「王子と乞食」 マーク・トウェーンが言いたかったこと

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こんにちは、たなかあきらです。

今回はマーク・トウェーンの傑作、「王子と乞食」についてのお話です。

ページをめくってみると、最初に上の絵と

「あらゆる時代の若い人々のための物語 」

と書かれていることに、気がつきます。

これはどんな意味なのでしょうか? 

王子と乞食 (岩波文庫 赤 311-2)

王子と乞食 (岩波文庫 赤 311-2)

 

 

ベニスの商人に隠された、王子と乞食のヒント?

 

慈悲の本質には・・・・・・二重の恩恵がある。

慈悲は、これを与える者をも受ける者をも幸福にする。

最も力ある人にあっては更に最高の徳である。

慈悲は君主にとって、その王冠にも数倍にしてふさわしいものである。

ーシェークスピア ベニスの商人よりー

 

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「王子と乞食」の冒頭にこのような言葉がありました。

「ベニスの商人」の言葉ですが、「王子と乞食」の本質を、まさに意味した内容であると思います。

 

それでは、「王子と乞食」の内容に移りましょう。

 

王子と乞食は誰?登場人物について

 

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16世紀半ばのイングランドはテューダー朝のヘンリー8世が治める時代でした。

1537年10月12日、イングランドで2人の男の子が生まれました。

一人は、エドワード王子(エドワード・テューダー)で、父ヘンリー8世だけでなく、イングランド全土が待ち焦がれた待望の跡継ぎでした。

将来の王を期待され、誰もが夢見るような豪華な宮殿に住んで、温かい食事や高級な衣服を与えられ、何十人もの家臣や侍女に世話をしてもらい、何の不自由も無く育ちました。

 

※エドワード王子は実在人物です。

エドワード王子はのちのエドワード6世。
ヘンリー8世は2番目の妃、アン・ブーリン(エリザベス1世の母)を処刑し、その後に結婚したのがジェーン・シーモアで、エドワードはようやく生まれた男子でした

👉テューダー家の歴史 6代続いたテューダー朝の概要 

 

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もう一人は、ロンドンのもっとも貧困な裏街の貧しい家に生まれたトム・カンティです。

酒に溺れ暴力を振るう父親、トムを守ろうとする母親と姉の中で育ち、トムは金も無くパン一つ買う事すら出来ず、常に飢えと寒さに震え、物乞いをする日々でした。

※トム・カンティは物語の中だけの架空人物です

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中身と外見、どちらが大事か?

 

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エドワードは堅苦しい宮廷生活に飽き飽きして、外の自由な暮らしに憧れていました。

一方、トムは貧困生活から抜け、エドワードのような恵まれたリッチな生活を羨んでいました。

  

話し合ううちに2人はお互いがまるで双子のようにそっくりな顔をしている事に気付いた。

今だけ互いの服を交換し、それぞれの人物として過ごすことを提案しましたた。2人は入れ替わりますが、エドワード王子はぼろ服を着ると、門番から乞食と間違われ、で街へ放り出されてしまいます。 

 

 

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外見が同じでも中身が変わってしまった、王子と乞食。

人々は中身ではなく、人々は外見にとらわれてしまうという、痛烈な諷刺(ふうし)が描かれています。しかし、人々はそうであっても、入れ替わった2人は、またとない貴重な経験をします。

 

 

王子と乞食、学んだものは?

 

 

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エドワード王子は、貧しいが自由な暮らしに憧れますが、貧困な者に対する、国法の不条理さを知り、怒りを覚えます。

しかし、気高く堂々とした王子の態度は、毅然として貫き通し、また貧しい人々の温かい心にふれ感動を覚えます。

  

 

 

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一方、トムは憧れの上流階級の暮らしに戸惑うものの、次第に慣れていきます。

ですが、貧しい地区で育った時に培った、やさしさは忘れずに人に接します。しかし、置かれた立場の荷の重さを認識するに従い、恐れを抱くようになります。

 

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その人の苦労は、実際に経験しないと分からない

 

普段のくらしの中では、想像すらすることがない環境に置かれ、二人は、後の人生を変えるほどの、貴重な体験をしたのです。

 

エドワード王子の言葉も、こう記されています。

「そちらが苦痛や迫害について何を知ろうぞ? 世と世の民は知っている。そちは知らぬ」 

 

つまり、マーク・トウェーンは「王子と乞食」の物語の中でで、王子と乞食の位置を換え、それによってその二人のめいめい相手の追っている生活の重荷を理解し、行動することを学ばせようとしたのです。

 

だから、物語の一番最初に

「あらゆる時代の若い人々のための物語 」

と書かれてあったのでしょう。

 

まとめ、ベニスの商人に隠された、王子と乞食のヒント

 

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貧しき人々の立場を知ったエドワード王子は、後にエドワード6世となり、その時の経験を大いに活かしたのでした。  

 

慈悲の本質には・・・・・・二重の恩恵がある。

慈悲は、これを与える者をも受ける者をも幸福にする。

最も力ある人にあっては更に最高の徳である。

慈悲は君主にとって、その王冠にも数倍にしてふさわしいものである。

 

 

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エドワード6世はわずか16歳で早世しましたが、その短い年月はとても生きがいのある生涯でした。

エドワード6世のあまりに寛大な正確に対して、重臣たちは大いに反対したそうです。例えば、人々に対して、大した苦痛を感じさせないような法律であっても、修正を加えようとしたそうです。

重臣が反対すると、若いエドワード6世は愛情にみちあふれた大きな目に、強いうれいをふくませて、こう言ったそうです。

「そちらが苦痛や迫害について何を知ろうぞ? 世と世の民は知っている。そちは知らぬ」 

 

エドワード6世の治世は、残酷な当時の世にあって、めずらしく仁政のおこなわれたときであった。

 

最後に、マーク・トウェーンのこん身の力作

 

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マーク・トウェーンは「王子と乞食」の創作にとても力を入れたようです。トウェーンが友人宛に送った手紙の中に下記の文がありました。

「万一、この書物が唯の一部も売れないようなことがあっても、自分がこれを書いていた間に味わった、芸術的な幸福はいささかも減じない」

「わたしはこれを急いでかき上げてしまおうなどとは毛頭望まないほどに、楽しんでこの著作をしている」

 

マーク・トウェーンは毎夜、その日に書いた原稿を夫人に読み聴かせ、また夫人も王子と乞食の運命に胸をとどろかせながら楽しみ聴いたそうです。さらに、2人の娘も母に劣らぬ「王子と乞食」熱愛家だったそうです。

 

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