こんにちは。ウェールズ歴史研究家のたなかあきらです。
またまた、アイコンが変わりました。
またまた、とても有難いことにもっちさんが描いてくださりました。
とっても美男に描いてくださり、ありがたいです。(実物との差が・・・(笑))
このブログでは中世を中心としたウェールズ歴史、特に戦乱期に焦点を当ててお話ししております。今は、ウェールズの王室が分裂していく10世紀の争乱をシリーズ化してご紹介しております。<中世に舞い降りたカムリ戦士たち~シリーズ~>
果たしてウェールズの乱世は終息を迎えて平和がもどってくるのでしょうか?
※この話の概略の流れは歴史に沿っていますが、登場人物像などは僕の想像がかなり入っているフィクションです。
<登場人物>
ウェールズの歴史にやたらと詳しいワタル。寡黙であるが歴史になると話が止まらなくなる。
歴史に詳しくないアサオ。心は優しいが、かなり小心者。
語り手のジェイムス。親切で気の良いお兄さん。
前回までのあらすじ:中世に舞い降りたカムリ戦士たち1~3話
10世紀中ごろのウェールズは三国に分かれて戦いを続けましたが、ヒウェルという王が現れてようやく統一国家となりました。しかし子らが対立して再び戦乱となり、子から孫へ、孫からひ孫へと争いは続けられました。前回登場した北部のイアゴ、南部のオウァインも互いに対立しましたが、和解をしてお互いの争いは避けることができました。
ところがオウァインは兄弟との不仲が表面化し、オウァインはウェールズ南部に侵略を始め、新たな争いが勃発しました。
前回の第三話:
ウェールズ三国時代の壊れた和平 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち~ – イギリス・ウェールズの歴史ーカムログ
新たな争いの幕開け
ウェールズの2勢力の領土争いに一段落ついたと思ったら、北部のウェールズは兄弟ケンカを始めちゃったんですね。
兄貴、領土くれないと反乱起こしちゃうよ〜
うるさい!こいつをろうにぶち込んでおけ!
兄貴、それはないよ〜みておれ、復讐しちゃうよ
こうしてイアゴはイエウヴを投獄し兄弟争いを封じ込めて、見かけ上はグウィネズを平定しました。
一方、南西部のウェールズは侵略に走ったんだ。オウァインと息子のエイニオンは領土拡大を狙い、ウェールズ南西部のモーガンウィグを執拗に攻めたんだ。
※地図中の橙色のGlywysingとGwentを足した部分がモーガンウィグ
親父、モーガンウィグの奴らなかなか手強いですね。
ううむ、モーガンウィグのモーガン王を倒すには一筋縄ではいかんな。もっと軍勢を国から集めよう。
動き出したウェールズの外敵たち
この頃、ウェールズの取り巻く環境では常に大きな力が不穏な動きをしており、ウェールズもいつ侵略されてもおかしくない状況だったんだ。
当時のウェールズを取り巻くイギリス内の勢力を見てみよう。イギリス西部の狭い範囲がウェールズ。ウェールズにぴったりと隣接した広大な範囲がイングランドだ。
イングランドは9世紀からデンマークからやって来るヴァイキングのデーン人の侵略にあっていたんだ。デーン人はイングランドの広い範囲を手中に収めデーン・ローを作り、イングランド王の座も狙い始めていたんだ。
※黄色の部分がヴァイキングが侵略した領土。緑色がイングランドで、西方の青い部分がウェールズ。
更に続けるぞ。アイルランドを占領して拠点にしたヴァイキングもいて、そのヴァイキング達もイングランドやウェールズに攻撃を仕掛けていたんだ。
ひゃー、海からも陸からも、ウェールズはぐるりと敵に囲まれていて大変だったんですね。
こんなに敵が多いのに、内乱に力を入れている場合じゃないんだよ。
ここに住んでると、いつ国を取られてしまうのか、不安でしょうがないです、、、、、、
ウェールズが内乱で隙だらけだぞ。今のうちに攻めてぶんどってやろうか!と思うわな。
966年、デーン・ローのヴァイキングとアイルランドに住むヴァイキングが手を組んでウェールズを侵略しようと攻め込んできました。
親父、我が国デハイバースにヴァイキングが攻めて来たようです。
まずいな、モーガンウィグを攻めるのは中断して、直ぐにデハイバースに戻るぞ。
分かりました。私は先に戻ってヴァイキングを食い止めておきます。
デーン・ローに攻められては我々は苦しいな。ん〜やはりこの手を使うしかないか。
手を組み立ち上がったウェールズの戦士たち
オウァインはかつて争い合い、今は休戦状態にあるイアゴの元へと向かいました。
イアゴ殿、デハイバースはヴァイキングに襲撃されています。我々のウェールズを守るために、援軍を出し協力してヴァイキングと戦ってもらえないだろうか?
ううむ。我々の国ウェールズは我々で守らねばならない。過去に争ったとはいえ、先祖を同じくする同族が困ったとなれば黙っている訳にはいかない。オウァイン殿、援軍を出すので協力してウェールズをヴァイキングから守りましょう。
Diolch!ありがとう。同族にイアゴ殿がいることを誇りに思うよ。
ウェールズは団結したんですね。よかった~
こうしてカムリ戦士たちは強国イングランドさえも脅かしているヴァイキングを打ち破り、ウェールズを守ったんだ。
ウェールズが大丈夫で、ほっとしました。
しかし、現代の我々とは同じように、時によって人々の欲によって、この力も歩調が合わなくなることも出てくるのです。
ヴァイキングからウェールズを守ろう!と言うスローガンは使えるなあ。またモルガンウィグを攻めましょうよ。
モルガン王もウェールズ人だぞ。
モルガンウィグにいるヴァイキングをやっつける名目で兵を集めて、もう一度モルガンウィグに攻め込んでモルガン王の領土を奪ってやりましょうよ。
さあ、このオウァインとエイニオンのウェールズ南西部への再侵略は吉と出るか、凶と出るか、いずれでしょうか。
この続きはまた次回。
まとめ:たなかあきらコメント
ウェールズの危機となると愛国心が燃え上がり、内乱で争いあっていても、お互い団結して迫り来る敵に果敢に立ち向かっていくのが、中世ウェールズに生きたカムリ戦士たちの精神でした。
一つの目的の為に一致団結した人々からは凄い力が生まれる。ウェールズは幾度となくこの力によって、小国を大敵から守ってきました。
しかし、これも一時的で継続的には続かなかったのです。
<関連の記事>
第一話:3国で争ったウェールズの内乱は吉か凶か? – イギリス・ウェールズの歴史ーカムログ
第二話:イングランドを利用してウェールズの3国争いを終わらせた王の話 – イギリス・ウェールズの歴史ーカムログ
第三話:
ウェールズ三国時代の壊れた和平 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち~ – イギリス・ウェールズの歴史ーカムログ
最後まで読んでくださり有難うございました。
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