こんばんは。ウェールズの歴史研究家たなかあきらです。
ウェールズの9世紀~
前回の第9話は、お調子者のワル、クラドグと兄のハウェル。エレンの強気に押されながらも、ひと暴れしようかという時に、宿敵イドワルが動き出したという話でした。
さて、今回はイドワルが登場し、場面は大きく動き始めます。
(登場人物は実在ですが、キャラはたなかあきら作です)
これまでのあらすじ
中世のウェールズは、主にグウィネズ(Gwynedd)、
9世紀にロドリ大王がウェールズを統一しましたが、アナラウドが暴君化しウェールズは乱れます。敗れたカデルの息子ハウェルは弟のクラドグと共に隣国を荒らし勢力を広げますが、アナラウドの息子イドワルがけん制に動き始めました。
<登場人物>
ウェールズの王室家系図
ハウェルの弟クラドグ。ちょっとお調子者。
隣国ダヴィッド王ラワルヒの娘、エレン。気が強くクラドグはタジタジ。
アナラウドの息子イドワル。冷静で冷淡、冷血。
イングランド王、アゼルスタン。
やってきたハゲ王、イドワル
ウェールズ、ケレディギオン国のディネヴァウル城。
ライバルのイドワルがやってくる。
お迎えご苦労。
あっ、ハゲ。
ハゲとはなんだ、ハゲとは。
イドワル・ヴォエル、何をしに来た!
ふん、ヴォエルでも変わらないじゃんかよ
今回、直々に出向いたのは他でもない。ケレディギオンの自由は終わったのだ。我が支配下になった事を告げるためだ。
そんなことを認めた覚えはないぞ。
強がっているのも今この瞬間だけだな。
何を、言わせておけば、、
兄貴とっちめてやりましょ
うぬぬぬ。嫌だと言ったら?
従わせるまでよ。ま、アゼルスタン閣下のご機嫌を損ねないように気をつける事だ。あっと言う間に、お前の国は廃墟と化すぞ。
うぬぬぬぬ
更にアゼルスタン閣下は、近頃のお前たちケレディギオンの動きは気に要らないと仰る。隣国を荒らし回り、少し派手にやり過ぎた様だな。その処罰は、追って連絡する。
スパイ?いやっ
くそっ、悔しいっすよ、兄貴。あの、ハゲ野郎、言いたいことばかり言いやがって。
まだ自分の置かれた立場が分からないの、あっきれた!
なんだと、この女! やるのか?
2人とも、その辺りにしておけよ。クラドグ、エレンの言う通りだ。
ハウェル、あなたは少しは脳があるようね。そう、その通りよ。
何ですと! 俺が人質に連れてきた筈なのに、逆にスパイだったのか!
スパイではないわ。あなた達を止めるためよ。ケレディギオンとダヴィッドの平和を守る為。
エレンの父ラワルヒ王と、我が父カデルは親友だった。そうだろう。
そうよ。でも、あなた達はやり過ぎた。私は、アゼルスタン王と親交のある父に頼んで、あなた達を止めるためにアゼルスタン王から圧力をかけるしかない、と思ったの。
だけど、どうしたのさ。
私が動くより先にイドワルに動かれてしまった。
仲良くなる?
あのハゲ野郎! とっちめてやる!
俺もそうしたいんだが。クラドグ、もう動かない方が良い。
しかしエレンの言う通りだ。もはや武力に頼るのも無益で、いやむしろ危険だ。アゼルスタン王が後ろ盾となっては、イドワルと対立する訳にもいかぬ。
では、どうするんすよ〜兄貴。
奴らを出し抜いて、戦わずして勝つ作戦を考えねば。
そうね、そうしましょう。
あれれ、兄貴とエレン急に意見があったな。
そんな事言ってる場合じゃないでしょう。あなたも協力しなさいよ。
おお、怖い怖い。
最後に
イドワル・ヴォエル(イドワルのハゲ)というあだ名は面白いですよね。よく統治者にこんなあだ名を付けたものだと思います。
※歴史上の出来事や人物が登場しておりますが、フィクションでたなかあきらのオリジナルストーリーです。
第一話:
3本の矢はここにも存在した~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第1話~
第二話:
絡み合わない結束 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第2話~
第三話:
急流に変貌した結束 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第3話~
第四話:
磁力の反転 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第4話~
第五話:
混乱の果ての新たな希望 ~中世に舞い降りたカムリ戦士たち 第5話~
第六話:
意外な旗揚げで始まった復活への狼煙 ~たたかうカムリ戦士たち 第6話~
第七話:
伝家の宝刀より脅しより強いかも ~たたかうカムリ戦士たち 第7話~
第八話:
隠れキャラと美女のにらみ合い ~たたかうカムリ戦士たち 第8話~
第九話:
悪いが同盟はやってない ~たたかうカムリ戦士たち 第9話~
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