北海帝国を築き大王と呼ばれた「クヌート1世」の概要

イングランド王
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クヌート1世(Canute / Cnut / Knut I)は11世紀にイングランドを支配したデーン人の王です(995-1035)。

イングランド王だけでなく、デンマークやノルウェー王も兼ねて大王とも呼ばれ(北海帝国と呼ばれた)、大きな勢力を持ちました。

今回は、クヌート1世について、概要を分かりやすく簡単にご説明します。

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クヌート1世の家系

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クヌート1世はデンマーク王スヴェン1世の次男で、スヴェン1世は1013年にイングランド王エゼルレッド(無思慮王、無策王)を破ってイングランド王にもなりました。

クヌート1世の家系図を簡単に記します。

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クヌート1世:イングランド王を奪取する

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1014年に父スヴェン1世が亡くなると、クヌート1世はイングランドを任されました。

しかし、イングランドにはスヴェン1世に敗れフランスに逃れていたエゼルレッド無思慮王は、イングランドに戻りまんまと王位に復帰していました。

このためクヌートは出直して、エゼルレッド無思慮王を退ける必要がありました。

クヌート1世は軍を率いて、イングランドの襲撃を始めました。ところが、エゼルレッド無思慮王は1016年に亡くなり、息子のエドマンド剛勇王(エドマンド2世)が王位を継ぎました。

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エドマンド剛勇王は、父エゼルレッド無思慮王とは異なり行動的で武勇に優れ、クヌート1世にとっては手ごわい相手でした。

クヌート1世は、4度エドマンド剛勇王と戦いますが、敗北または撤退を余儀なくされ、打ち破ることは非常に困難な状況でした。

ところが、エドマンド剛勇王側の味方が逃亡したことを契機に、5度目の戦い(アシンドンの戦い)でイングランド軍を打ち破りました。

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クヌート1世はエドマンド剛勇王と休戦協定を結び、イングランドを二分して共同統治することを決めましたが、戦いで受けた傷がもとでエドマンド剛勇王は亡くなってしまいました。

こうして、1016年にクヌート1世は唯一のイングランド王となりました。

クヌート1世:デンマーク王となる

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父スヴェン王が亡くなった後、故郷デンマーク王は兄ハーラルが継承していました。ところが、1018年に兄ハーラルが亡くなり、クヌート1世がデンマーク王を後継しました。

クヌート1世:スウェーデンを奪取し北海帝国を築く

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クヌート1世がイングランド王とデンマーク王となり権力を拡大しているのを恐れた、ノルウェー王のオラーフ2世がスウェーデン王と手を組み、クヌート1世を討つべくブリテン島の侵略計画を練っていました。

これに対しクヌート1世は迅速に情報をキャッチして先手を打ち、戦いで勝利をおさめ、オラーフ2世は戦死しました。その背景には、スヴェン1世が一時期ノルウェー王だった頃があり、まだ影響力が残っていたためノルウェーの人々はクヌートに味方したのでした。

こうして、クヌート1世はイングランド、デンマークに加えノルウェーの三国の王となり、北海帝国と呼ばれるようになりました。

イングランド王としてのクヌート1世の人気

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イングランドは自身のアングロ・サクソン政権ではなく、再び侵略してきたデーン人のクヌート1世に支配されました。
このことに対して、イングランドの人々はどう思ったのでしょうか?

実は、クヌート1世の父スヴェン1世の時代には、デーン人は頻繁にイングランドに襲来して略奪行為を繰り返していました。またデーン人たちに退却してもらうために、エゼルレッド無思慮王は襲来の度に大量の銀を支払い(デーン・ゲルドと言う)、財政も傾いていました。

デーン人のクヌート1世がイングランド王となれば、デーン人の襲来は無くなりますし、銀を支払うこともなくなります。

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クヌート1世は統治においても好評でした。

イングランドを4つの区に分け(アール:伯)、能力・実力のあるものはデーン人でもアングロ・サクソン人でも分け隔てなく、伯の位を与えて統治させました。

クヌート1世の統治時代は、エゼルレッド無思慮王の時代よりも平和に暮らせるので、イングランドの人々に受け入れられていたのでは、と考えられます。

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コメント

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