16世紀の音楽ナイフ
ロンドンにあるヴィクトリア&アルバート博物館や、ケンブリッジにあるフィッツウィリアム博物館には、中世に作られ楽譜が刻まれた表記ナイフ(notation knives)が所蔵されています。(音楽ナイフ(musical knives)
表記ナイフ(音楽ナイフ)とはどんなナイフなのでしょうか?
刻まれた楽譜はどのような音楽でしょうか?
どのような目的で作られたのでしょうか?
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音楽ナイフ(musical knives)とは?
中世の時代には武器や甲冑など戦うための金属加工品が多くあります。しかし、敵を倒す目的ではなく、 音楽を目的として作られたナイフもありました。
音楽の為に職人技を駆使して作られたものが音楽ナイフ(musical knives)です。16世紀に作られヴィクトリア&アルバート博物館に所蔵されているものは、刃の部分に楽譜が刻まれています。
楽譜にはナイフは、ソプラノ、カウンターテナー、テノール、 バスの声のパートが記されています。
音楽ナイフの機能と目的
音楽ナイフの3つの機能
この音楽ナイフは何のために作られたのでしょうか?
食事をしながら、音楽を演奏したり歌を歌ったりするためでしょうか?
歴史家たちは、これらの音楽ナイフは頃晩餐に使われていたと考えています。幅広で尖った鋼は、肉を切ったり取り分けたりするのにとても適しています。 先がとがっているのは串のように突き刺して使用するにも向いています。
食事にするだけではなく、これらのナイフは家の壁に飾っているケースもあり、装飾品としても十分に価値があります。
つまり、音楽ナイフは、歯の部分に楽譜が刻まれるだけでなく、 食卓の上に一緒に並べられ 羊や牛の肉を切り刻んだりするにも使用でき、 装飾と実用的な機能を兼ね備えたものです。
音楽ナイフの目的
この素晴らしいナイフは、実際何のために使われたのでしょうか?
ルネッサンス期に作られた音楽ナイフの目的は、はっきりとは分からず神秘に包まれています。
音楽ナイフには両面に楽譜が書かれており、それぞれ異なった音楽が刻まれています。 片側では、食卓での感謝の祈りが刻まれており、 食事を始めるとき用いると思われます。また、反対側には、食後に歌う感謝の祈りが刻まれています。
つまり、食事の前後で、この音楽ナイフに刻まれている歌を皆で歌い、感謝の祈りをささげたのではないかと考えられます。。
音楽ナイフの音楽を聴く
実際に音楽ナイフに刻まれている楽譜を使って、コーラスを再現したものがありますので、聴いてみましょう。
※ヴィクトリア&アルバート博物館に所蔵されているナイフの紹介動画
こちらはヴィクトリア&アルバート博物館の音楽ナイフのコーラスになります。
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こちらはフィッツウィリアム博物館の音楽ナイフのコーラスになります。
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a-notation-knife-benediction-version-2
清らかな心で感謝しながら食事を楽しめるのでは、と思います。
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