こんばんは。ウェールズの歴史研究家たなかあきらです。
ウェールズの9世紀~
お調子者のワル、隠れキャラのクラドクが密かな人気となってます。
前回初登場した女性キャラ、エレン。エレンにクラドグはどう立ち向かうか?
はたまた、クラドグの兄ハウェルは何を考えているのか?
では今回の話を始めます。時代の隠れキャラに注目ください(笑)
(クラドグは実在人物ですが、キャラはたなかあきら作です)
前話:
伝家の宝刀より脅しより強いかも ~たたかうカムリ戦士たち 第7話~
これまでのあらすじ
中世のウェールズは、主にグウィネズ(Gwynedd)、
9世紀にロドリ大王がウェールズを統一しましたが、長男アナラウドが暴君化し、敗れた次男カデルは息子ハウェルにウェールズの平和を託します。しかし、ハウェルは荒っぽい性格で、弟のクラドグと共に隣国ダヴィッドに略奪を働き、王女のエレンを人質にとりました。
<登場人物>
ウェールズの王室家系図
カデルの息子ハウェル。意外と乱暴。
ハウェルの弟クラドグ。ちょっとお調子者。
隣国ダヴィッドの王、ラワルヒ。
ラワルヒの娘、エレン。
アナラウドの息子イドワル。冷静で冷淡、冷血。
美女と野獣の争い
心の鎧
ーーーーーーーーーー
その頃、北ウェールズのルズラン城では、
何だかデハイバース付近がさわがしいですよ、イドワル様。
うぬ。ハウェルが暴れているようだな。
いかがしましょうか。
軍を派遣して黙らせましょうか。奴の親父の時の様に。
それも良いかもしれぬ。
ただ。
イドワルはふと外に目をやった。今の我が国、
我が父アナラウドは暴君だった。
ええ、ごもっと。
しかも、ブリテンを見てみろ。
ではハウェルをやりたい放題、野放しにしておくつもりですか?
いや、そのつもりはない。
見えないプレッシャーを掛けて、黙らせてやろう。
それはどんな妙案で?
ふふふ。長い物に巻かれろだ。イングランドという。
巻かれて利用するのだ。
一方、ウェールズ南部、デハイバースの一国、
クラドグ、やったなぁ。ご苦労、ご苦労。
ハウェル兄貴、いひひっ。うまく行ったっすよ。
年貢も女も手に入れてきたっすよ。
もっと褒めてくれていいっすよ。
何か褒美くれよ、兄貴~
ほお〜噂どおり、美しい。
お前がダヴィッド国のエレンか。
エレンはきっ、とハウェルをにらんだ。
ほお〜。なかなか。
そおなんすよ、ハウェル兄貴。
この女の表情、ムカつくんすよ。
それはそうと、何か褒美くれる?
なかなかやってくれるじゃないか。エレン。お前は人質として、
私はダヴィッド国の王女よ。無能な男、
そんな事を言ってタダで済むと思ってるのか? 兄貴は凄く強いんだぞ。
後悔しても知らないぞ。
むかつくなあ、 兄貴。
またダヴィッドを略奪して、黙らせます?
そんなことしても無駄よ。
あなた、自分の置かれてる状況分かってるの?
お前は自分の置かれている状況が分かってるのか?
人質だぞ。いや、お前は俺の妻だぞ。
もし、いやだ、と言ったら?
野蛮な男、無能の男はいや、と言ったでしょう。
こ、この女!!
無能じゃなかったら、怒らないわよね。
くくくく・・・
私が一声かけたら、どうなるかお分かり?。私の父ラワルヒは、あなたの父カデル王に恩があったから、我慢して黙っていたのよ。無碍に戦いを起こしたくなかったから、
こ、こいつ、俺たちを脅かしているのか?
はははははっ。これは面白い。
俺たちを試そうって言うのか?
やってやろうじゃないか。
俺は俺の方法でやるぜ。
おっ、さすが兄貴! やるんすね~
クラドグ!
へい、兄貴!
お前、褒美を欲しがっていたな。
欲しい、欲しいっすよ。くれるんすか?兄貴。
クラドグ、南のアストラッド・タウィを略奪しないか?
攻めて奴らを打ち負かしたら、領土をお前にあげるよ。
兄貴、本当っすか? 優しいなあ~
オレ張り切っちゃうな!
兄貴、バッチリ行こうぜ!
うぉぉ~い
ヒヤッ、ホー!
分かっていないわね。野蛮な人たちね。
ま、状況を見ましょ。きっと後で後悔するわ。
最後に
今回のストーリーはいかがでしたか?
兄ハウェルの隠れキャラである弟クラドグ。
クラドグの本名は、Clydog ap Cadell (クラドグ・アプ・カデル)。
兄のハウェルはHywel ap Cadell (ハウェル・アプ・カデル)と言います。
歴史上ではクラドグは殆ど出ることはなく、歴史書をみても父カデルの死後、領土はハウェルとクラドグで分け合った、くらいしか記述はありません。
この創作ストーリーでは、結構前面に出しましてワルぶりを発揮し目立たせてみました。
※歴史上の出来事や人物が登場しておりますが、フィクションでたなかあきらのオリジナルストーリーです。
第一話:
3本の矢はここにも存在した~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第1話~
第二話:
絡み合わない結束 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第2話~
第三話:
急流に変貌した結束 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第3話~
第四話:
磁力の反転 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第4話~
第五話:
混乱の果ての新たな希望 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第5話~
第六話:
意外な旗揚げで始まった復活への狼煙 ~たたかうカムリ戦士たち 第6話~
第七話:
伝家の宝刀より脅しより強いかも ~たたかうカムリ戦士たち 第7話~
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最後まで読んでくださり有難うございました。
コメント
たなかあきらさんのお話、とても、面白いです。
ワルのハウェルとクラドクのキャラクターがいいですね、ワルの物語は、面白いです。
今後、この二人のワルがどう活躍していくのか、楽しみです。^^