イギリス・ウェールズの歴史ーカムログ

ウェールズ語ではウェールズの事をカムリ(仲間)と言います。ウェールズの歴史と、ウェールズとの関わりが深いアーサー王についてのページです

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シェイクスピア ヘンリー8世 黒幕に一本とられてしまった!

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こんばんは。ウェールズ歴史研究家を名乗る、たなかあきらです。
今日は、シェイクスピアが描く、イングランド王「ヘンリー8世」のご紹介です。

 

シェイクスピア ヘンリー8世 黒幕に一本とられてしまった!

 

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「おーい、悪はどこへ行った」
「僕は、シェイクスピアに一本取られたのだろうか?」

 

人は少なからず先入観を持ってしまう。固定概念も持ってしまう。
難しい問題と考えていたら、難しく考えてしまうし、悪い奴だと思っていれば悪い奴に見えてくる。

イングランドヘンリー8世。僕はヘンリー8世のことを、人でなしくらいの悪者だ、という固定概念を持っている。王妃と離婚がしたくてローマ法王と対立したり、6回結婚し王妃を処刑したり、造反をでっちあげて気に入らない諸侯たちを処刑したり下と言われており、稀代の悪王の名が高い人物である。誰もがヘンリー8世は悪王だ、という固定概念を持ってもおかしくはない。

 

シェイクスピアの著書に「ヘンリー8世」がある。先日、この「ヘンリー8世」を手にした。当然のことかもしれないけど、この本を目の前にして、ヘンリー8世はどんな悪王ぶりを発揮しているのだろうか、その悪王ぶりをシェイクスピアはどのように滑稽に映画いているのだろうか、の点に注目していた。
つまり、ヘンリー8世は悪王でなければならず、その悪王ぶりを期待していたのである。

 

ところが、本を読み進めていっても、一向に悪王ヘンリー8世は登場してこないのである。僕は本の題名を間違えてしまったのか?と思ってしまったくらいである。
確かにヘンリー8世は登場していた。そして、歴史で悪王として行った事実も登場している。しかし、ヘンリー8世はあっさりとして軽く描かれていて、じめじめとした悪王の気配がしないのである。

 

悪事にどっぷりつかっているのではなく、距離を置いており、直接知らない場合もあるくらいである。

 

ヘンリー8世よ、どうしてしまったんだ? あなたは稀代の悪王じゃなかったのか?
僕の「ヘンリー8世=悪王」の固定概念が、ぐらぐらと揺らいできた。
シェイクスピアは何をやろうとしているのだろうか?

 

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悪がいた。真の悪を見つけたのである。
確かにこの人物も悪の感じはしていたが、ヘンリー8世の悪王ぶりの陰に隠れて、僕の固定概念の中では、その悪ぶりはかき消されていた。

これは、僕はシェイクスピアに一本取られていたのであろうか?

 

ヘンリー8世の部下である枢機卿ウルジー。
彼がシェイクスピアの描く「ヘンリー8世」の中で、ヘンリー8世に代わって悪者ぶりを最大限に発揮していた。

枢機卿ウルジーは、ヘンリー8世の深い信頼を得るとともに、自らの立場を良くするためにその信頼を武器に、自分に都合の良い様に王を操っていたのである。

 

何とも悪い奴だ! 憎たらしくなる。
いかにも善人のようにふるまい、悪さぶりは口先のオブラートで隠している。
気がついてみると、悪の罠にはまってしまう。そんな感じだ。

ああ、ウルジーは悪者だ。真の善良者が可哀そうだ。何とか、この悪者を懲らしめる奴は出てこないだろうか、そんな期待を胸一杯にして物語を読み進んでいた。

 

僕は我に返った。
僕はシェイクスピアの罠にはまっていたようだ。
ヘンリー8世は悪王だという固定概念をもてあそばれた上に壊され、新たにウルジーは悪者だという概念を植え付けられた。そして、被害者や善良者の同情を誘い、悪者と戦うように気持ちを持っていかれたのである。

シェイクスピアに一本取られたのである。
一本取られたけれども、それが爽快であった。

 

ひょっとすると、いや多分これは僕の一人芝居かもしれない。
ヘンリー8世が悪王だという固定概念が無ければ、シェイクスピアに一本取られなかったのかもしれない。

 

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読み終えて、僕はシェイクスピアの狙いを考えてみた。

僕が今述べたように、ヘンリー8世が悪王だという固定概念を利用して、あまり悪王に見えないヘンリー8世を描き悪者はウルジーとして、そのギャップを狙ったのかもしれない。

それとも、ヘンリー8世とほぼ同時代に生きたシェイクスピアは、実はヘンリー8世は世間で言われているほど悪王ではなかった、ということを言いたかったのかも知れない。

今回はこの本のご紹介でした。 

ヘンリー8世を描くこのドラマも面白いです

最後まで読んでくださり有難うございました。

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