イギリス・ウェールズの歴史ーカムログ

ウェールズ語ではウェールズの事をカムリ(仲間)と言います。ウェールズの歴史と、ウェールズとの関わりが深いアーサー王についてのページです

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悪い予感の中で生き続けた、ウェールズ王

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「この男、常に嫌な予感の中で過ごしていた人物かも知れない。その嫌な予感も常に的中していた様だっんだ」

 

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「その人物は予言者?」

 

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「予言者ではないよ。勇敢なウェールズの一国を治める戦士だったんだ。しかし、常に悪い予感の中で生き続けた人物と思うんだ」

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第一の予感

 

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時代は11世紀中旬の1066年のことであった。フランスからやってきたノルマン人が、イングランド王を倒しイングランドを乗っ取ってしまったのである(ノルマン征服)」

 

当時、ウェールズイングランドといざこざはあったものの、お互い大きく侵略し合うことなく均衡を保っていた。このイングランドを乗っ取ったノルマン人は、好戦的で常に侵略戦争を繰り返し、ウェールズも大きな脅威にさらされた。

 

この男とは、ウェールズ西部デハイバース国を治める、リース・アプ・テウドウル(リースと呼ぶ)である。リースが悪い予感を持っていた時、イングランド王の座に就いたノルマン人の大ボス、ウィリアム1世が、大軍を率いデハイバースを脅しにやってきたのである。

 

いきなり戦争勃発か!

デハイバースだけでなく、ウェールズに大きな緊張が走った。

ウィリアム1世もまだイングランドを乗っ取ったばかりで足固めをせねばならず、ウェールズ侵略までは手を伸ばせなかったのだろう。

リースがウィリアム1世に毎年40ポンドを支払うことで不可侵の協定を結ぶことができ、その場をしのぐことができた。

 

しかし、この協定がリースの嫌な予感の元となってしまうのであった。

 

第二の予感

ノルマン軍の脅威からは免れたものの、再び嫌な予感がリースを襲った。デハイバースの隣国で、ウェールズ南西部に位置するモーガンウィグ~グウェント国を治めていたのがカラドグ王。

 

カラドグ王は領土を広げる野望に侵され、リースが治めるデハイバースを攻撃し始めた。リースは抵抗するものの、再三の攻撃により、ついにリースは国を脱出せざるを得なくなった。そして、ウェールズにおけるキリスト教の総本山セントデヴィッド教会に身を隠した。1181年のことである。

 

 

その頃、ウェールズ北部ではリースと同じような境遇に苦しむ人物がいた。グリフィズ・アプ・コナン(グリフィズと呼ぶ)である。グリフィズはウェールズ北部のグウィネズ国を統治する王族であったが、簒奪者トラハエアルンに国を奪われグリフィズはアイルランドに身を隠していた。

 

この国を奪われ身を隠していた、似た者同士のリースとグリフィズは手を組み、それぞれの国の奪回を企てた。リースと、グリフィズ、この二人には何かとても強い縁を感じるのである。

 

これに対し、簒奪者同士もお互い手を結び、奪われた者連合vs奪った者連合の争いが勃発した。いわばウェールズ内での天下分け目の大決戦。勝った者は領土と名誉を得て、負けた者は全てを失いこの世から消されるのである。

 

勢いに勝るのは奪った者連合軍であったが、奪われた者連合軍は、捨て身の夜討ち奇襲攻撃を仕掛け、奪った者連合軍を玉砕し闇に葬ることができた。こうして、リースは自国のデハイバース、グリフィズはグウィネズを取り戻したのである。

 

しかし、リースの嫌な予感はまだまだ続くのである。

 

第三の予感

 

ノルマン軍は、徐々にウェールズに対して侵略を始め、ウェールズ内ではノルマン軍に対する反感が大きく募っていた。

その中で、リースが先に、毎年40ポンドを支払いウィリアム1世と結んだ不可侵の協定について取りざたされた。

 

何でリースだけノルマン人に攻撃されず涼しい顔をしているんだ!
あいつはノルマン人に魂を売ったんだ!

 

などと非難を受けるようになってきたのだ。そしてついに、隣国のカドワゴン率いるポウィス軍に攻められ、リースはウェールズから追放されてしまった。

 

リースは、以前のグリフィズと同じようにアイルランドに逃げることとなり、そこで反撃のチャンスを待ち受けた。そして、アイルランドで援軍を得ることができ、カドワゴンを倒し再びデハイバースに戻ることができたのである。

 

一方ほぼ同じころ、リースと同盟を組んでいたグリフィズは、ノルマン人との戦いに敗れ捕虜となり、10年以上もの間、投獄されていた。

チャンスを狙ったグリフィズは、何とか脱獄に成功しアイルランドに逃げ、リースと同じようにアイルランドの援軍によってノルマン人を追い払うことに成功し、自国グウィネズを取り戻せたのである。

 

リースと、グリフィズ、この二人には何かとても強い縁を感じる。実はリースの息子とグリフィズの娘は結婚していたのであった。

 

こうして再び自国の領土を取り戻したリースではあったが、もうこれは何度目であろうか、再び嫌な予感がしていた。

 

第四の予感

 

自国デハイバース内での内乱である。2代前にデハイバースを治めていた、遠縁の王の息子が王位を狙って攻めてきた。

さらには、ノルマン人が治めるイングランドも、ウィリアム1世からウィリアム2世に世代が変わり、再びウェールズに侵略するようになってきたことも、大きな嫌な予感であった。

デハイバースの内乱は鎮圧することができたが、ノルマン人の勢いはリースも防ぐことができなかった。1093年、ノルマン軍に攻められたリースは、現在は国立公園となっているブレコンで戦死を遂げたのである。

それ以降、デハイバースは領土の多くをノルマン人たちに奪われることになってしまう。

 

第五の予感 

 

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「これまでの話を見ると、リースは常に紺の中で生きてたように思えるんですけど。リースは何をウェールズのもたらしたのでしょうか」

 

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「一点目は、グリフィズと同盟を結び、協力してウェールズ内の大決戦に打ち勝ったことだと思うな。これに勝つか負けるかで大きな運命の違いがあった、ウェールズの歴史を塗り変えた大戦争を制したのだからな」

 

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「二点目は、ウィリアム1世とは協定を結び、さらに娘をウィリアム1世に嫁がせ親密な関係を築き、デハイバースは長い間、ノルマン軍からの侵略を受けなかった点だな。強力な勢力に対しては無駄に戦わず、金を払ってでも平和が得られるのなら堂々と協定を結ぶ、よい例だと思うよ」

 

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「三点目は、リースもそんな予感(予測)はなかったと思うな」

 

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「何だろう? 僕自身これまで予感が当たったことはないけど・・・」

 

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「リースの血筋だよ。リースの血筋は、勢力を落としながらも細々とウェールズ内に生き続け、5代先の子孫にテューダー・ヘンが現れるんだ。このテューダー・ヘンの子孫が、ヘンリー7世、ヘンリー8世エリザベス女王であり、イングランド王家で繁栄していくんだよ」

  

 

 

 

次回は、ノルマン人たちに多くの領土を奪われたデハイバースの運命は、ということで、リースの息子と結婚した、グリフィズの娘が奮闘する話です。

 

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