こんばんは。ウェールズ歴史研究家を名乗る、たなかあきらです。
舞台は5世紀前半にかけての、ウェールズ付近のアーサー王伝説をもとにした創作ストーリーです。
※前回の第8話
悪の奇襲と敗北
アンブロシウスとウーサ ーは、兄の仇を取り祖国を取り戻すためにヴォーティガンとの対決を決意し、ブリタニアに向かっていたその頃、ヴォーティガンの居城では家来が慌てて駆け込んで来ました 。
「アルドリエンに送った使者はどうなった? 大人しく、アンブロシウスとウーサーを引き渡したか?」
「そ、それが、、、使者はアルドリエンに捕らえられ、投獄されたようです。それを伝えに参りました」
「なに。 うぬぬぬ、、、アルドリエンの奴め、許さぬ」
「すぐに、軍の準備だ。 アルドリエンを攻めるぞ。 今に見ておれ、ブッ潰してやるわ」
バタバタ、バタバタ!
「ヴォーティガン様」
「そうぞうしい、今度は何だ」
「報告します。アンブロシウスとウーサーが兵を率いて、こちらに向かっているそうです」
「なに ?何だと。やつらがブリタニアに攻めてくるだと ? 向こうへ行く手間が省けたわい。よし、軍の行き先変更だ」
「承知いたしました」
長い航海の末に 、アンブロシウス 、ウ ーサ ー、それに兵を乗せた船はブリタニア南部の海岸に到着しました 。彼らは強い意志と大きな希望を胸に 、士気を高めました 。
「ようやく上陸したぞ 。ここは我れらの祖国なんだ 。 力を合わせて 、必ず祖国を取り戻そう 」
「これがブリタニアか。 初めてだけど何だか懐かしい感じがする」
バサバサッ、バサバサッ、
「何の音? いきなり僕たちの歓迎か何か?」
「まさか? 誰も知らないはずだよ?」
突然 、砂浜の向こうの茂みの陰に潜んでいた武装軍隊が現れました 。
「誰だお前たちは 、出迎えか?」
「問答無用 。全員抹殺してしまえ 」
「あっ、ヴォーティガン軍だ。敵の出迎えだ、 待ち伏せしてやがった」
「こんな所で負けるものか、かかれ ~ 」
アンブロシウス軍に大勢のヴォーティガン軍が一気に襲い掛かり ました。両軍入り乱れての激しい戦いとなりましたが、勢いの差は歴然としていました。数で劣勢のアンブロシウス軍はヴォーティガン軍に押され始めました 。
「くっ 、敵の数が多すぎる」
「我ら 1 0 0 0に対して 、敵は数倍以上と見受けられます 」
「くっ 、これでは勝てない ・ ・ ・ ・」
ヒュー、ヒュー、
「あっ、危ない、火矢だ。 船がやられた。船が燃えている。前にはヴォーティガン軍 、後ろ燃える船、逃げ場がなくなってしまった 」
「もう成す術がないのか。、こんなとき 、魔法でも使えたら」
「やつらはもう袋のねずみだ 。いっきに叩き潰してしまえ 」
ピュー、ピュー、ピュー
ウグッ、ドサドサッ
突然、勝利目前のヴォーティガン軍に向かって 、もうもうと火と煙を上げている船の方向から、矢が飛んで来きました 。
「大量の矢だ 。気をつけろっ 。やつらはまだ燃えている船の中に残っているのか」
大量の矢により 、ヴォルティゲルン軍は乱れ始め、隙が見えてきました。
「よし、ヴォーティガン軍の足並みが乱れてきたぞ 。今がチャンスかもしれない 。今度矢が飛んできた時 、一気にヴォーティガン軍を突っ切って逃げ切ろう 」
「了解 。我々にはその方法しか残されていないですね 。そのチャンスにかけよう 」
「いまだ 。みなの者 、突っ切るぞ 」
アンブロシウス軍は一段となって円形の密集隊形を作り 、隙をついてヴォーティガン軍に突進し突き抜けました 。
「待て ~ ~ 追え、追うんだ!」
「ふう何とか逃げ切れた」
「本当に危ないところでしたね 。まさかヴォーティガンの大軍が待ち伏せているとは。あの矢の助けが無ければ 、我々は今頃全滅していただろうね」
「まだ船に我が軍は残っていたのか ?いえ 、全員船から出たはずですが」
「ではいったい誰が矢を放ったんだろう。まさか 。僕がさっき「魔法が使えたらなあ」と言ったから? まさかね 」
「ヴォーティガン軍の攻撃で 、兵は半減してしまいました 。これ以上とてもヴォーティガンと戦う兵力がありません 。これからどうしましょうか ?」
「そうだな 、僕たちが生まれたグロスタ ーの街に行こう 。そこで 、兵力をたくさん増やして 、ヴォーティガンとの戦いに備えよう 」
一方ヴォーティガンの居城では、ヴォーティガンが憤慨していました
「アンブロシウスとウ ―サ ーは片づけたか ?」
「それが、、、申し訳ございません 。勝利目前でしたが、急に大量の矢が飛んできて ・ ・ ・ ・取り逃がしてしまいました 」
「なにっ 、取り逃がしただと、けしからん 。おまえはクビだ 。牢に放り込め」
「くそっ 、アンブロシウスとウ ―サ ーの奴 、見ておれ 。次の手だ 、次の手 。サクソン兵を呼べ 、サクソン兵だ!」
次回に続く。この物語は、たなかあきら作のフィクションです。
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最後まで読んでくださり有難うございました。
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