(18.7.13更新)
アーサー王の伝説には主に二つの剣が出てきます。
一つは岩に刺さった剣をアーサー王が引き抜き、イギリスの王になった時の剣カリブルヌス。もう一つは向かうところ敵なしの輝く聖剣エクスカリバーです。
これらの剣は実在の剣なのでしょうか?それともモデルとなる伝説の剣があるのでしょうか?
アーサー王の伝説の剣のモデルとなっているのではないか、と言われている伝説の剣についてお話しいたします。
岩に刺さった伝説の剣
アーサー王の物語で岩に刺さった剣を抜くシーンがありますが、そのシーンが登場したのは、アーサー王物語の原型と言われる「ブリタニア列王史」など、12世紀になってからと言われています。
ちょうど同じ12世紀にイタリアのトスカーナ州で岩に刺さった剣の伝説があります。この伝説がアーサー王物語に組み込まれたのではないかという説があります
サン・ガルガノの伝説の剣
岩に刺さった剣の伝説の主であるサン・ガルガノは、1148年にイタリアで生まれ、荒々しく欲深い悪名高き騎士でした。
ある時、大天使ミハエルがガルガノの前に現れ、救いの道はどこに行くべきかをガルガノに説きました。
友達や親戚から愚か者と言われたものの、これまでの行いを深く反省したのか、ガルガノは大天使から言われた様に、隠とん者になるべく洞窟に住もうと考えました。
途中で急に馬がいななき立ち上がり、ガルガノは馬から落下してしまいました。その落下途中でガルガノは、不思議な感覚にとらわれました。
「神聖な声」と「神の意志」を聴き、足がふわりと浮いた感じがしたのです。そうしたところ、自分の足が勝手に動き出し、トスカーナ州にあるChiusdinoのMonte Siepiと呼ばれる丘についてしまったのです。
ガルガノが丘の上に登ると、そこには円形の寺院があり、その中には使徒たちに囲まれたイエスとマリア像がありました。
そこでガルガノは「世の快楽を放置するように」との神の声を聞いたのです。
ガルガノは、神に向かってこう答えました。
「快楽を放棄することは聞こえの良い事だけれど、剣で岩を割ることと同じくらいに簡単な事だ!」。
快楽の放棄を証明するために、ガルガノは剣を抜き岩に突き刺し、柄の部分まで岩を貫き通したのです。
ガルガノは生涯丘を離れることはなく貧困の中で生活しましたが、野生の動物はいつもガルガノの友達でした。
邪悪な男がガルガノを殺そうと僧侶に化けてやってきたときも、ガルガノを救おうと一緒に住んでいたオオカミが悪魔をやっつけました。
農民たちは話したり祝福を求めにガルガノのもとに訪れ、カルガノは幸福な日々を過ごしました。ガルガノはオオカミに襲われた、年後に亡くなりました。
ガルガノを記念してサン・ガルガノ大聖堂が建てられ、ガルガノは死後の1185年に聖人に加えられたのです。
現在はサン・ガルガノ大聖堂は観光スポットになっており、岩に刺さった剣もサン・ガルガノ大聖堂の近くに現存していますよ。
www.youtube.com
動画の3分付近に、現存する剣が刺さった岩が登場します
※サン・ガルガノ教会のページ
>>Abbey of San Galgano – Chiusdino, Italy | Atlas Obscura
参考文献:ITALIA – San Galgano Or True Story, Legendary Sword
ロンドンにある伝説の岩
アーサー王がいたとされるイギリスにも、剣が刺さっていたとの伝説がある岩があります。
「ロンドンストーン」と呼ばれる岩は、古代からロンドンにあり、数々の伝説があります。
現在もロンドンにあり見ることができます。
また同じロンドンにもう1つ、アーサー王の剣が刺さっていたといわれる、伝説の岩があります。
この岩は、現在のロンドンのキングストンにあり、11世紀のイングランド王の戴冠式にも使われたそうです。
<詳しくはこちらの記事をご覧ください!>
エクスカリバーの伝説
スコットランドにある伝説の剣
エクスカリバーの伝説もいくつかあります。
イギリスのスコットランドには、エクスカリバーかも知れないと思われる伝説の剣があります。
6世紀のスコットランドにリデルヒ・ハエルという当時では勢力を持った王がいました。
リデルヒはDyrnwyn(白い剣)と呼ばれる「育ちの良い人物が抜くと剣全体は炎につつまれ輝く」という伝説の剣を持っていたのです。
さらにリデルヒの父も秘宝を持っていました。
「勇敢な人物の剣を研ぐと、どんな敵をも死に至らしめる」という伝説の砥石です。
この伝説の剣が、エクスカリバーではないかという説があります。伝説の砥石を使って、白い剣を研ぐと、とても切れ味の良い最強の剣になりそうですね。
この白い剣と砥石は、中世ブリテン島の13の宝物にリストアップされています。(剣が8番目で、砥石が7番目)
>>Thirteen Treasures of the Island of Britain – Wikipedia
ウェールズにある伝説の剣にまつわる湖
アーサー王物語湖の乙女が住んでいて、エクスカリバーをアーサー王に与え、最後にエクスカリバーが投げ入れられた、という伝説の湖があります。
この伝説は、ウェールズの最高峰の山、スノードン山の麓にある、小さな湖です。
実際にスノードン山からその付近を見ると、まさにアーサー王の物語の場面がでてくるのじゃないか、という想像に掻き立てられました
✅詳しくはこちら!:スノードン山には他のアーサー王の伝説もあります
>>ウェールズの観光スポットの一つスノードン山の謎
最後に
アーサー王物語はフランスで完成されたためか、イギリスだけでなく様々な国の伝説が含まれています。
今回ご紹介しましたイタリアでの伝説を知った作者が、アーサー王物語の最初の部分に取り込んだのではないかと考えられます。
一つ一つ見ていくといろんな歴史的な背景も知ることが出来てとても興味深いです。さらにアーサー王の剣、エクスカリバーの話に魅了されますね。
👉アーサー王の剣に関するおすすめ記事
>>なぜアーサー王の剣は岩に刺さっていたのか?剣の作り方から考えた
>>エクスカリバーの起源、発祥、伝説、意味に迫る!
>>映画「エクスカリバー」 アーサー王の叶わぬ夢とは
www.rekishiwales.com
www.rekishiwales.com
※この記事でアーサー王のすべてが分かる
最後まで読んでくださり有難うございました。
コメント
サンガレガノのさした剣は、本当にあるんですね。
剣の伝説は、ロマンがあふれますね。
リデルヒという人もエクスカリバーを、持っていたんですか。
剣の伝説は、たくさんあるんですね。^^
[…] ✅参考記事: 岩に刺さった剣の起源は?>>アーサー王の伝説の剣は実在するの? 岩に刺さったサン・ガルガノ伝説の剣✅参考記事: 岩に刺さった剣のつくり方>>な […]
[…] http://www.rekishiwales.com […]
[…] http://www.rekishiwales.com […]