運命の使者 ~夢と野望の激突 第7話~

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こんばんは。ウェールズ歴史研究家を名乗る、たなかあきらです。
舞台は5世紀前半にかけての、ウェールズ付近のアーサー王伝説をもとにした創作ストーリーです。毎週金曜日に更新しています。

 ※前回の第6話

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運命の使者 

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「ヴォーティガン様、ヴォーティガン様!」
「何だ、なにを騒いでおるのだ!」
「ヴォーティガン様、ただいま戻りました。ただいまフランスから戻ってまいりました」
「アンブロシウスとウーサーの奴を殺しに派遣した兵だな、お前は」
「はい、そうでございます」

 

「それで、奴らは殺すか捕らえれたのか?」
「そ、それが・・・逆に始末されてしまいました」

「なんだと? お前らは何をやってのだ! 怪しからん!」
「申し訳ありません、ヴォーティガン様。奴らは驚くほど強いです。全滅するところでしたが、私だけが脱出することが出来たのです。でも、ご安心ください。奴らの居所をつかむことが出来ました」

「どこなんだ!奴らは!!早く言え!」
「落ち着いてください、ヴォーティガン様。ブリタニー国のアルドリエン王が奴らをかくまっています。アルドリエン王はフランス屈指の騎士で、恐ろしく強敵です」
「うぬぬぬ、情けなくて反吐がでるわ。しかし、ようやく居場所がつかめたのは収穫だ。だが、お前らはオメオメ敗れてしまったんだな! 怪しからん!次にへまをやったら、ギロチンだぞ!」

「ははっ」

 

「よし、アルドリエン王に戦争を仕掛けるのもよいが、まずは別の手でいこう。おい、お前、アルドリエン王の所に使者として行け。かくまっているアンブロシウスとウーサーはブリタニアの臣下で重罪人だ。即刻、身柄をブリタニアへ引き渡すように命じてこい。さもないと、ブリタニアに対する挑戦とみなし大軍を送るぞ、とな」
「ははっ」

 

「アルドリエンの所とは、予想はついてはいたものの厄介だ。しかし、早く危険な芽は摘み取ってしまわねばならぬ。何れにしても、アルドリエンに圧力をかける口実が出来たわい。アンブロシウスとウーサーを始末した後は、アルドリエンを潰しにかかるか。ふふふふ・・・」

 

 

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「アルドリエン王、ブリタニアのヴォーティガン王からの使者として参りました」
「遠いところご苦労である。それで、ヴォーティガン王はワシにどんな用があるのかな?」
「ヴォーティガン王からの公式文書です。アルドリエン王、あなたはヴォーティガン王の臣下アンブロシウスとウーサーをかくまっていますね? 即刻、ブリタニアにお引渡し願いたい、という内容です」

 

「アンブロシウスとウーサー? 何のことだ?」 
「とぼけても無駄ですよ、アルドリエン王。証拠はあるんですからね」
「ワシは全く知らぬぞ。それに証拠とは何だ?」
「この姿に見覚えはありませんかね? 先日、アルドリエン王から手荒い祝福を頂きましたけどね」

 

「あっ、お前、あの時の!(し、しまった・・・)」
「どうやら思い出されたようですね、アルドリエン王。さっ、二人を連れてきてください。さもないと、ブリタニアの大軍がここに攻め込んでくることになりますよ」

(し、しまった・・・ワシとしたことが・・・あの時、徹底的に奴を追って捕らえておくべきだった。逃がしたのが間違いだった・・・)

「くそっ、おのれ・・・」
「私を切り殺しても無駄ですよ、アルドリエン王。私が2週間以内に帰ってこなかったら、自動的にブリタニアから大軍がこちらに向かうことになっているんですよ。その場合も想定して、今頃は戦いに備えていることだと思いますよ。ふふふ」

 

「くそっ、うぐぐぐぐ・・・」
「しかし、お前をこのまま返すわけにはいかん。おい、こ奴を捕らえて牢にぶち込んでおけ!」
「そんなことしても無駄ですよ。アルドリエン王、あなたの運命は既にヴォーティガン王に握られているんですからね」
「ど、どういうことだお前!」
「ふふふ、今に分かりますよ、今に」

 

「くそっ、ワシはどうすればよいのだ・・・ワシは・・・」

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「父上!」
「叔父上!」
「ブディック、アンブロシウスにウーサー」
「どうされたんですが、大きな声をあげて。何が起きたんですか?」
「おお、お前たち・・・実は・・・」

 

「ヴォーティガン王? 僕らを連れ去るですって? それに叔父上の運命が決まってるですって? ブリタニア軍が攻めてくるですって?」
「どうしよう、どうしよう、どうしよう」
「うぬぬ、どうしようもない・・・」

 

「やはり、あれをやるしか無いかもな」
「アンブロシウス兄上、あれって?」

 

次回に続く
この物語は、たなかあきら作のフィクションです。 

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最後まで読んでくださり有難うございました。

 

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