中世ヨーロッパ 貴族女性のドレス(動画と画像つき)

中世の暮らし
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こんにちは。たなかあきらです。(19.12.1更新)

この前は、中世の王たちの服装のお話をしました。

「では、中世の貴族女性はどのような服装をしていたのでしょうか?」

 

👉>>中世ヨーロッパ 貴族や王の服装(時代別)

 

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中世の服装やドレスなどのファッションは、中世ヨーロッパのピラミッド形の階級社会と同じように区分されています。

ピラミッドの上位の地位にある、わずかな豊かな人々だけがドレスを着ることができ、人々が衣服に使えるお金など支出は法で規制されていました。

「中世の服装や、頭の被り物を見ると、着ている人の地位や身分がすぐに分かるようになっていたのです。」

 

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今回は、ピラミッドの頂点に立っている貴族女性の服装について、イングランドを中心に紹介します

 

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900 – 1000年頃の貴族女性の服装

 

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中世の初めの頃、10世紀の女性のドレスは、まだギリシャやローマ時代の古典的なスタイルの影響を受けていました。

 

ドレスはとてもタイトにできていて、優美さを醸し出していました。
ドレスの中には、首を完全に隠すことが出来るほど上まで覆うものもあり、かかとまで届くほどの長いチュニックをウエスト付近で締めて、手首付近もぴったりとしていました。
(チュニックはスリーブのあるもの、無いものがあった)

 

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衣服は2種類のチュニックとヴェールや垂れ幕で作られ、ヴェールや垂れ幕は頭の部分から前や後ろの方向に下がり、首を完全に覆っていました。

女王や王女、そして高貴な女性は、さらに毛皮の裏地がついた長いマントを着ていたんですよ。


※チュニック:古代ギリシャ・ローマのひざのあたりまであるシャツのような外衣

※イングランドはアングロ・サクソン族が支配していて、ヴァイキングなどの侵略と戦っていた時代です

 

<この時代の中心であった、ローマ時代のファッションの例>


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1000 – 1100年頃の貴族女性の服装

 

 

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この時代の女性のドレスは2種類のチュニックで作られ、丈は長いですが身幅の狭いものでした。

 

・ドレスの袖は手首の所で細く、たくさんの折り目やひだが編まれた

・ドレスの下の方や首、袖の境目などは装飾品のついたバンドで飾られた

・オシリの上につけたガードルによって、腰の部分は円形になっていた

・長いヴェールは、完全に髪の毛を隠して頭の上で固定された
肩もかくして足まで垂れ下がっていた

・下着は様々な色で、ガウンや外側に着るチュニックは白色であった


※ガードル:ウェストやヒップの形を整えるために女性が着けるコルセット

※アングロ・サクソン族のイングランドにおいて、1066年にフランスから攻めてきたノルマン人によって征服されました。ノルマン人の影響を強く受け始めた時代です

 

<服装の例>


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1100 – 1200年頃の貴族女性の服装

 

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この時代の女性は、リネン製の帽子をかぶり、帽子の垂れ下がりは肩までかかっていました。

 

・ドレスはウェスト付近で締められ、手首付近の袖には長いバンドがついていました。

・タイトなドレスの襟元は、飾り留め金で締められ、ネックレスのような役割をしていました。その上に、さらに長いマントを着ました。


・靴は先がとがっており、靴には彩られたバンドが付いていて、サンダルのように足首付近で結ばれていました。

・女性は頭飾りに加え幅広のバンドを付けてあごの下で結び、顔の枠組みのようなものを表していました。

・サーコートは当初は女性の部屋着や化粧着として着られており、衣装の上部がとられ、袖がなくなったものです。
その後、女性着だけでなく、男性着としても着られるようになりました。下着は、より高価な素材で作られるようになりました。

 

※サーコート:14世紀の半ばごろまで西洋で着ていた丈長の上着。騎士の鎧の上に着られるチュニック

 

<服装の例>

 

 

 

1200 – 1300年頃の貴族女性の服装

 

 

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この時代の女性のドレスは豪華になっていきました。刺繍がされ金銀、真珠、宝石が惜しみなく衣装やドレスやベルトに付けられ、豪華さは最高になっていました。

 

・胴部が細く締まったドレスが一般に着られていました。
ドレスは前の部分で、列になったボタンで留めて、小さなスリットの付いた長く細い袖は、腕の部分でボタンで留めました。
胸の部分は、2つの先の付いたフリルのひだ飾りをつけました

 

・お尻より少し下まであるタイトなジャケットを、ドレスの上に着ていました。ジャケットは、ドレスが豪勢に装飾されているときは毛皮の裏地が使われ、ドレスがシンプルな時は豪勢に装飾されました。
さらに2枚目の上着はマントの様な形になっていて、袖は真ん中で大きなスリットが入っていました

 

・髪の毛を顔の横側から首にかけて編み込むことを始め、多くの真珠や金銀の装飾品で飾りました。
先のとがった帽子はふちをそり上げて、顔の両サイドに厚く巻いて房のようになった髪の上にかぶりました。


・靴は長く、先が尖っていました。

 

 

 参考)13-15世紀の女性の髪

 


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1300 – 1400年頃の貴族女性の服装

 

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男性の服装はぜいたくになっていましたが、女性のドレスは優美なシンプルさで品位を示していました。

 


・この時代の女性のコートやサーコートは長く、地面の上を引きずることが多かったです。

 

・髪の毛はシルクのネットかクリペーヌ(網脂(あみあぶら))で、髪の毛を後ろにキープしました。帽子は針金細工で枠組みが作られ、刺繍やレースのふち飾りが付けられていました。

 

・コートや下着は以前不自然に開いていたが、オーヴァーコートが広く開いているおかげで、適切でふさわしい姿になりました。

>>中世ヨーロッパ 貴族や王の服装(時代別)

 

・2本の細いバンドで肩の後ろにかけていたサーコートは、幅広で引きずったスカートのように変化しました。そして、堂々と雄大に体の下の部分に優美にまといました。

・外につけるコルセットが発明され、体の前や後ろに下がり胸の形を隠すようなものではありませんでした。
この新しい衣装は、高価なレースで包まれた鉄製具で胸の中心付近に固定され、冬用は毛皮で、夏用はシルクで作られました。

 

・付け髪やかつらは、依然としてとても人気があり、ネットは再び使われるようになり、髪飾りはボリュームあるかつらを飾りました(なかに入れている馬の毛やパッドを隠した)

 

<服装の例>

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<コルセットの例>


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1400 – 1500年頃の貴族女性の服装

 

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この時代になると、女性のドレスは贅沢を極めました。

 

・女性は、引き裾の長いドレスを着ていましたが、短くなっていきとても贅沢な飾りをつけました。ドレスの裾も短くなり、房飾りがついていました。

・頭の飾りは、幾つかの大きなロールでできており、髪飾りの上に円錐形の帽子をかぶりました。首元を覆わなくなり、ネックレスを着るようになりました

・長い裾を付けなくなり、代わりにカイツブリ(鳥)やテンの毛皮、ベルベットは他の材料で作られた、18インチ幅の飾りをつけるようになりました。

 

・巻き毛を頭のてっぺんにつける人もおり、2フィートの高さがあり丸いキャップの形をしていました。巻き毛を低い位置につけて、てっぺんから足先までのヴェールを付ける人もいました。

また、驚くほど広いシルクの帯を着て、おなじくらい広い優雅な金具で取り付け、色んな形をした贅沢な金のネックレスを付けるものもいました

 

・カトリーヌ・ド・メディシスが、ひだ付き襟のファッションを紹介しました。ウェストで締められていたドレスは、大きなロールや鯨の骨や鋼で作られたパッドで、とてもまん丸のオシリを作りました。このパッドは結果的にパニエとなった。

 

<ひだ付き襟の例>

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※パニエ:ヨーロッパで18世紀に流行した、スカートをふくらませるための腰枠入りのペチコート
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※15世紀の女性のドレスに関する動画

 

<服装の例、15世紀前半>

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<服装の例、15世紀後半>

 

 

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最後まで読んでくださり有難うございました。

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