イギリス・ウェールズの歴史ーカムログ

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トリスタンとイゾルデ物語、僕はこの話を思い出さずにはいられなかった

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こんばんは。ウェールズ歴史研究家を名乗る、たなかあきらです。

トリスタンとイゾルデの本を読むと、僕はこの話を思い出す。
それは随分と昔の物語です。

 

彼は1人ぼっちの大学生だった。 彼ははまだ若かった。
大人しい性格で、スポーツサークルの中でも目立たない存在だった。
サークルには長身でカッコイイ先輩がいた。アンド先輩は楽しい性格で、いつも周りには人が集まっていた。タカシにとってアンド先輩は憧れの存在であった。

タカシの後輩には、美人ではないが明るく活発で人を引き付ける女の子がいた。カヅミという名だ。
誰とも気軽に話をして、いつも人の輪の中にいる。当然、口少ないタカシとも話す事も少なからずあった。

サークルの中では誰もが知っていた。アンド先輩とカズミは付き合っていたのだ。タカシは、お似合いのカップルだなあ、と思っていた。それだけだった。

ある日、事件が起こった。
サークルの連絡網で、タカシはカズミに電話する用事が出来た。
タカシは緊張した。何を話せば良いだろうか。何と言えば良いだろうか。
家族以外で、女性に電話などしたことがない。女性とまともに話しすらしたことがない。

受話器を取る手が震える。
「もしもし」
相手が電話にでる。
言葉がつまり、息がつまり、声にならない。
震える声を絞り出すように出した
「カ、カヅミさん、御在宅ですか?」
「わたし、わたし!」

明るい声が返ってきた。
緊張が少し溶けていく。

普段は喋らないタカシであるが、カヅミ話し出したら止まらい性格でお構いなしに話してくる。
知らないうちにタカシもカヅミのペースに乗せられいき、口数が増えていた。あっと言う間に時間が過ぎ、要件を伝え忘れる程、話に夢中になっていた。

「アレっ、タカシさんてこんなに話す人だっけ? 楽しかったね。また話そうね」

こう、カヅミに言われてタカシは驚いた。うれしかった。実際、彼にとって、こんなに女の子と気軽に話したことは無かった。こんなに話して楽しいと思ったことも無かった。また話したいと思った。

それ以来、タカシはカヅミとしばしば電話をするようになった。とても楽しかった。サークルでもよく話しをする様になった。
タカシは次第にカヅミを意識するようになっていた。だんだんカヅミを好きになっていたようだ。

「今度ご飯食べに行かない?」
「行こう、行こう」

タカシはカズミとデートをする様になった。


ふと、アンド先輩のことが頭をよぎった。
アンド先輩のことが、タカシの心にどんよりとのしかかってきた。

サークル活動は毎週末行われていた。当然、毎週のようにタカシはアンド先輩とも顔を合わせる。

「よっ、元気か?」
「はっ、はい」
意識しないようにしても、思わずアンド先輩の視線を避けてしまう。

「どうしよう?」 
「これって、略奪?」
「先輩にバレやしないだろうか?」
「カヅミと会うことを控えた方が良いだろうか」

しかし、タカシの動き出した気持ちは止まらなかった。タカシはカヅミとのデートを重ねていった。

ある日、タカシはカヅミから言われた。
「私、先輩と会うのを止めようと思うの」

タカシは嬉しかった。とても嬉しかった。これまで生きてきた中で、最も幸せに感じた。カヅミとの時間、カヅミと会うこと、カヅミとの会話、カヅミのことを考えること。これらが彼の生活の中心を占めていた。

タカシはカヅミの心を憧れのアンド先輩から略奪してしまった。知っている人も居たかもいたかもしれない。急に仲が良くなっているタカシとカヅミを見て、疑りをかけていたかも知れない。
表向きはサークルでは2人の関係は知られていなかったようだ。知られないように振舞っていた。

アンド先輩は、2人の関係を知っているだろうか? タカシが原因でカヅミが去ったことを知っていただろうか? いやたぶん知らないはずは無いだろう。

しかし、アンド先輩は知っているそぶりを見せなかった。これまでと変わらず、明るく笑っていた。

それが逆にタカシを苦しめることとなった。アンド先輩とはどう接すれば良いだろう。そのうち皆に分かってしまうかも知れない。どういう態度をとれば良いだろう。
タカシは、カヅミと会えば会うほど幸せに浸ったが、同時に心の苦しみも増していった。

 

そしてこのような心の不安定な状態は、長くは続かなかった。
ある日、タカシはカヅミから言われた。
唐突に言われたが、そういわれる日が、近くに来るだろう?そんな予感もしていた。

「私、あなたと会うのを止めようと思うの」
「えっ、何で?」
彼は辛かった。とても悲しかった。毎日が急に暗くなって、寂しくて泣いた。何もしたくなくなった。

アンド先輩も同じ気持ちだったのだろう。
アンド先輩は、カヅミにその気持ちを伝えたのであった。
それがカヅミをまた元に戻す結末となった。
そしてタカシもまた一人ぼっちの大学生に戻った。 
そして、また平穏なサークル活動に戻った。


短くはあったが楽しい時間、苦しい時間を過ごす事ができた。
彼女と、共有する事ができた。

彼は彼女に出会えて良かったと思った。
彼はまだ若かった。  

引用元:

似ている気はするものの、
背景も違うし、結末も違う。

でも、なぜか
この話を思い出したとき、
トリスタンとイゾルデの映画も思い出した。
トリスタンとイゾルデの映画をまた観ようと思った。

 

 最後まで読んでくださり有難うございました。

 

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