ウェールズ王グリフィズ・アプ・ラウェリン。中世で唯一の全ウェールズ統一を成し遂げた「うつけ者」

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こんにちは、たなかあきらです。

1282年にイングランドに征服される以前(ウェールズ大公(プリンス・オブ・ウェールズが始まる以前の時代)、

長い中世ウェールズの歴史を見渡しても、ウェールズの君主で全土をほぼ治めることができた人物は、数名程度しかいません。

 

さらに、全国を完全に統一できた人物はと言いますと・・・・

紀元前から、ウェールズがイングランドに征服される13世紀末まで見ても、わずか1人しかいません。

 

その君主の一人とは、グリフィズ・アプ・ラウェリンという人物です。しかし、グリフィズの若い頃は、でくの棒のようで無用に生きていました。

 

今回は、戦乱時代のウェールズに生きたグリフィズの生涯について簡単にお話を致します。

 

※この時代の背景 

👉<改訂版>第5章 興味深い!中世ウェールズはまるで南北朝+戦国+下剋上のようです

※個性あふれるウェールズ王たちの記事
👉30人のウェールズ王 カテゴリーの記事一覧

 

目の覚めた「虚け者」と言われたプリンス 

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11世紀のウェールズは、ウェールズ北部(グウィネズ)とウェールズ西部(デハイバース)、ウェールズ南部(モルガンウィグ)に分かれており、ウェールズ北部とウェールズ西部では、主導権を握る王室の家系や人物がコロコロ変わっていました。

 

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この戦国の様なウェールズ北部に、グリフィズと呼ばれる少年がいました(Gruffydd ap Llywelyn)

グリフィズの父ラウェリンは、ウェールズ北部のグウィネズを統治していましたが、グリフィズが16歳頃の時に父が亡くなり、領土は別のウェールズ王室のイアゴに奪われてしまいました。

領土を奪われたグリフィズの家族は、母の祖国である隣国のポウィスに逃れて暮らしました。

 

※グリフィズはハウェル・ザ・グッドの子孫であるウェールズ王室の家系
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※イアゴは、イドワル・ヴォエルの子孫であるウェールズ王室の家系

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※この時代の詳細はこちらの記事をご覧ください
👉<改訂版>第5章 興味深い!中世ウェールズはまるで南北朝+戦国+下剋上のようです

 

 

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なるほど~。母の祖国に逃れて援軍を集め、報復攻撃をする狙いですね

  

 

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やられたらやり返す、奪われたら奪い返すのが、戦乱時代の常識。しかし、グリフィズには国を取り返そうという意気込みは全くありませんでした。
僕は争いはまっぴらごめんと、無能で怠惰な青年期をダラダラと送っていました。

 

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むむむ、これじゃあグリフィズの親類もフラストレーションが溜まりますよね。

 

 

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何度言っても動こうとしない「ウェールズのうつけ者」
に、姉からとうとう愛想を尽かせてしまいました。

将来、国をしょって歩むどころか、グリフィスはポウィスの家から追い出され、勘当されてしまいました。

  

 

 

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行くあてもないグリフィズ
は、流浪生活を送らざるを得ませんでした。お腹もすいて途方に暮れたグリフィズは、ある日とある村を歩いていたときに、料理の良い匂いがしてきました。

お腹を空かせたグリフィズはその匂いにつられて行きました。

 

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まさかプリンスが、村民の料理をつまみ食い?? 

 

 

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グリフィズは料理をしている村人の家の中をのぞき込みました。そこで村人は、なべを使って肉団子をぐつぐつと煮ており、何やら文句を言っていました

 

「やっかいな肉団子だ!この1つのミートボールだけ何度鍋に入れても、飛び出してきやがる!!」

その飛び出るミートボールを見てグリフィズは、はっと我に返りました。

 

 

 

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何か悟ってしまったのでしょうか?

 

 

「俺は底に沈んだ肉団子になってはダメだ。あの飛び出してくる肉団子の様に、やられてもやられても、敵に抵抗して父の国を取り戻さないと・・・煮え切らない生活を送っていてはだめだ・・・・

 

 

 

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この肉団子鍋が転機となって、グリフィズはぐうたら生活をやめ、ポウィス国に戻り兵力を蓄え反撃のチャンスをうかがったのです

そしてチャンスは訪れました。グリフィズが32歳ごろの時に(1139年)、宿敵のイアゴが部下に暗殺された隙を突いて、グウィネズ国を奪回しました

 

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ついにやりましたね、グリフィズ。

※ここまでの年表
・1007年頃:グリフィズが産まれる
・1023年:父ラウェリンが没し、イアゴに国を奪われて国外へ脱出する
・1039年:アベルファラウ家で統治者のイアゴが内乱で暗殺された隙を突いて、グウィネズを奪った。グウィネズの支配下にあったポウィスも治めた

 

勢いに乗り領土の拡大を狙うも・・・

 

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ウェールズの北部を奪回したグリフィズは、今度は南西部に勢力を広げようともくろみました。

ウェールズの南西部はデハイバース(DEHEUBARTH)と呼ばれる国がありました。1043年に、勢いに乗るグリフィズはデハイバースを攻撃し、統治者のハウェルを追い出して、デハイバースとハウェルの妻を奪い取りました。

 

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妻まで奪われたハウェルは黙っていませんでした。1044年にデンマークのヴァイキング(デーン人)の助けを借り船団で反撃に出たのです。

 

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恐ろしい~ヴァイキング・・・

 

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当時のヴァイキングは最盛期だったと思います。デンマークのヴァイキング、クヌート大王などがイングランドを征服していた時期です。

しかし、グリフィズはヴァイキングの助けを借りたハウェル軍を打ち破りました。ハウェルは戦死し、グリフィズはデハイバースの領土を守ったのでした。

 

新たな敵の出現~全国統一へ

 

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南部のウェールズでも情勢は大きく変わろうとしていました。

従来の南東部は小さな国々に分かれていましたが、リデルヒが出現してからは統合されてモルガンウィグになりました(Morgannwg)。

リデルヒは勢力を拡大しようと考え、息子のグリフィズが西部のデハイバース(Deheubarth)に攻め混んできたのです。

 

※モルガンウィグは地図中南部の海に面した国 

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グリフィズはリデルヒの息子に攻められ敗北し、デハイバースから追いだされてしまいました。翌年の1048年、グリフィズはデハイバースを奪回しようと何度も反撃を試みるましたが、失敗に終わってしまいました。

 

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新たな敵の出現!それも手ごわし!グリフィズの気も休まりませんね~ 
グリフィズはどんな手段に出たのでしょうか?

 

 

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敗れたグリフィズはあきらめませんでした。虚けと言われた若いころとは大違いです。グリフィズはウェールズ国内の協力ではなく、国外に目を向けました。

 

1055年にイングランドのマーシア伯エルファガーの協力を得て、リデルヒの息子に攻撃を加え、ついにデハイバースを取り戻しました。

勢いに乗ったグリフィズは軍を東方に進め、1058年に宿敵リデルヒの地であるモルガンウィグなどを奪い去ったのでした。

 

こうしてグリフィズ・アプ・ラウェリンは、長いウェールズ中世の歴史において、ウェールズ全域を支配した唯一の人物となりました。

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グリフィズ・アプ・ラウェリンのウェールズ統一(1039年~1058年)

 

 

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グリフィズの活躍を振り返ると、「肉団子(ミートボール)さまさま」ってことですね

 

最後に:グリフィズの年表と功績

・1007年頃:グリフィズが産まれる
・1023年:父ラウェリンが没し、イアゴに国を奪われて国外へ脱出する
・1039年:アベルファラウ家で統治者のイアゴが内乱で暗殺された隙を突いて、グウィネズを奪った。グウィネズの支配下にあったポウィスも治めた

・1043年:デハイバースのハウェルを攻めて追い出して、デハイバースを奪い取った。

しかし、妻まで奪われたハウェルはデンマークのヴァイキングの助けを借り船団で反撃に出た。

・1044年:ラウェリンはハウェルを撃破して殺害し、デハイバースの領土を再び奪い取った

・1047年:モルガンウィグのリデルヒの息子にデハイバースを奪われる
・1048年:何度もモルガンウィグに対抗するもデハイバースを奪回できず

・1058年:イングランドの協力を得てモルガンウィグを破り、ウェールズを統一
・1063年:グリフィズ没

 

 

1062年に同盟を結んでいたマーシア伯のエルファガーが亡くなると、翌年の1063年にイングランド王ハロルド2世は弟トスティグとウェールズに侵略を開始しました。

グリフィズは北ウェールズのスノードニア山脈に逃亡しましたが、一説によるとグリフィスの部下が寝返った説や、1039年にグリフィズが雪辱を晴らしたイアゴの息子コナンに殺害されたそうです。

 

グリフィズは「ウェールズ全土を支配した唯一のウェールズ王」でした。グリフィズが全国を統治したわずかな期間は、争いもなくウェールズに平和がもたされました。

 

1066年にハロルド2世は、フランスのノルマン人ギョーム2世に攻撃されて戦死し、イングランドもギョーム2世に征服されたのでした(ノルマン征服)。

その後、ウェールズもノルマン人の侵略を受けるようになったのです。

 

👉今回とその後の時代の流れ:
・<改訂版>第5章 興味深い!中世ウェールズはまるで南北朝+戦国+下剋上のようで

・<改訂版>第6章 プリンス・オブ・ウェールズの登場とノルマン・イングランドとの激しい戦いの結末

 
※ウェールズについて
👉ウェールズの歴史が面白いと言われている4つの理由!

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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