信頼から裏切りへ、そこに出現した強大な影 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち第5話~

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こんにちは。ウェールズ歴史研究家のたなかあきらです。

 

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このシリーズではウェールズの10世紀~11世紀にかけてウェールズ王家が分裂して戦いを繰り広げる様子を、様々な登場人物の人間模様を描きながらストーリーとしてお話ししております。

 

いつ誰がどうやってウェールズを統一するのか?

戦乱のウェールズに平和な世の中が来るのだろうか?

 

お楽しみいただけると嬉しく思います。

 

※この話の概略は史実に沿って書いておりますが、登場人物像や描いている会話の内容などは僕の想像が大きく

入っているフィクションです。

 

 

<登場人物>

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ウェールズの歴史にやたらと詳しいワタル。寡黙であるが歴史になると話が止まらなくなる。

 

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歴史に詳しくないアサオ。心は優しいが、かなり小心者。

 

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語り手のジェイムス。親切で気の良いお兄さん。

  

前回までのあらすじ:中世に舞い降りたカムリ戦士たち1~4話

 

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10世紀中頃のウェールズは分裂して戦いを続けましたが、ヒウェルという王が現れ統一国家となりました。しかし、子の時代に再び分裂して内乱を始め、孫、曾孫の時代まで対立が続けられました。当時のウェールズイングランドはヴァイキングの侵略に苦しんいました。

 

966年にウェールズに侵略してきたヴァイキングに対して、北部を治めるイアゴと西部のオウァインが手を組んでヴァイキングと戦い、祖国のピンチを救いました。ほっとするのもつかの間、オウァインと息子のエイニオンは南部ウェールズへの侵略を企て攻撃の手はずを整えていました。

 

※前回の第四話:

新たな争いの幕開けをちょっと壊した愛国心 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち第4話~ – イギリス・ウェールズの歴史ーカムログ

 

ウェールズ北部&西部の家系図

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エイニオンと父オウァインの企てた侵略

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<今回の歴史上の登場人物>

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オウァイン:デハイバースを治める

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エイニオン:オウァインの息子

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モーガンモーガンウィグを治める。エイニオンに攻撃を受ける

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オウァイン・モーガンモーガンの息子。

 

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エドガー:イングランド国王

 

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イアゴ:北部のグウィネズを治める

 

愛国心への裏切り

 

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ヴァイキングからウェールズを守ろう!と言う愛国心のスローガンを利用してモルガンウィグを攻めましょうよ。

 

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エイニオン、モルガン王もウェールズ人だぞ。どうやって攻めるんだ?

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かくかくしかじかですよ!

 

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なるほど、それはいいアイディアだな。やってみるがよい。

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きっとモーガンウィグの奴らを親父の前でひれ伏させますよ。

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モーガン殿、モーガンウィグもヴァイキングからの攻撃に苦しんでますな。そこで、我がデハイバース軍を送り込んで、ヴァイキングを追い出すお手伝いをさせていただこうと思います。

 

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おおおお、これはこれはエイニオン殿、有難いご提案。このモーガン、最大限の感謝の意を示したい。

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モーガンウィグの軍もお借りできませんか。2国の軍が合わさればかなりの戦力、きっとヴァイキングを打ち負かせますぞ。

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今こそウェールズが一体となって、外敵のヴァイキングに立ち向かい、安心した世をつくるのじゃ。ヴァイキングを追い払った暁には、出来る限りの礼をさせていただきますよ。

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同じウェールズ人、お礼などいりませぬ。では早速出発いたします!

 

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デハイバース軍とモーガンウィグ軍は合流し、ヴァイキングが攻撃をしかけている海岸沿いに向かいました。

 
 
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敵、ヴァイキングはここじゃないぞ!モーガン王がいるGowerに向かったぞ!進路を変えてモーガンウィグのGower城に急行だ!
 
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敵は城に侵入したらしいぞ。夜を待って奇襲攻撃をしかけるぞ!
よし、全軍突撃開始だ! 火矢を放って城門をぶち破り突入だ!!
モーガン王を探すぞ!行け~!!
 

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何、何事が起こったんじゃ? ヴァイキングの奇襲か?
何じゃと? デハイバース軍と我が軍に取り囲まれているだと?
くっ、エイニオンの奴め、図りよったか?
 
 

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967年、デハイバース軍を率いたエイニオンはモーガン王を欺いてモーガンウィグを攻め領土の一部であるGowerを奪い取ったのでした。

 

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親父やりましたよ! 思う存分僕の実力を見せつけてやりましたよ!
 
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ご苦労であった、お前もなかなかやるな。今後、デハイバース軍の指揮はお前に任せよう。
 
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身に余る光栄です。さらにモーガンウィグを攻め、全領域を親父にプレゼントいたしましょう。
 
 

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エイニオンやりましたね、というか人々の好意や熱意を利用したんですよね?なんかこの親子、僕はあまり好きになれないですぅ。

 

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この先どうなると思う?

 

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ん~悪い奴、成敗してくれるって、誰かが立ち向かってくるんですか。

 
 

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まんまと策略に成功したオウァインとエイニオンのデハイバース軍だったけれど、この勝利が巨大な勢力を動かすことになってしまんだよ。

 
 

動きだした強大な力

 

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イングランド国王エドガー陛下、我が国モーガンウィグはデハイバースのエイニオンに騙されて、誉れ高き父モーガン王と国を奪われ苦境に立たされています。

あのような無法者から奪われた国を取り戻したいのですが今は余りに非力です。是非、エドガー陛下のお力添えをいただきたいと存じます。
近隣のイングランドにとっても危険の芽は早めに摘み取っておいた方が良いのではと存じます。
 
 

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オウァイン・モーガン殿。ワシもそろそろオウァインとエイニオンに何らかの圧力をかけようと思っていたところだ。今すぐ実行してもよいだろう。分かった、すぐに援軍を準備させよう。

 
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エドガー陛下!ありがたき幸せ!
 
 
 
 
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ふっ、ウェールズか。内輪同士でもめてくれるとは有り難い。
さんざん戦いあって弱まってくれるとこちらとしても話が早い。
ま、しばらく様子を見るとするか。
 
 

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一方、北部ウェールズで状況を静観しているイアゴも穏やかではない心中を抱えていました。

 

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ワシもだいぶ老いてきた。後継者を決めていかなければならぬ。頼りないが我が息子クスティンに後を継がせたい。問題は投獄したままにしている、弟のイエウヴだ。イエウヴにはヒウェルという長男がいたな。

ヒウェルは有能だが、、、弟の件もあるし、やはりクスティンに任せよう。
 
 

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なんか、北も南もウェールズはまた戦争が起きそうな気配がしますね。
もう、ケンカせずにみんな仲良くできないのかなあ。
誰かビシッと決めて纏める人物が出てこればいいのに。

 
 

最後に:たなかあきらコメント

 

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ウェールズウェールズ人の手で守っていこう、という愛国心を利用して味方を欺いたエイニオンとオウァイン。

この時代にはこのようなことが多く起こっていたのかも知れません。欺かれた方は当然、仕返しを考えます。このやり合いによって国は当然弱まっていきます。
 
国が弱まってくると、周りを取り囲む他国が狙ってきます。前回はヴァイキングに攻め込まれましたが、今度はイングランドの影が忍び寄ってきました。
 
ヴァイキングが再び攻め込んでくるのか、イングランドがさらに圧力をかけてくるのか、ウェールズがはね退けるのか、今後の展開に注目ください。
 
<中世に舞い降りたカムリ戦士たち シリーズ>
 
  
最後まで読んでくださりありがとうございました。
また次回の続きをどうぞ!

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