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イギリス・ウェールズの歴史ーカムログ

ウェールズ語ではウェールズの事をカムリ(仲間)と言います。歴史深いウェールズに触れて下されば嬉しいです

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悪いが同盟はやってない ~たたかうカムリ戦士たち 第9話~

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こんばんは。ウェールズの歴史研究家たなかあきらです。

ウェールズの9世紀~11世紀にかけてウェールズ王家が分裂して戦いを繰り広げる様子を、様々な登場人物の人間模様の物語をシリーズで描いています。

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お調子者のワル、クラドグ。前回は、兄ハウェルとともに、人質となっているエレンとやりあい、エレンに押され気味。というのが、前回の内容でした。

エレンの強気は続くのか、それともハウェルとクラドグが反撃するのか?
(登場人物は実在ですが、キャラはたなかあきら作です)

前話:

隠れキャラと美女のにらみ合い ~たたかうカムリ戦士たち 第8話~ 

 

これまでのあらすじ 

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※分割していたウェールズ。緑の部分はイングランド

 

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中世のウェールズは、主にグウィネズ(Gwynedd)、デハイバース(Deheubarth)、ポゥイス(Powys)の三国に分かれた内乱や、アングロサクソン族のイングランドウェセックスマーシア)、さらにヴァイキングに攻められた苦しい時代でした。

9世紀にロドリ大王がウェールズを統一しましたが、長男アナラウドが暴君化し、敗れた次男カデルは息子ハウェルにウェールズの平和を託します。しかし、ハウェルは荒っぽい性格で、弟のクラドグと共に隣国ダヴィッドに略奪を働き、王女のエレンを人質にとり、再び他国へ略奪を開始しました。

<登場人物>

ウェールズの王室家系図

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カデルの息子ハウェル。意外と乱暴

 

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ハウェルの弟クラドグ。ちょっとお調子者。

  

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隣国ダヴィッド王ラワルヒの娘、エレン。

 

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アナラウドの息子イドワル。冷静で冷淡、冷血。

 

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イングランド王、アゼルスタン。

 

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ウェールズ勢力地図。

 

 

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ハウェルとクラドグ兄弟は、隣国のアストラッド・タウィの略奪から戻った。
ウェールズ南部、デハイバースの一国、ケレディギォンのディネヴァウル城。

 

 

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兄貴! やった!やった!略奪成功!
めちゃ、儲かりましたね。
さすがは、ハウェル兄貴。行くところ敵なし、強かったなあ。


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俺たちの手にかかれば、このくらいの勝利は朝飯前だよ。
クラドグ、お前も大活躍だったな。

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へへ~、褒められると嬉しいな。

 

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ひひひ、そう、そう。
お約束の、ほ・う・び。
忘れてないっすよね

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お〜、そうだったな。
勝てばお前にイストラッドをあげるんだったな。


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そうそう、いひひひ。

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分かってるよ。イストラッドの領土も王も王の娘もお前の好きにして良いぞ。

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さすが兄貴!ゴッチャンです!
へへへ、俺も兄貴みたいに、王女を人質にして、、、むふふ、、、

 

ハウェルはイストラッド・タウィ国を吸収し、ケレディギォンを合わせてセイシルウィグ国とした。更に勢力を広げようと、ポウィス国や小国郡を攻めようと準備を始めていた。

 



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あっきれた!何、この兄弟。
私の忠告に耳を貸すどころか、まします野蛮を極めている。
いいわ、ここでギャフンとお灸を据えてやりましょう。

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そうはさせぬぞ。俺たちの強さを思い知ったか。

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あっ、ハウェル。いたのね。
あなたは何が狙いなの?

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お前こそ、何を狙っている?
ハニー。

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私はただ、自分の国、父の国ダヴィッドを守りたいだけ。野蛮な男の手にかかって、国の将来を壊したくないだけ。

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俺は、ケレディギォン国を拡大し、ウェールズを支配する事が目的だ。

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呆れた、笑わせないでよ。
ま、そんな事だろうと思ってたわ。
あなたみたいな、暴力だけの野蛮な男に、ウェールズを支配できると思って? 

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分かってないな。俺の強さを見ただろう、ハニー。

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ハニーはやめてちょうだい。
私は野蛮な男は嫌いなの。やめてちょうだい。
父に相談してあなたを止めようと思ったけど、その必要は無さそうね。
領土を拡大して、いい気になっているようだけど、勢いもここまでね。

 

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どう言う意味だ!

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どう言う意味だ、ですって?
あなた、本当に分からないの?



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その頃、北ウェールズグウィネズ国では、ある決断がなされていた。
最近のハウェル達の派手な動きに眉をひそめ始めていた。


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ハウェルの動きが気に入らんな。略奪を繰り返し、領土を広げ過ぎている。このままでは、グウィネズの権威や威厳すら損なわれてしまう。

で、どうされますか、イドワル様。
ハウェルを制圧しますか?

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いや、戦いは好まない。前にも言っただろう。イングランドだ。

イングランドが、どうかしましたか?

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お前も頭が悪いな。イングランドのアゼルスタン王と手を結んで、ハウェルに圧力をかけるんだよ。

なるほど。さすがはイドワル様。


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早速アゼルスタン王に会いに行くぞ。
(前から思っていたが、奇妙な部下だ。姿がよく分からぬ)

ははっ。

 

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イドワルはアゼルスタン王が統治するイングランド王国へと向かった。


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アゼルスタン王はイングランドを建国し強力な勢力を誇っている同盟を結ぶ事が出来るだろうか?

 

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イングランド王国、グロスター

 

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アゼルスタン王、お目にかかれて光栄です。

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おお、イドワル殿、遠いところをご苦労だった。今日は何の用かな。

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はっ。イングランドと我が小国グウィネズと同盟を結ばせて頂ければ、身に余る光栄に存じます。

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同盟ねえ。その心は?

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はっ。グウィネズの平和、しいてはイングランドの繁栄にも繋がると考えます。

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ふーん。
イドワル殿。悪いけど、同盟はやってないんだ。他なら有るんだが。

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他と仰られますと?

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ワシに忠誠を誓い、イングランドの傘下に入らぬか?

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えっ、何と仰られました?

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一度しか言わぬぞ。グウィネズと言わずウェールズイングランドの傘下に入り年貢を納めたら、貴殿が望む平和を保障してやろう、と言ってるのだ。イドワル殿にウェールズ統治権を認めてやっても良いぞ。


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有り難き幸せ。グウィネズの平和と権威を保てるなら、何でもします。
では、早速。

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イドワル殿は話が分かって頼もしいな。この前、スコットランドの小国が同意しなかったもんだから。見てごらんなさい、その国が無くなったからね。
はっはっは。では、頼んだぞ。

 

 


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うぅぅぅ、危ないところだったな。
これからも、うっかりは出来ないぞ。気をつけないと。


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再び、ケレディギォンのディネヴァウル城。

 

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お前、この前、俺に向かって野蛮と言ったな。

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ええ、本当のことを言ったまでよ。
私を失望させないで頂戴。私もノコノコと、人質として連れられてきた訳じゃないの。そんな無能な男だとは思わなかったわ。

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うぬぬ、俺を侮辱するなよ。
今に見ておれ〜

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面白いじゃないの。言っておくわ。野蛮で暴力を振るっていると、きっと落ちぶれるわよ。ハウェル、目を覚ましなさいよ。


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あ、兄貴!
や、ヤバイっすよ〜
ヤバいことになりそうっすよ、、

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どうした、クラドグ?

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実は、イドワルが・・・

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何?本当か?
この事をエレンが言おうとしていたのか?

 

最後に

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今回のストーリーはいかがでしたか?
黙っていたイドワルが動き出し、現実は942年にイングランドのアゼルスタンの傘下に入ります。
イドワルは何度も表敬訪問をし、アゼルスタンのご機嫌を取っていたようです。

これに対して、ハウェルはどう動くのか? 
これからの焦点です。

 

 

※歴史上の出来事や人物が登場しておりますが、フィクションでたなかあきらのオリジナルストーリーです。

 

第一話:
3本の矢はここにも存在した~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第1話~ 

第二話:
絡み合わない結束 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第2話~ 

第三話:
急流に変貌した結束 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第3話~ 

第四話:
磁力の反転 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第4話~ 

第五話:

混乱の果ての新たな希望 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第5話~ 

第六話:
意外な旗揚げで始まった復活への狼煙 ~たたかうカムリ戦士たち 第6話~ 

第七話:

伝家の宝刀より脅しより強いかも ~たたかうカムリ戦士たち 第7話~  

第八話:

隠れキャラと美女のにらみ合い ~たたかうカムリ戦士たち 第8話~ 

  

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当時のイングランドについて分かりやすく読める本。 

 

 

最後まで読んでくださり有難うございました。

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