イギリス・ウェールズの歴史ーカムログ

ウェールズ語ではウェールズの事をカムリ(仲間)と言います。ウェールズの歴史、イギリスの歴史、アーサー王、イギリスの歴史に関連する内容を中心に記事を書いています。

反発と決別 ~威勒士の風波 第3話~

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こんにちは。たなかあきらです。
中世ウェールズの歴史をもとに、ストーリーを書きました 
このストーリーをもとに漫画にできたらなあ、と思います。

今回は第三話です。

※時代背景

大王が内乱を抑えてウェールズの天下を統一した時代 

www.rekishiwales.com

 

 

始まる反発  

磁石の力、それがうまく働くと強くひきつけあい一体となり磁力も強くなる。しかし、反発方向に向くと、決して一体になることはなく、近づけると強く反発しあう。

人間の心もこれと似ている。思いが同じだと強くひきつけあい大きな力となる。しかし、思いが異なると敵対し始めると、近づけば近づくほど反発するのである。

 

アナラウドは勢いよく、机をたたいた。

  

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今回は、運良くマーシアの攻撃を防ぎ、奴らを叩き潰すことが出来た。しかし、奴らは強国だ。そのうちきっと、全力を上げて仕返しに来るだろう。

我らウェールズは小国だ。マーシアウェセックスと組んで攻めて来た日には、お手上げになってしまう。

そこでだ。奴らの侵略を防ぐには、どこかと同盟を結ばざるをえない。利害関係を共にするヴァイキングの国、デーンローと結ぶことにするぞ!

 

 

アナラウドは自信たっぷりであった。ヴァイキングを利用してマーシアを封じ込め、ウェールズの領土拡大も思惑にあったのだ。

しかし、じっと目を閉じ腕を組んで聞いていたカデルは、静かに口を開いた。 

カデルは、かなり理屈っぽい。理論的に効果のある方法に徹し、非情に思われることもある。時によっては、ぶっきらぼうさが本人の意図しないところで、傲慢に聞こえたりもするのだ。

 

 

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アナラウド、俺は反対だ。他国と手を組むより、ウェールズ南部の小さな国々とがっちり連携をとった方がよいだろう。攻めより、負けない守りだ。

それに、すぐ方針を変えて約束を破棄する、信頼ならぬヴァイキングと組むのはいかがなものか。どうせ同盟を結ぶなら、最も勢いのあるウェセックスと結ぶのがよいだろう。そうは思わぬか?

 

 

メルヴァンは小心者だ。たまに意見する事はあっても、平和と友好を好み、争いは苦手だ。不安で落ち着かなくなるのだ。アナラウドとカデルの反りが合わない事に、胸を痛めていた。

 

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カデル兄さん、もうちょっと言い方はないの? カデル兄さんの言うことも正論だけど、アナラウド兄さんの意見も一理あるよ・・・

 

 

アナラウドは激情タイプで、自分が仕切らないと済まない性格だ。長男で自分が中心人物と思っている。しかし、先日のマーシアを壊滅させたコンウィ川の戦いでも、アナラウドの指揮に反対したカデルの作戦が、上手くいった事も、アナラウドにとっては面白くなかった。

 

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カデル、お前はまた俺に盾をつく気か? 誰がウェールズのリーダーだと思っているのだ! 今回は、誰がどう言おうと、俺の考えで行く!

 

反論したカデルの発言にアナラウドは、ついに激怒したのだ。怒りがおさまらず、床を蹴り、ドアをたたき、去っていった。

 

 

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アナラウド兄上、待ってください!

 

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やれやれ、やりたいようにさせてやれ、メルヴァン。

 

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カデル兄さん、どうするんですか、、、

メルヴァンは自分の力の無さが情けなくなった。自分がもっと動いて、兄弟をまとめる事ができないか、と思い悩んだ。

 

新たな同盟

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しかし、アナラウドの動きは止まらず、デーンローに向かい、ヴァイキングと同盟を結んだのであった。

 

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ふふふ、このアナラウドを恐れてか、奴らはオレの要求を飲んで手を結んだわ。ふふふ、これでヴァイキングを手中に収めた。マーシアウェセックスもうかつに手を出せんだろう。

 

 

アナラウドには自信があった。先日、マーシアと戦った後であるし、マーシアとの争いで利害を同じくするヴァイキングと手を結ぶことは、誰の目からも得策に見えた。

 しかし、将来のウェールズを考えたとき、ヴァイキングとの同盟に、カデルだけでなく、メルヴァンも疑問を感じ始めていた。

 

決別

 

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メルヴァン、良いか聞いてくれ。アナラウドと俺は、水と油。兄弟とはいえ、決して混じり合うことはないのさ。どちらが正しいか分からぬが、アナラウドは放っておき、俺も俺の考えで行く。

 

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それじゃ、兄弟力を合わせてウェールズを盛り立て欲しいという、父上の望みが台なしではないですか?

 

珍しく、気が弱く自分の意見を主張しないメルヴァンがカデルに詰め寄った。

 

 

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この時代を生き延びていくためには、仲良しクラブではダメなんだよ。親父も薄々感じていただろう。だから、兄弟の関係を気にしたのだ。しかし、合わないものは合わない。

意見の合うものは敵でも手を組み、意見が合わなければ身内とでも争う。

そうでないと、これからの時代は生き残れない。アナラウドは、ヴァイキングと意見が合うのだろう。俺はそうではない。

 

カデルは、非情に聞こえる言い方であるけれど、弟メルヴァンには本音で話した。

 

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なあに、俺はアナラウドとやり合う気はさらさら無いよ。ケースバイケースだ。気が合う場面になれば、手を結ぶだろう。メルヴァン、お前も好きにして良い。

 

普段は口少なく寡黙であるが、カデルは珍しく、長く話した。そのカデルの顔を、メルヴァンはじっと見つめていた。そして、カデルの考えていることを悟ったかのように答えた。

 

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わかったよ、カデル兄さん。僕はカデル兄さんにも、アナラウド兄さんにも協力したいとおもっている。今、僕にも考えがあるよ。

 

 

メルヴァンがカデルのもとを離れ、しばらくの間、ウェールズには沈黙の時間が流れた。平和を取り戻しつつあるのか、と思ったが、そうではなかった。

 

つづく。

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