読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

イギリス・ウェールズの歴史ーカムログ

ウェールズ語ではウェールズの事をカムリ(仲間)と言います。歴史深いウェールズに触れて下されば嬉しいです

MENU

意外な旗揚げで始まった復活への狼煙 ~たたかうカムリ戦士たち 第6話~

ウェールズの歴史 歴史創作ストーリー たたかうカムリ戦士

f:id:t-akr125:20161216015519p:plain

こんばんは。ウェールズの歴史研究家たなかあきらです。

ウェールズの9世紀~11世紀にかけてウェールズ王家が分裂して戦いを繰り広げる様子を、様々な登場人物の人間模様の物語をシリーズで描いています。

今回からは新展開が始まります。兄弟で争い合ったウェールズの内乱。暴君化したウェールズ王の息子と、敗れた兄弟の息子が、これからにらみ合っていくストーリーです。
前回までの記事:新展開がスタートします。

それでは、お楽しみください。

 

これまでのあらすじ 

f:id:t-akr125:20161229150957j:plain

※分割していたウェールズ。緑の部分は後にイングランドとなるウェセックスマーシア

 

f:id:t-akr125:20161211142909p:plain

中世のウェールズは、主にグウィネズ(Gwynedd)、デハイバース(Deheubarth)、ポゥイス(Powys)の三国に分かれた内乱や、アングロサクソン族の国ウェセックスマーシア、さらにヴァイキングに攻められた苦しい時代でした。

9世紀にロドリ大王がウェールズを統一して束の間の平和をもたらしましたが、マーシアに攻められ命を落としました。
再びマーシアが攻めてきた時に、関係がぎくしゃくしていたロドリの3人の息子たちは初めて協力し合い、マーシアを打ち破ります。しかし、その後は再び対立し、長男のアナラウドが乱世を制し、暴君化していきました。
敗れた次男カデルは息子ハウェルに将来の望みを託します。

 

<登場人物>

f:id:t-akr125:20170121171534p:plain

 

f:id:t-akr125:20161112181151p:plain
暴君化したアナラウド

 

f:id:t-akr125:20170121171624p:plain
アナラウドの息子イドワル。冷静で冷淡、冷血。

 

f:id:t-akr125:20170121171746p:plain
カデルの息子ハウェル。意外と乱暴

 

f:id:t-akr125:20170121171839p:plain
ハウェルの弟クラドグ。ちょっとお調子者。

 

復活のスタートは意外な展開から

f:id:t-akr125:20170111234612j:plain

 

f:id:t-akr125:20170114153205p:plain

父の国、僕の国が燃えていく・・・・・・
ああ、こんなに荒れ果ててしまった・・・・・・

 

暴君と化したアナラウドと強国マーシアの攻撃にあってハウェルの住むデハイバースは焼け野原のように荒廃した。

 

f:id:t-akr125:20170114153205p:plain
僕が、父カデルをついでこの国を立て直していかなければ・・・・・・

 

f:id:t-akr125:20170121173321j:plain

 

そして、10年後・・・・・・

 

ウェールズ、ルズラン城にて

f:id:t-akr125:20161231165058j:plain

 

f:id:t-akr125:20161112181151p:plain
イドワルよ。ワシはもう年だ、余命も幾ばくも無い。隠居して、この後はお前にグウィネズを任せることにした。我が愚弟カデルには息子ハウェルがいる。いつ反抗してくるかわからんぞ。奴らにはくれぐれも気を付けてくれ。

 

f:id:t-akr125:20170121171624p:plain
奴らにそんな勝手な真似はさせませんよ。ご安心ください、父上。私がグウィネズをさらに強くしてウェールズを統一させましょう。

 

f:id:t-akr125:20161112181151p:plain
よく言ったイドワルよ。わしは安心してお前に任せられる。

 

f:id:t-akr125:20170121173900j:plain

ーーーーーー

 

f:id:t-akr125:20170121171624p:plain
フン、暴君の親父もよく言ったもんだ。
オレはウェールズ統一よりも我が領土グウィネズにしか興味がない。
増してやカデルの息子ハウェルなどにも興味はない。
厄介な奴なら、税を引き上げ略奪をして、反抗できない様に叩いておけばよい。

それより、強国のイングランドとどうやって付き合っていくかが重要だ。

 

f:id:t-akr125:20170121172538j:plain

そのころ、ウェールズの周りの国々では状況が大きく変わってた。
アゼルスタン王率いるウェセックスがヴァイキングを打ち破りデーンローを奪回し、スコットランドウェールズを除く領土を統一。927年にイングランドを建国して絶対的な勢力を誇っていた。
周辺国家で、アゼルスタンに歯向かうことは、すなわち破滅を意味していた。もちろん、アゼルスタンはウェールズにも傘下に入れと圧力をかけていたのである。

 

 

f:id:t-akr125:20170121174146j:plain

 

f:id:t-akr125:20170114153205p:plain
あ~あ、オレの国は弱いなあ~
みてみろ、イングランドグウィネズ、強国ぞろいだ。それに引き換え、オレの国はこんな狭くなっちゃった。ケレディギオンだけだぞ。
それに働いても働いてもイドワルに税で巻き上げられるだけだしな。

 

f:id:t-akr125:20170121171839p:plain
兄貴どうします?

 

f:id:t-akr125:20170114153205p:plain
いっちょ、旗を上げるか?

 

f:id:t-akr125:20170121171839p:plain
イドワルと戦ってやっつけるんすか?

 

f:id:t-akr125:20170114153205p:plain
バカヤロー、そんな力が俺たちのどこにあるんだ。南だよ、南。ダヴィドとアストラッドを略奪して稼ぐんだよ。

 

f:id:t-akr125:20170121171839p:plain
すげー、さすが兄貴。頭いいっすね。


アナラウドに攻められて以降、デハイバースはケレディギオンとダヴィッド、アストラッド・タウィに分かれていた。クラドグとハウェル兄弟の治める領土は、狭いケレディギオンのみに減っていたのである。


f:id:t-akr125:20170114153205p:plain
どうだ、まずダヴィッドを攻めようぜ


f:id:t-akr125:20170121171839p:plain
いいっすね兄貴。やりましょう!
そういえば兄貴、ダヴィッドの王リワルヒの娘って知ってますか?

 

f:id:t-akr125:20170114153205p:plain
おお、確かエレンといったな。たいそう美しいとの噂じゃないか。

 

f:id:t-akr125:20170121171839p:plain
兄貴どうっす?

 

f:id:t-akr125:20170114153205p:plain
どうって・・・・・・そうか、そうか、それもいいなあ。お前は悪知恵はよく働くなあ。

 

f:id:t-akr125:20170121171839p:plain
えへへ、どうも、ごっちゃんです~

 

f:id:t-akr125:20170121181142j:plain

ハウェルとクラドグはダヴィッドに侵入し、自分が昔アナラウドから受けた
略奪や放火の行為を繰り返した。

 

f:id:t-akr125:20170114153205p:plain
やったぜ、今日も大漁大漁。こりゃ、やめられんな、略奪は。ヴァイキングの気持ちも良くわかるわ。でも奪うところもかなり減ってきたなあ、そろそろ潮時かも知れん。とどめを刺しておくか。

 

f:id:t-akr125:20170114153205p:plain
おい、クラドグ。お前、ダヴィッドのリワルヒ王のところに使者に行ってこい。
たっぷりと脅してふんだくってくるんだぞ。例の娘の話もな。

 

f:id:t-akr125:20170121171839p:plain
へい、承知しやした。へへへ、面白くなるなあ。

 

クラドグは馬を飛ばして、リワルヒ王にいるダヴィッド国へ急いだ。

f:id:t-akr125:20170121181117j:plain



f:id:t-akr125:20161213223417p:plain

あれ、なんか変ですね。
独裁王の息子イドワルの方が意外と真面目で、まともだったカデルの息子ハウェルが暴れん坊になってますよ。

こんなハウェルでこの先大丈夫なんですか? 不安だなあ。

 

f:id:t-akr125:20161210161513p:plain

言ってしまうとネタバレになるからな。おれ、今は何も言わないよ。


f:id:t-akr125:20170114153205p:plain
ふふふ、またひと暴れするか!


最後に、たなかあきらコメント

 

f:id:t-akr125:20161207232706p:plain

前回までのストーリーは、長男アナラウドと次男のカデルの争いを描いていました。
アナラウドを祖として北ウェールズグウィネズに拠点を置く血筋をアベルファラウ家(Aberffraw)
カデルを祖として西ウェールズグウィネズからみると南)のデハイバースに拠点を置く血筋をディネヴァウル家(Dinefwr)
と呼ばれています。

ウェールズ王家の分裂した争いはここから始まり、ウェールズの主導権を奪い合います。ぼくはこの様子を、ウェールズ南北朝時代と呼んでいます。


次回のハウェルとイドワルの動きに注目ください。

 

※歴史上の出来事や人物が登場しておりますが、フィクションでたなかあきらのオリジナルストーリーです。

第一話:
3本の矢はここにも存在した~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第1話~ 

第二話:
絡み合わない結束 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第2話~ 

第三話:
急流に変貌した結束 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第3話~ 

第四話:
磁力の反転 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第4話~ 

第五話:

混乱の果ての新たな希望 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第5話~ 

 

関連記事 

www.rekishiwales.com

www.rekishiwales.com

www.rekishiwales.com

 

 

最後まで読んでくださり有難うございました。

取材、記事のご依頼、お問い合わせはこちらまで t.akr125@gmail.com