
こんばんは。ウェールズの歴史を研究しているたなかあきらです。
ウェールズの10世紀~
第一話の前回は大王がウェールズを統一した後、息子たちに領土を分け与え、日本の三本の矢のように結束を深めさせた話でした。
さて、実際に結束を深めることは出来たのでしょうか?では第一話の続編をスタートいたします。
第一話:
3本の矢はここにも存在した~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第1話~
<語り手>

ウェールズの歴史にやたらと詳しいワタル。歴史になると話が止まらなくなる。

歴史に詳しくないアサオ。心は優しいが、かなり小心者。

語り手のジェイムス。親切で気の良いお兄さん。
これまでのあらすじ

※分割していたウェールズ。緑の部分は後にイングランドとなるウェセックスやマーシア。

中世のウェールズは、主にグウィネズ(Gwynedd)、
9世紀になってロドリ・ザ・グレートという大王が登場して、初めてウェールズの三国を統一して外敵の侵略も退けてウェールズに束の間の平和をもたらしました。ロドリは3人の息子たちに国を分けて、日本の三本の矢のようにウェールズの結束を深めさせました。
<登場人物>

ロドリ大王

長男アナラウド

次男カデル

三男メルヴァン
形だけの三本の矢


カデルよ。お前次男のくせに一番広い領土だな。俺のグウィネズより気候もいいし、ちょっと年貢を俺によこせよ。

兄貴はその代わりに全体をまとめるルーラーの役じゃないか。ルーラーを俺と変わってくれるのか?

カデル、お前オレにケンカを売る気か?

よせよ兄さんたち。争っていてはダメだよ。もっと父さんの気持ちを考えないと。

メルヴァン、何もできないくせに、お前は黙ってろ!ポウィスの広い土地をもらえるだけ有難いと思え!

まあまあ、メルヴァンの言う通りだ兄貴。兄弟がこんな調子じゃ、隠居した父ロドリも気が休まらないだろう。

結束を強めたように見えたけど、仲が良くなさそうな兄弟ですね。ウェールズ版の三本の矢はうまく働いてない気がしますが・・・・・・

矢も弓で構えなければ役に立たないし、鞘に3本収まっているだけではガシャガシャとお互いぶつかるだけだ。上手く働かせるにはカンフル剤が必要だな。

本当に3人とも性格がちがうし、この先不安だなあ。敵に攻められちゃいそう。

あまりこのカンフル剤は望ましくはなかったのだが・・・・・・
絡み合わない結束

877年北ウェールズ、ラズラン城

どうもあの3人はうまくいっていない気がする。このラズラン城で隠居していても落ち着く暇もない。アングルシー島の教会に行ってお祈りをして、ウェールズの平和を願って来よう。


何やら外が騒がしいな。何が起こったんだ?

ヴァイキングが攻めてきただと!

これまでロドリに敗北して封じ込められていたヴァイキング軍が、ロドリを襲撃しました。これを見たマーシアは軍を送り込みヴァイキングを蹴散らし、ヴァイキングがウェールズを占領するのを避けました。しかし、このチャンスに乗じてロドリにも攻撃を加え全滅させました。

むむむ、無念。我が息子たちよ、ウェールズの後を頼んだぞ・・・・・・

えっ、やられちゃったんですか?

やられたんです。息子たちの結束力が弱そうな隙をついてマーシアのセオウルフ王が攻撃したんだ。この攻撃はセオウルフの後継者エセルレッドも続けたんだよ。

ウェールズ大ピンチじゃないですか?
絡み合おうとする結束

何!親父がマーシアにやられた??
何をぐずぐずしている、すぐに兵を集めてマーシアに攻め込むべきだ! 親父の無念を晴らして奴らの領土も奪ってやる!

いや、兄貴まだ時は早いよ。それよりウェールズの混乱を鎮めて戦力を十分に蓄えることが先決だよ。それからでも遅くはあるまい。

何をのんきなことを言ってるんだ! 今だよ今!

僕は戦いに賛成しないよ。でも兄貴たちが決めたのなら僕は従うよ。

んんん、分かった。今すぐは戦うのをよそう。しかしだ! すぐに戦える準備をしておけよ! いいか、少しでも敵が動いたらすぐに攻め込むぞ!
ーーーーーーーーーーーー
4年後の881年、マーシアのエセルレッドが大軍を率いて北ウェールズのグウィネズに攻め込んできました。

「アナラウド様、マーシアの大軍が、大軍が攻め込んできました!」

とうとう来やがったかエセルレッド、ウェールズ3王が力を合わせて親父の仇を必ず取ってやる!弟たちよ、すぐに出陣だ!!
この戦いの行方はいかに!!
※このストーリーは歴史上の実在人物や出来事が登場しますが、たなかあきらが書いたフィクションです。
最後に:たなかあきらコメント

父ロドリが短期間とはいえ平和な時代を作り脅威が少ない中、ロドリの思いとは異なり3兄弟はバラバラに行動します。野望を持ち短気なアナラウド、同じくしたたかに狙っているカデル、大人しく争いを起こしたくないメルヴァンと性格が大きく異なる3人は、なかなか協力しあうことができません。(これは、歴史からのたなかあきら推測です)
平和の中で気が緩み始め、結束も弱まっている時をねらって、ヴァイキングやマーシアが攻撃を仕掛けたと考えられます。
油断していると強国ヴァイキングやマーシアが攻めてくる、まさに油断大敵、油断強敵の表現が当てはまる状況ですね。
※参考記事
ロドリ大王の背景が書かれています。あまり読みすぎるとネタバレになりますのでご注意ください。
※これら記事の著作権はたなかあきらに属します。
最後まで読んでくださり有難うございました。

コメント
三本の矢はどうなってしまうのでしょうか。
油断していると敵が攻めてくる、戦の時代は怖いですね。
たなかあきらさん、今年もよろしくお願いします。