はすでに削除されているようなので、関連の動画を載せておきます。

比較実験その③ 威力を数値で表す

ロングボウとクロスボウの威力を数字で測定した例もあります。中世のロングボウとクロスボウの威力を表でまとめてみました。

張力はクロスボウが非常に強いですが、ストロークは逆にロングボウの方が長いです。そのため、矢の持つ威力(エネルギー)は、さほど変わりません。

ロングボウ クロスボウ
張力 約422N 約2000N
弾くストローク 約64cm 約11cm
矢の重さ 45グラム 60グラム
矢のスピード 44.5m/s 42.4m/s
矢のエネルギー 45ジュール 54ジュール

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これらを見る限りでは、ロングボウとクロスボウの性能に大きな差はなさそうです。
ではなぜロングボウで、100年戦争でイングランド軍がフランス軍になぜ大勝したのか?

ロングボウのメリット

比較実験その④ 発射数を比較

ロングボウとクロスボウ、どちらがたくさん討てるかを比較した動画です。


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ロングボウは約5秒に1回討てますが、クロスボウは約8秒に1回しか討てません。
戦場で、クロスボウをセットに手間取っている間に、ロングボウはどんどん敵を討つことが出来ます。この点は、ロングボウに軍配が上がりました。

それに、やはりロングボウの特徴は、非常に長距離の的を射抜くことができます。
たとえ射抜けなくとも、大勢の人が一度に雨の様に打てば、遠くの敵を倒すことが出来るでしょう。


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つまり、クロスボウの軍隊に対して、ロングボウを持った兵士をずらりと並べ、遠くに離れた敵に向かって雨あられのように止めどなく矢を放てば、敵を寄せ付けずに倒すことが出来たのではないかと考えられます

たとえ鎧を撃ち抜けなくとも、鎧の隙間を射ぬき、敵を倒せます。ロングボウのメリットを利用した、戦略の勝利だったともいえると思います。

※1346年に起きた、クレシーの戦いでのロングボウの活躍

クレシーの戦いではエドワード3世率いる少数のイングランド軍(約1万2千人)がフィリップ6世率いるフランス軍(約3万 – 4万人)を打ち破った。

まずフランス軍のジェノヴァ人の傭兵で構成されたクロスボウ部隊が射撃を行い、戦闘が開始された。対するイングランド軍は、ウェールズ人の自由農民で構成されたロングボウ部隊が応射し、射撃戦となった。

エドワード1世の時代より時間をかけて鍛え上げられてきたロングボウ部隊は練度も高く、クロスボウに比べて扱いの難しいロングボウを完璧に使いこなしていた。ロングボウは間接照準で上方に向かって打ち上げることにより射程の点でクロスボウに勝った。

また1分間に1、2発程度しか発射できないクロスボウと、1分間に6 – 10発と速射性能で大きくまさるロングボウとの差は明白で、クロスボウ部隊は散々に打ち負かされた。
(ウィキペディアより)

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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